介護の資格というと、介護現場における介護技術に関する資格を想像する方が多いのではないでしょうか?

しかし、介護の資格は介護技術に関するものばかりではありません。ひとくちに介護の資格と言っても、取得の難易度や受験資格、使いみちはさまざまです。同じ時間や費用をかけて資格を取得するのであれば、自身の業務や目的にあった資格を選びたいですよね。

そこで今回は介護に関する資格の難易度や受験資格、どのようなメリットがあるかについて解説します。

介護の資格20種類を比較

資格名 難易度 種類 取得条件 受験資格
介護職員初任者研修 公的 講座+試験 なし
介護職員実務者研修 (※1) 講座+試験(※2) なし
介護福祉士 ★★ 国家 実務経験+試験 あり
認定介護福祉士 ★★ 民間 実務経験+講座 あり
ケアマネジャー(介護支援専門員) ★★★ 公的 実務経験+試験 あり
社会福祉士 ★★★ 国家 実務経験+試験 あり
喀痰吸引等研修 民間 講座+試験 なし
認知症介護基礎研修 公的 講座のみ なし
認知症介護実践者研修 民間 実務経験+講座 あり
認知症介護実践リーダー研修 公的 実務経験+講座 あり
認知症ケア専門士 ★★ 公的 実務経験+試験 あり
重度訪問介護従事者養成研修 公的 受講のみ なし
作業療法士 ★★ 国家 履修+試験 あり
理学療法士 ★★ 国家 履修+試験 あり
福祉住環境コーディネーター ★~★★ 民間 試験のみ なし
福祉用具専門相談員 公的 受講+試験 なし
介護予防運動指導員 民間 実務経験+試験 あり
レクリエーション介護士 民間 受講+試験 なし
ガイドへルパー 公的 受講のみ なし
介護事務管理士 民間 受講+試験 なし

(※1)実務者研修は介護福祉士の受験に必要な研修であるため、民間や公的といった位置付けはありません。
(※2)研修スクールによっては試験が無い場合もあります。

介護職員初任者研修

介護職初任者研修は身体介助を行なうために必須の資格です。受験資格は特にありません。

資格取得には試験に合格する必要があるものの、自宅学習と講座学習をきっちりとしていれば合格できますので、難易度は高くありません。

初任者研修を取得すると、一般的に3,000円~5,000円程度の給与アップが見込めます

介護職員初任者研修について、詳しくはこちらからご覧いただけます。

介護職員実務者研修

介護職員実務者研修は介護福祉士の試験を受けるために必要な研修です。初任者研修を修了していなくても、受講することができます。

医療的ケアの講座内で実技試験を行なうスクールもありますが、難易度はそれほど高くありません。

実務者研修の修了をもって資格手当を支給するか、介護福祉士を取得後に支給するかは事業所の判断に委ねられます。

介護職員実務者研修について、詳しくはこちらでご覧いただけます。

介護福祉士

介護福祉士は社会福祉士、精神保健衛生士と並ぶ福祉系三大国家資格のひとつです。

受験資格として、以下の条件を満たす必要があります。

  1. 実務経験が3年以上ある
  2. 実務者研修を修了している

初任者研修を修了した後、キャリアアップを望まれる場合は取得することをオススメします。仕事と筆記試験対策の両立が必要なため、難易度は高めです。

介護福祉士を雇用することは事業所にもメリットがあるため、一定の資格手当が支給されます。

介護福祉士については、詳しくはこちらでご覧いただけます。

認定介護福祉士

認定介護福祉士は介護福祉士の上位資格となります。

受験資格として、以下の条件を満たす必要があります。

  1. 介護福祉士を取得後に実務経験が5年以上ある
  2. 認定介護福祉士養成研修を修了している

介護福祉士と違って試験は無く、研修修了後に申請が通れば資格が与えられます。研修は1年半くらいかかりますが、試験がないので取得は難しくありません。他職種連携やチームマネジメントなど、介護現場でのスキルアップを目指す方に向いています。

まだ新しい資格のため、給与アップを目的とする場合は様子見が必要です。

認定介護福祉士については、詳しくはこちらでご覧いただけます。

ケアマネジャー(介護支援専門員)

ケアマネジャーは、利用者ごとに必要な介護保険サービスを受けられるようにケアプランを作成し、行政やサービス事業者との調整を行います。介護保険制度を始めとする法令に精通している必要があるため、難易度は高めです。

受験資格は下記の条件のいずれかを満たす必要があります。

  1. 介護福祉士などの国家資格を取得後、実務経験が5年以上ある事
  2. 特定の福祉施設や介護施設、障害者施設などで相談援助業務に5年以上従事

給与面でのメリットが大きいため、ここ数年の受験者数が増加しています。

ケアマネジャー(介護支援専門員)については、詳しくはこちらでご覧いただけます。

社会福祉士

社会福祉士は福祉関係の資格の中で最上位に位置する資格です。

受験するには下記のいずれかの条件を満たす必要があります。

  1. 4年制大学で指定科目を履修して卒業
  2. 短期大学で指定科目を履修して卒業後、指定施設で相談援助業務に2年以上従事
  3. 社会福祉士短期養成施設(6月以上)を卒業または修了
  4. 社会福祉士一般養成施設(1年以上)を卒業または修了
  5. 児童福祉司、身体障害者福祉司、福祉事務所の査察指導員、知的障害者福祉司及び老人福祉指導主事の期間が5年以上

