介護の仕事は、2024年3月までであれば無資格でも働くことができますが、2024年4月からは「認知症介護基礎研修」の受講が完全義務化されます。
しかし、研修は一日で修了するため無資格の方でも挑戦するハードルは低めです。
この記事では、無資格の方ができる介護の仕事や求められること、義務化される認知症介護基礎研修や取得をおすすめする資格などについて解説していきます。
これから介護職への転職を検討されている方は、参考にしてください。
もし、資格を取得しても未経験で働けるかが気になる方は「介護職で未経験が働くには?できる仕事や転職方法など解説」もあわせてご覧ください。
「無資格でも働ける?」
「無資格だと求人は少ない?」
「今はないけど将来的には資格がほしい!」
介護職に特化したウィルオブ介護は、研修や資格取得に関する相談や対策も提案しています。気になる方は相談だけでも受け付けているので、ぜひ一度お問い合わせください。
目次
介護の仕事は無資格からでもできる?
結論からいえば、性別や年齢に関係なく挑戦できる職種なので無資格からも始めることは可能です。
しかし、認知症介護基礎研修の受講が義務化されてしまうと無資格のまま働くことが難しくなっていきます。
それでも、現在は無資格でも働くことは可能なため資格がなくてもできる業務や、今後の働き方について解説していきます。
できる業務とできない業務
無資格から介護の仕事ができると話しましたが、介護業務の中には資格がないとできない仕事もあります。
基本的に以下のように分けられているので、事前に確認をしておきましょう。
・介護施設内での身体介助業務
・シーツ交換などの環境整備
・送迎業務
・訪問介護業務
※訪問介護で介助業務を行う場合は資格が必要
実際にどのような仕事を任されるかは職場によって変わるので、気になる方は各施設に問い合わせてください。
資格は必要になっていく
2024年4月からは、認知症介護基礎研修の受講が完全に義務化されるため無資格で働くことは難しくなります。
しかし、研修にかかる時間は自治体によって差はありますが約6時間で取得できるため、無資格でも受講をしてから仕事を始めることが可能です。
認知症介護基礎研修については「【2024年4月より完全義務化】認知症介護基礎研修」でくわしく解説しているので、あわせてご覧ください。
無資格から転職する4つのポイント
これまでの内容から、無資格から介護職への転職を希望する方はここで紹介する4つのポイントを考慮した転職活動を進めていきましょう。
自分が希望する働き方を明確にする
興味があるからと何も考えずに転職をすると、入職後の働き方でイメージと違うからと苦痛を感じてしまうことがあります。
そうならないためにも、なぜ介護職に興味を持ったかを考えてどのような働き方をしたいか深掘りをしてから転職をするようにしてください。
介護職とひとことで言っても「できる業務とできない業務」で話したように、無資格だと選べる仕事の幅が狭いのです。
仕事を探す時点でどのような働き方をしたいかが決まっていれば、仕事を探す条件もはっきりするので仕事が見つかりやすくなります。
資格取得も視野に入れる
認知症介護基礎研修が義務化されることも理由の一つではありますが、介護職で働くのであれば資格取得を視野に入れた転職をおすすめします。
資格を取得することで仕事の選択肢が増えるだけでなく、介護に関する知識や技術を身に着けることで経験が浅くても現場で活躍できるからです。
長く働きたい方には資格の取得は必須ともいえるので、転職前でも仕事を始めた後でも資格の取得を検討してください。
介護の職種によっては資格が必須となるものもあるので、興味がある方は「介護職で役立つ資格25種類を一覧で紹介!取得方法やメリットも解説」もあわせてご確認ください。
介護に関する知識を集める
資格を取得しても、状況によって職場での対応方法は変わってきます。
そういった変化についていくためにも、介護に関する知識を身に着ける努力は続けていきましょう。
とくに、無資格のまま働くのであれば介護に関する知識は重要になるため、学ぶ姿勢を持ち続けることは大切です。
介護職に特化した転職エージェントに相談
