介護職に興味があるけど、介護業界はブラック企業が多い、労働環境が悪いなどのイメージを持つ人も多くいます。
しかし、ホワイト企業なら介護職に挑戦してみたいと考えている方もいるのではないでしょうか。
実際の介護業界はブラック企業ばかりではなく、業界全体が労働環境を改善しているので、安心して働けるホワイト企業も増えているのです。
この記事では、介護業界の実情や優良企業の特徴、探し方を解説していきます。
「ブラックなところだったらどうしよう」
「ホワイト企業で安心して働きたい!」
「良い施設に転職するにはどうすれば良い?」
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目次
介護業界でホワイト企業が増えている?
介護業界は慢性的に人手不足が問題とされているため、残業が多くなる施設や一人が担う業務が多いのに給与が上がらない施設など、ブラック企業を連想させるところがありました。
今でもブラック企業がないとは言い切れないものの、介護職員に対する待遇の改善施策を行う施設が多く、ホワイト企業が増えています。
給与面が改善されている、残業がほぼない、キャリアアップを目指しやすい環境が整っているなど、施設によってどのような対策が取られているかは変わってきます。
ホワイト企業が増えているなかでも、自分に合う企業を見つけることが重要なので見極められるようにしていきましょう。
介護業界はブラック企業が多いといわれる理由
まず、介護職はブラック企業ばかりだというイメージを持たれるそもそもの原因と、実際のところはどうなのかを見ていきます。
希望休が取りづらい
介護業界は希望休が取りづらいイメージが根付いています。
とくに、入所施設では365日24時間体制での介護が求められるため、不定休になりがちだったり土日祝でも出勤が必要になるケースがあります。
実際には、ほとんどの施設で有給休暇や毎月決まった数の希望休を提出できるようになっています。
しかし、人手が不足している事業所では希望する日に休みが取れないこともあり、ブラックだという印象につながってしまうのです。
残業が多い
※参照:公益財団法人介護労働安定センター「令和4年度介護労働実態調査 介護労働者の就業実態と就業意識調査 結果報告書」
介護業界は残業が多いイメージがありますが、実際には想像以上に残業が少ない業界です。
無期雇用職員の「残業なし」は55.0%で半数以上あり、有期雇用職員では63.9%にのぼります。
実態調査によると、1週間あたりの残業時間の平均は無期雇用職員で1.9時間、有期雇用職員で1.2時間となり、1日あたり20分程度となります。
しかし、人手不足が原因で残業が多くなってしまう事業所は一定数あるので、企業を選ぶときは残業時間も確認しておきましょう。
人手不足
介護業界では、深刻な人手不足が原因で希望休が取りづらい、残業が多くなるなど、より労働環境が悪くなるという悪循環に陥っています。
逆に言えば、職員配置にゆとりがある事業所であれば、十分に働きやすい環境だということです。
人手不足の理由としては、介護が必要な高齢者の人口の急激な増加、介護を担う若者の負担が大きいことがあげられます。
下記グラフでも、要介護者が約697万人いるのに対して介護職員は約215万人として482万人もの差があります。
※参照:厚生労働省「介護職員数の推移」
また、介護職は仕事の大変さに対して社会的評価が低く、若い世代や未経験の人が参入しにくい背景もあります。
給与が少ない
介護業界は他の職業と比較すると収入が少ないといわれていますが、実際は政府の取り組みにより年々給与は増えています。
【介護従事者等の平均給与額の状況(月給・常勤の者・職種別)】職種 | 平均給与額 |
---|---|
介護職員 | 31万7540円 |
看護職員 | 37万3750円 |
生活相談員・支援相談員 | 34万2330円 |
介護支援専門員 | 36万1770円 |
事務職員 | 30万7960円 |
※参照:厚生労働省「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」
また、同資料の「第7表 給与等の状況、サービス種類別」によると、80.5%もの施設や事業所が前年度より給与を引き上げており、今後も給与面に関する改善が期待できます。
ホワイト企業を見極める5つのポイント
ホワイト企業が増えている介護業界ですが、ブラックといわれるような環境の事業所がまだまだ存在しているのは確かです。
ここでは、ホワイト企業を見分けるポイントを見ていきます。
自分の希望の働き方に合った企業を検討する材料にしてみてください。
残業が少なくシフト調整がしやすい
「介護業界がブラック企業が多いといわれる理由」にあったように、残業やシフト調整のしづらさはブラックと言われてしまう要因の一つです。
しかし、近年ではそれが改善されつつあり、現在はシフトが決まっていて残業もほとんどない企業が多くあります。
また、条件が合えば有給休暇も適用されるところがほとんどで生活に合わせてお休みをとれるようになりました。
キャリアアップを目指せる
ホワイト企業の特徴として、キャリアアップのしやすさがあげられます。
具体的には、資格取得支援や研修制度、昇進昇格制度が明確に示されているかどうかをチェックしてみましょう。
また、処遇改善加算の申請をしている事業所であれば、キャリアアップしやすい環境が整っている可能性が高いといえるので転職をする際の参考にしてください。