試験は社会保障論や福祉行政、相談援助理論、権利擁護と成年後見制度など広範囲に渡るため、難易度はかなり高いです。

主な業務は高齢者や障害者、ひとり親家庭などの相談受付・支援で、幅広い就職先があることから収入面で恵まれています

社会福祉士については、詳しくはこちらでご覧いただけます。

喀痰吸引等研修

喀痰吸収等研修は、本来医療行為である痰や唾液を取り除く「喀痰吸引」や「経管栄養」のケアができるようになる資格です。

介護職員は誰でも受けることができ、研修には第1号、第2号、第3号研修があります。それぞれ対象者や履修科目・履修時間が異なります。

第1号研修 第2号研修 第3号研修
介護の対象となる人 介護施設のすべての利用者が対象 介護施設のすべての利用者が対象 在宅の重度障害者が対象
講義時間 50時間 50時間 講義時間+シミュレータ演習の計9時間
履修科目 喀痰吸引(口腔内・鼻腔内・気管カニューレ内) 経管栄養(胃ろうまたは腸ろう・経鼻) 喀痰吸引(口腔内・鼻腔内) 経管栄養(胃ろうまたは腸ろう) 喀痰吸引(口腔内・鼻腔内・気管カニューレ内) 経管栄養(胃ろうまたは腸ろう・経鼻)
試験方法 筆記試験 筆記試験 筆記試験
研修内容 実地研修(シミュレータ演習で実施した5行為) 実地研修(シミュレータ演習で実施した3行為) 実地研修(対象者に必要な行為のみ)

喀痰吸引等研修については、詳しくはこちらでご覧いただけます。

筆記試験は講義内容から出題されるため、難易度はそれほど高くありません。登録喀痰吸引等事業者(登録特定行為事業者)では有用性が高いため、資格取得によって収入アップが見込めます

認知症介護基礎研修

認知症介護基礎研修は認知症ケアに特化した資格の中で入門資格にあたります。2021年4月の制度改正により、無資格の介護職は認知症介護基礎研修の取得が義務化されました。(※2023年までは経過措置期間が設けられています。)

資格取得のメリットとして、スタッフやご家族から頼られる存在となり、認知症患者とのコミュニケーション力の向上が挙げられます。

一日研修で試験もないため、難易度は低いです。初任者研修と比べると価値が劣るため、手当はないと思っておくのが無難です。

(参考)東京都認知症介護研修の概要 東京都福祉保健局

認知症介護実践者研修

認知症介護実践者研修は、認知症介護に2年以上関わっていれば受験できます

基礎研修との違いは、認知症対応型施設やグループホームの計画作成者や管理者に取得が義務付けられている点です。したがって資格手当というより、昇格による収入アップが見込めます

受講は定員が決まっており、定員を超過した場合は抽選・選考が行われるため、計画を練って準備しておく必要があります。試験はなく、全過程を修了すれば資格取得できるため、難易度は高くありません。

取得しておくと転職の際にアピールすることができます。

(参考)東京都認知症介護研修の概要 東京都福祉保健局

認知症介護実践リーダー研修

認知症介護実践者研修を修了後、認知症ケアを行なう事業所でリーダーやリーダーを目指す中堅以上の介護職員におすすめなのが認知症介護実践リーダー研修です。

受験資格は認知症介護に5年以上関わってことに加え、認知症介護実践者研修を取得して1年以上経過していることです。研修修了まで時間がかかるものの、試験が無いため難易度は高くありません。

資格手当というより昇格に伴った収入アップが見込めます。

(参考)東京都認知症介護研修の概要 東京都福祉保健局

認知症ケア専門士

認知症ケア専門士は、名前のとおり認知症ケアに関する専門知識と適切なケアのスキルを兼ね備えていることを証明する資格です。受験資格として認知症ケアの3年以上の実務経験が必要です。