無資格だと仕事探しから面接まですべて一人でこなさなくてはならないため、介護職に特化した転職エージェントに相談しながらの転職活動がおすすめです。
仕事探し以外でも、会社によって変わりますがスキルアップや面接対策などの転職をサポートする制度が整っているため転職前に苦手な部分を改善することができますよ。
介護職に特化した転職エージェントについては、以下の記事でも紹介しているので転職で悩まれている方はあわせてご覧ください。
【2024年4月より完全義務化】認知症介護基礎研修
厚生労働省が出している令和3年度介護報酬改定によって、認知症介護基礎研修の義務化が進められています。
この義務化は2021年4月に決定していたものの、急に義務化にするのが難しいため2024年3月までは経過措置の期間を設けています。
完全に義務化されたら無資格の方は研修の受講をしなくてはならないことを覚えておきましょう。
ここでは、そんな認知症介護基礎研修について解説していきます。
介護職に携わる人は必ず受講
この研修を受講する対象となる人は、介護施設や事業所などで従事している介護職員です。
介護の仕事に携わるのであれば受講する必要があるといえますが、以下の資格を保有している人は研修の免除がされるので医療・福祉関連の資格がある方は確認しておきましょう。
【免除される資格等】
看護師、准看護師、介護福祉士、介護支援専門員、実務者研修修了者、介護職員初任者研修修了者、生活援助従事者研修修了者に加え、介護職員基礎研修課程又は訪問介護員養成研修課程一級課程・二級課程修了者、社会福祉士、医師、歯科医師、薬剤師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、精神保健福祉士、管理栄養士、栄養士、あん摩マッサージ師、はり師、きゅう師等
※引用:厚生労働省老健局「介護保険最新情報」Vol.934 令和 3 年3月 16 日
取得期間
研修は自治体やeラーニングによって変わりますが、およそ6時間なので一日で修了します。
受講内容は150分ほどの動画視聴以外にも確認テストや自己ワークなどがあり、基礎的な知識や介護の方法などを学べるので自信を持って業務に携わることができます。
介護職で最初に取得する資格である介護職員初任者研修だと受講時間が130時間ほどかかるので、介護の仕事を経験したい方は認知症介護基礎研修の取得がおすすめです。
取得のメリット
義務化されてしまうこともあり、介護職で働きたいと思っているのであれば前もって取得しておくことで無資格よりも転職がしやすくなります。
ほかにも、しっかりと基礎となる知識を身につけられるのでより質の高い業務ができて、即戦力として働ける可能性が高まることもメリットです。
研修の修了期間がほかの資格よりも短時間である部分も、早くに転職したい方にとっては嬉しいポイントだといえるので研修受講を目指しても損はありません。
介護職員初任者研修とどっちを選ぶ?
認知症介護基礎研修が義務化される前までは、資格を取得するのであればまずは介護職員初任者研修の取得をおすすめしていました。
もちろん、長く働くのであれば介護の基礎を学べる介護職員初任者研修の取得が向いていますが、取得までに時間がかかってしまいます。
そのため、どちらが良いかを選ぶ目安として、以下の表で二つの資格を比較します。
受講内容は、認知症介護基礎研修では認知症に関することがメインですが、初任者研修では認知症に関することも含めた基本的な知識や技術を学ぶことができます。
このことから、どちらを選ぶかは今後どのような働き方をしたいかによっても変えることをおすすめします。
- 認知症介護基礎研修……早めに資格を取得して働きたい方
- 介護職員初任者研修……介護職で長く働きたい方
無資格と有資格の給料差
未経験や無資格の方は給料が少ない傾向が多いことから、介護職で長く働くなら少しでも給料が高いところで働くために資格を取得しようと考える方はいます。
しかし、実際にどのくらい給料差が出るのかわからないと、どの職種を目指せば良いかわからないものです。
ここでは、無資格と有資格の給料差を一覧で確認してみましょう。
【資格別平均給与額一覧(月給・常勤者)】保有資格 | 令和4年9月 | 令和3年12月 |
---|---|---|
保有資格なし | 26万8680円 | 25万1430円 |