離職率が少ない
入職することに気を取られてしまいますが、実は離職率が少ないかもホワイト企業を見極めるポイントだといえます。
働く環境や待遇が良いと自然と定着して働く人が増えるため、離職率が少ないところを選ぶことで良い職場環境か予測できるのでおすすめです。
施設や職場環境が良い
これは定着率にもつながることですが、職場環境が良いと働きやすくなるため長く務めることができます。
そのため、企業の制度やサポート体制、介護職員同士の関係が良好か、施設内の衛生面はどうかなどを確認しておきましょう。
このような情報は求人情報だけでは掲載させていないこともあるため、気になる方は施設の問い合わせ窓口や転職エージェントの担当に相談をしてみてください。
厚生労働省の認定マークを取得している
厚生労働省認定の証であるユースエール認定やくるみんマークの表示がある企業は、ホワイト企業である可能性が高いです。
ユースエール認定制度
ユースエール認定は、若者の雇用や教育を積極的に行っている企業の証明になるマークです。
以下では、ユースエール認定要件を一部紹介しています。
- 新卒者の正社員として就職した人の離職率が直近3事業年度で20%以下
- 「人材育成方針」「教育訓練計画」を策定している
- 正社員の月平均残業時間が20時間以下かつ月平均残業時間が60時間以上の職員がいないこと
- 直近3事業年度で、男性の育児休暇等取得者が1人以上もしくは女性の育児休暇等取得率が75%以上
ユースエール認定取得のためにはこれらを含むさまざまな要件を満たす必要があるので、取得している事業所は働きやすい環境だといえます。
ユースエール認定要件については、こちらの厚生労働省「ユースエール認定制度」をご覧ください。
くるみんマーク
くるみんマークは、子育てしやすい環境作りに力を入れている企業だと認定されたことを証明するマークです。
以下では、くるみん・トライくるみん認定基準の一部を紹介します。
- 男性の育児休暇取得率が10%以上、その割合を厚生労働省のウェブサイトで公表すること
- 女性の育児休暇取得率が75%以上、その割合を厚生労働省のウェブサイトで公表すること
- 3歳から小学校就学前の子どもを育てる労働者について、育児休暇や時短就労の制度を設けていること
くるみん認定のためにはこれらの厳しい要件を満たす必要があるので、取得している事業所は働きやすい環境だといえます。
認定基準やくわしい仕組みについては、こちらの厚生労働省「くるみん認定・トライくるみん認定・プラチナくるみん認定」をご覧ください。
ブラック企業3つの特徴
ブラック企業を見分けるポイントもおさえておくと、より働きやすい職場の求人を見つけやすくなります。
ここでは、ブラック企業の求人の特徴を見ていきます。
常に求人がある・募集人数が多い
求人募集を常に出している、規模に対して募集人数が多すぎる事業所は、離職率が高く定着率が低いブラック企業の可能性があるので気を付けましょう。
業務内容や経営側、あるいは在籍スタッフなどに何か問題があり、職員が定着しにくくなっていて人手不足の事業所の可能性があります。
しかし、施設の規模の拡大のためにそのような募集をしている場合もあるので、施設のHPなどで情報収集してみるのもおすすめです。
相場よりも給与が高すぎる・低すぎる
周辺の事業所と比べて、給与があまりにも高すぎたり低すぎたりする事業所には注意しましょう。
高すぎると、人材不足を補おうと給与を高く設定している可能性があります。
低すぎると処遇改善加算の等級が低い事業所、処遇改善加算がない事業所かもしれないので、気を付けましょう。
雇用契約があいまい
求人を見たときに様々な手当、夜勤の有無、年間休日などの待遇について詳細に書かれていない事業所はブラック企業の可能性が高いです。
待遇についてあいまいにする企業は、給与や休日、昇進・昇給についてもうやむやにする恐れがあります。
ほかにも、給与にみなし残業時間が多く含まれている場合もあるので、確認しておきましょう。
ただし、派遣求人では事業所を特定できる情報を載せることができないので、待遇面についてくわしく知りたい場合は派遣会社に問い合わせてください。
ホワイト企業に転職するコツ
これまでホワイト企業とブラック企業の見極めるポイントなどを解説してきたなかで、転職をしたいと思った方がいるのではないでしょうか。
この項目では、介護業界のホワイト企業に転職するときに見ておくと良いコツを3つ紹介していきます。
これから転職活動を始める方は、ぜひ参考にしてください。
企業側が求める人材を知る
自分が希望している条件が企業に合わなければ採用してもらえる確率は低くなり、転職に時間がかかってしまいます。
求人を探すときに自分が希望する条件を明確にするとともに、企業側が求めている人材やスキルなども調べておきましょう。
企業が求めることが何かを把握し、自分にできることがあればそれを活かして現場で活躍することができます。
希望している転職先がある方は、企業について情報を集めて条件に合うポイントをアピールすることで、転職を成功させる確率が上がりますよ。
介護関連の資格取得を目指す
未経験や無資格からでも始められる介護の仕事ですが、できる業務の範囲は狭いため選べる求人も少ない傾向があります。
そのため、介護職で働きたい方は介護関連の資格を取得しておくことをおすすめします。
取得をおすすめする基本的な資格は、以下3つとなるのでご確認ください。