認知症に対する理解を深めることで、適切なケアができるようになり認知症の利用者との良好な関係作りに役立ちます。

試験は一次試験と二次試験があり、筆記試験のほかに論文やディスカッションもあるため難易度は高めです。

資格手当を設けている事業所は少数ですが、今後有用性が明らかになれば手当を支給する事業所は増えることが予想されます。

認知症ケア専門士について、詳しくはこちらでご覧いただけます。

重度訪問介護従事者養成研修

重度訪問介護従事者養成研修は肢体不自由の方や重度の知的・精神障害者など障害者に特化したサービスを提供する資格です。

「基礎課程」「追加課程」「統合過程」「行動障害支援課程」の4つの講習を受講すれば資格が取得できるため、難易度は高くありません。

重度訪問介護加算報酬が事業所に支給されますが、資格保持者の給与に反映されるかどうかは事業所の判断に委ねられます。

(参考)2 障害者居宅介護従業者基礎研修等 開講日程の御案内 東京都福祉保健局

作業療法士

作業療法士は、リハビリ専門職の中で統合失調症や気分障害などの精神障害がある方への治療が行える唯一の職業です。

資格を取得するには、作業療法士養成施設で3年以上の学習実績が必要です。合格率は70%以上となっているため、学習を欠かさず行っていれば合格が可能です。

事業加算の対象となるため、作業療法士の給与アップは進んでいます

作業療法士について、詳しくはこちらでご覧いただけます。

理学療法士

理学療法士は、理学療法を用いて患者さんの筋力や可動域に合わせてリハビリを行います。資格を取得するには、理学療法士養成施設で3年以上の学習実績が必要です。

作業療法士資格を持っている場合は、養成施設で2年以上学べば受験資格が得られます。近年の合格率は80%前後となっており、しっかり学習すれば手の届く資格であると言えます。

理学療法士も事業加算の対象となっているため、給与水準は高いです。

理学療法士について、詳しくはこちらでご覧いただけます。

福祉住環境コーディネーター

福祉住環境コーディネーターは高齢者や障害者に対して住みやすい住環境を提案するための資格です。

1・2・3級があり、2・3級の受験資格はありませんが、1級を受験するには2級に合格する必要があります。1級はかなり難関試験で近年の合格率は12%となっています。

給与アップに直接結び付く可能性は少ないですが、将来的に介護職からキャリアチェンジを考えているかたは取得するに越したことはありません。

福祉住環境コーディネーターについて、詳しくはこちらからご覧いただけます。

福祉用具専門相談員

福祉用具専門相談員は、公的介護保険で福祉用具を利用する方に対して福祉用具の選定や使用について提案ができる資格です。

厚生労働省指定の講習を受講し、修了試験に合格すると資格を取得できます。

介護福祉士や社会福祉士など、一部の資格を保有することで福祉用具専門相談員として認められるため、難易度は高くありません。したがって、新たに資格手当が加算される可能性は低いです。

福祉用具専門相談員について、詳しくはこちらでご覧いただけます。

介護予防運動指導員

介護予防運動指導員とは、高齢者が要介護状態に陥らないようにトレーニングや運動を指導し、身体ケアを行なうスキルを持つことを証明する資格です。

受験には初任者研修に加え、2年以上の実務経験が必要です。試験は講習の理解度を問う内容であるため、取得は難しくありません。

活躍の場は多岐に渡りますが、資格手当を支給する事業所は少数にとどまっています。

介護予防運動指導員について、詳しくはこちらからご覧いただけます。

レクレーション介護士

レクリエーション介護士は、レクリエーションの知識やスキルを身につけ、介護現場のレクリエーションの場で活かせる資格です。

受験資格は特になく、認定講座を受講して修了試験に合格すれば取得できます。難易度は低く、介護の知識がない方でも取得が可能な資格です。

資格単体で給与アップにつながる見込みは薄いです。

(参考)【公式】レクリエーション介護士|日本アクティブコミュニティ協会

ガイドヘルパー

ガイドヘルパーは視覚障害や知的障害のある方に対して移動介助を行うための資格です。受験資格は特になく、同行援護従業者養成研修を受けることで資格が得られます。介護系資格を持っていれば最短2日で取得可能なため、難易度は低いです。

一般的に給与は初任者研修の所持者とほぼ変わらないと言われています。

ガイドヘルパーについて、詳しくはこちらからご覧いただけます。

介護事務管理士

介護事務管理士は、高齢者福祉サービス事業所で請求業務や関係各所や離床者のご家族との調整を行います。デスクワークがメインとなり、OAスキルのほか介護保険の専門知識や請求業務に伴う経理の知識が必要です。

通学講座または通信講座を修了後、試験に合格すると資格が取得できます。難易度は中程度ですが、資格取得が給与に反映される見込みは薄いです。

(参考)介護事務管理士®技能認定試験 | JSMA 技能認定振興協会

介護職はまず5つの資格を目指そう

さまざまな介護の資格について解説してきましたが、まずは5つの資格の取得を目指すことをオススメします。

5つの資格は「初任者研修」、「実務者研修」、「介護福祉士」、「認定介護福祉士」、「ケアマネジャー」です。いずれも認知度の高い資格であり、ほかの資格に取得する場合に知識や経験を活かすことができます。

資格手当の額は事業所によって異なりますので、相場に対して手当が低いと感じたら転職を視野に入れるのも良いでしょう。

この記事を書いた人

冨松 智

1975年 奈良県出身
介護業界歴10年の介護福祉士
サービス提供責任者として4年従事した後、現在は一般介護職員として勤務
介護従事者を対象としたオンライン相談室開設

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