介護職員初任者研修 | 30万240円 | 28万6100円 |
介護福祉士実務者研修 | 30万2430円 | 28万8260円 |
介護福祉士 | 33万1080円 | 31万4970円 |
介護支援専門員 | 37万6770円 | 36万2530円 |
社会福祉士 | 35万120円 | 33万1710円 |
※参照:厚生労働省「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果(P.157)」
施設によって資格手取りを取り入れていることにより差が出ているので、今後は認知症介護基礎研修の取得でどのような差が出るかも注目すると検討しやすくなりますよ。
無資格から始めるメリット・デメリット
これまで無資格について話をしてきましたが、無資格のまま働く資格取得を目指すかは人によって変わります。
ここでは、無資格から介護の仕事を始めるメリットとデメリットを紹介していくので、自分が将来どのような働き方をするかを検討する参考にしてください。
メリット
- すぐに介護の仕事に携われる
- 介護の現場を知ることができる
- 長く働けるか見極めてから資格取得を目指せる
介護の基礎を学べる介護初任者研修でも取得までに約130時間かかってしまうため、すぐに働き始めることができないためすぐに働きたい方は無資格からがおすすめです。
もし、必要になったとしても認知症介護基礎研修であれば一日(約6時間)で取得できるので働き始めるまでが早いのです。
また、介護の現場や仕事を知ってから資格取得を目指すかを検討できるのもメリットです。
デメリット
- できない業務がある
- 転職のときに仕事が見つからないことがある
- 給料が低い
「介護の仕事は無資格からでもできる?」でも話していますが、できる業務とできない業務があるため、やりたい仕事ができない可能性があります。
そのため、業務によって給料差が出るため無資格だと給料が少なくなっていることもあります。
また、転職のときにも資格保有者の方が採用されやすい傾向があるので、転職先がなかなか見つからないこともあるのです。
無資格の方に求められること
前の項目では無資格でも介護の仕事ができるかを話してきたので、ここからは無資格の方に求められることを紹介していきます。
介護業界の知識や経験が少なくて不安な方は、求められることで力を発揮できるように意識して働いてみてください。
コミュニケーション能力
介護の現場では、介護職員だけでなく利用者やその家族の方と接する機会が多い傾向があります。
コミュニケーション能力は、人が多い環境でも業務を円滑に行ったり現場の雰囲気を良くしたりするためにもなる大切なスキルです。
介護職員との連携が取れていれば業務の効率アップにもつながり、チームワークができていれば何かあったときにフォローすることもできるようになります。
また、仕事以外でも交流を深めておくと何かあったときに相談しやすくもなるので、無資格でも安心して働けますよ。
細やかな気配り
介護の仕事は、介護が必要な方が日常の生活を安心して過ごせるようにサポートをすることです。
そのためには、一人ひとりに合わせた対応が必要なので細かいところまで気を配る必要があります。
これは利用者に対してだけでなく、過ごしやすい環境を整えるために施設でも気になる部分があれば改善していくようにしましょう。
柔軟な対応力
介護の現場は、利用者の体調や精神状態によって対応が変わるため、何かあったときに対応できる柔軟性は必要となるスキルです。
しかし、とっさの時に対応するためには普段から利用者の様子を見て記録をしておく必要があります。
このスキルは普段から介護職員や利用者とのコミュニケーションや業務の経験などを積んだあとにできるようになるため、少しずつ対応力を身につけてください。
介護の仕事に対する前向きな姿勢
年齢や経験、資格の有無などに関係なく始められる介護の仕事ではありますが、認知症介護基礎研修が義務化されることを考えると基礎的な知識は必要だといえます。
そのため、無資格から始めたとしても介護の仕事に関する知識やスキルを身につけようと前向きな姿勢を持っていてください。