- 基礎が学べる「介護職員初任者研修」
- より専門的な知識が身につく「介護福祉士実務者研修」
- 介護資格の中で唯一の国家資格「介護福祉士」
介護の仕事は職種によって必要となる資格があるため、資格について調べたい方は「介護職で役立つ資格25種類を一覧で紹介!」をご覧ください。
転職エージェントに相談
求人を転職サイトや雑誌で探すのは大変なので、なかなか自分が働きたいと思える求人が見つからない場合は介護職にくわしい転職エージェントに相談してみましょう。
転職エージェントや派遣会社によって変わりますが、仕事探しだけでなく面接のアドバイスや履歴書の添削、悩みごとの相談、資格取得サポートなども受けられます。
自分が希望する求人を見つけたい方だけでなく、転職前にある程度の知識を身につけておきたい方にもおすすめです。
転職エージェントを比較したい方は、こちらの「介護職の転職エージェントおすすめ15社比較やコツを紹介」を参考に自分に合うところを探してみてください。
介護業界の環境改善のための政府の施策
介護業界がブラック企業が多いといわれる理由や、ホワイト企業とブラック企業の見分け方について解説をしてきました。
なかでも、ブラックといわれる理由にあげた「有給が取りづらい」「残業が多い」につながる要因でもある人手不足は、介護業界で大きな問題としてあげられているのです。
そこで、そもそもの原因である人手不足を改善するため、政府も様々な施策を行っており、実際に給与面では数字に反映されています。
ここでは、介護業界の働きやすさ向上のために現在行われている施策を紹介します。
処遇改善加算
処遇改善加算とは、キャリアパスの仕組みづくりや職場環境の改善を行った事業所に、介護職員の給与に充てるためのお金を政府が支給するという制度です。
「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要」によると、全国の介護事業所のうち94.5%が処遇改善加算制度の取得や届出をしています。
それだけ多くの事業所が職場環境の改善に取り組み、今後は給与も上がっていくと考えられます。
政府による賃上げの実施
2022年2月より実施されている介護職員等ベースアップ等支援加算は、処遇改善加算のⅠ~Ⅲを取得した事業所に勤める介護職員(パートやアルバイトも含む)の月給を約9000円の賃上げをするものです。
「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要」に施策の結果がまとめられていて、全国の回答事業所のうち91.3%が制度の取得や届出をしていることから給与面でも改善が進められているといえます。
ロボット・AI・ICTなどの活用
介護業界では、ロボットやAI、ICTの導入を推し進めています。
たとえば、記録管理やケアプランの作成、投薬管理、複雑な給与計算、勤怠管理といった事務作業をデジタル化することで、職員の負担を減らすことができます。
これで直接的な介護に集中できるようになり、事務作業のために残業をする必要もなくなります。
ほかのスタッフとの情報の共有がしやすく、データをうまく活用することで俗人化を防ぎ、職員の介護スキルの底上げも期待できます。
ほかにも、見守りシステムで利用者が自室にいるかどうかのチェックをするなど、デジタル技術によって仕事の効率化を図っています。
くわしくは、厚生労働省ホームページ「介護現場におけるICTの利用促進」をご覧ください。
よくある質問
ここでは、介護業界のホワイト企業についてよくある質問を紹介します。
ホワイト企業を見つける方法を教えてください
ホワイト企業をどう定義しているかは一人ひとり違います。
残業時間や年間休日数のような勤務体制、キャリアアップ制度、施設内の環境などが整っているかを確認することで、働きやすい環境かのおおよその判断ができます。
「ホワイト企業を見極める5つのポイント」で解説しているので、気になる方はご覧ください。
ブラック企業と思われる求人の特徴はありますか?
確実にブラック企業だと判断ができるものはありません。
傾向として気を付けた方が良い特徴は、求人を常に出しているところや、給与が極端に高かったり低かったりするところ、求人の詳細が記載されていない求人などがあります。
気になる方は「ブラック企業3つの特徴」の解説をご覧ください。
まとめ
ブラック企業が多いと思われがちな介護業界ですが、その原因は深刻な人手不足にあり、人手不足によって働きにくさを助長している状況です。
しかし、実際には政府の施策で給与面をはじめとして労働環境が大きく改善されており、働きやすい現場が増えています。
ホワイト企業はワークライフバランスが整っている、キャリアアップしやすい、厚生労働省の認定マークを取得している、施設の雰囲気が明るく清潔などの特徴があります。
反対にブラック企業は常に求人がある、相場よりも給与が高すぎる、または低すぎる、雇用契約があいまいなどの特徴があるのです。
介護職で働きたいと思っている方は、これらの特徴を見極めて自分に合う転職を挑戦してみてくださいね。
一人でホワイト企業がブラック企業かを見極めるのは大変なので、転職エージェントに相談しながら探すのがおすすめです。
ウィルオブ介護は業界に特化しているため、介護の求人が見つかりやすい傾向があります。希望条件に合わせた働き方の提案ができますので、転職で悩まれている方はぜひお問い合わせください。