これは介護以外の業界でもいえることですが、自分が関わる仕事には前向きでいなくては仕事が続きませんし、周りへの印象も悪くなります。
また、仕事に対して向上心がある方が印象も良くなるため、面接のときにも関心があることをアピールしましょう。
無資格の方は資格取得がおすすめ
これまで話をしてきましたが、2024年3月までは無資格でも働けるといっても認知症介護基礎研修の受講が完全に義務化されてしまいます。
施設によっては受講を推奨しているところもありますが、介護職で働こうと考えているのであれば今から資格の取得を目指していきましょう。
ここでは、介護職の資格について解説していくので取得を目指すときの参考にしてください。
働きながら資格を取得する方法
まだ働き始める前であれば、資格について調べて自分で申し込むことで受講することができます。
しかし、人によってはすでに介護職で働いているため、資格取得するための時間の作り方や仕事との両立が難しいと悩まれることは少なくありません。
一人で進めるのではなく、職場の上司や担当者に相談をして資格を取得するためのスケジュール調整が可能かを確認しておきましょう。
ほかにも、施設や自治体で資格取得支援制度が可能なところもあるので、そちらを利用するのもおすすめです。
制度の条件や内容は異なるので、確認をして自分が必要とする制度が何かを検討してから活用してください。
介護職でおすすめの資格
おもに無資格で働くことに関して話をしてきましたが、より質の高く選べる仕事の幅が広がる働き方を目指すのであれば資格の取得が必要になります。
無資格から資格取得を目指すのであれば、基本的な知識や技術を学べる以下の3つの資格がおすすめです。
- 介護職員初任者研修……介護の基礎や技術を学べる入門的な資格
- 介護福祉士実務者研修……初任者研修よりも高度な知識や技術を学べる資格
- 介護福祉士……専門知識や技術を有していると認められる介護の資格で唯一の国家資格
介護の資格についてくわしく知りたい方は、こちらの「介護職で役立つ資格25種類を一覧で紹介!取得方法やメリットも解説」もあわせてご覧ください。
よくある質問
ここでは、無資格の方が介護職への転職を考えたときによくある質問を紹介します。
無資格から介護の仕事は始められますか?
無資格でも、介護職でできる仕事があるので働けます。
しかし、2021年4月から認知症介護基礎研修の受講が義務化されると決定したことにより、2024年3月までは猶予期間、その後は完全義務化されることになっています。
そのため、204年4月からは無資格のままで働くことが難しくなるといえます。
ただ、転職エージェントや施設によっては転職後に研修を受講させているところもあるので、転職活動の時点でどのように受講すれば良いか確認しておきましょう。
「介護の仕事は無資格からでもできる?」の項目でも解説をしているので、くわしく知りたい方はご覧ください。
無資格から転職する方法はありますか?
無資格だと、介護職に関する知識があまりなくて転職に不利だと考える方はいます。
しかし、転職をするときに介護職で希望する働き方を明確にしていなくては仕事探しも苦戦してしまいます。
転職活動をする時点で自己分析をしたり、介護職に関する知識を身に着けるための努力をしておくようにしましょう。
転職のポイントについては、こちらの「無資格から転職する4つのポイント」をご覧ください。
まとめ
無資格から転職ができたとしても、2024年4月から認知症介護基礎研修が完全義務化されるので資格を取得しなくてはなりません。
しかし、研修自体は一日(6時間)の講習なので無資格の方もすぐに取得して働き始めることができるので無資格からも安心して挑戦できます。
ただ、資格によってできる業務の範囲が変わってくるため、長く働きたい方がある場合はどのような資格が必要か調べて取得を目指していきましょう。
無資格でも介護の仕事を目指したい方は、今回の記事を参考に介護職への転職を検討してみてください。
これまで無資格で働けても認知症介護基礎研修が義務化されるので必要になると話してきましたが、実際にどのように取得するか悩まれる方はいます。
ウィルオブ介護では、転職サポートの一環として資格取得支援も行っています。介護の資格をどう取得するか悩まれている方は、ぜひ一度ご相談ください。