昨今のコロナ禍で失業率増加に関する報道をよく目にするようになりました。特に働き盛りの40代の失業が家庭に与える経済的影響は計り知れません。

求人件数が減少する一方、介護職の有効求人倍率は3.63(※)となっています(2021年9月時点)。実際に40代で介護職として採用されるケースは珍しくありません

しかし、一般企業と介護業界とでは下記のような違いがあります。

  • 女性が職員の大半を占める
  • 主な業務内容は高齢者や障害者の生活支援
  • 力仕事の占める割合が高い

そこで介護業界に興味があり、転職を考えている方に後悔しない転職の方法を解説します。

(※) 一般職業紹介状況(令和3年9月分)

介護職は40代からでも転職できる?

結論から言うと、介護職は年齢や職歴を理由に不採用となることはありません。介護業界では人柄が重視される傾向が強いためです。

ここでは40代で介護職に転職する際の心掛けについてお伝えします。

実務経験がある40代の場合

事業所側から見ると、実務経験がある40代の求職者は即戦力として見なされます。年齢はもはや問題ではなく、逆に期待されることが多いでしょう。

採用面接で重要なことは、これまでの経験が新しい職場でどのように役立てられるかをアピールすることです。また、面接官が納得できる転職理由や将来のキャリアプランについて説明できる準備をしておけば万全です。

実務経験はないが初任者研修などをもっている40代の場合

事業者が気にするのは、在籍中の職員と上手くやっていけるかどうか、働き続けることができるかどうかの2点です。

異業種からの転職組には、資格は取ったものの実務経験がない方がいると思います。これまで培ったスキルや経験の中から介護現場で役立ちそうなものを取り上げ、自分の強みとしてアピールしましょう。事業者の不安を払拭し、期待感を持ってもらうことに繋がります。

自分の介護観は横に置いて、事業所のやり方に従って実務経験を積むことが最優先事項となります。

未経験で無資格の40代の場合

実務経験や資格が無い40代が介護職に転職するのは少し難易度が高いです。

介護現場を知らない応募者は仕事を続けられる保証もなく、想像とのギャップにショックを受けて辞めていくパターンが非常に多いためです。しかも40代は20代・30代の職員と比べて、体力的に劣ることは否めません

時には若い職員に教えを乞うことも必要で、チームの一員として協力する姿勢を見せることが不可欠となります。

未経験・無資格の40代の方は周囲と円滑にコミュニケーションを取りながら、初任者研修を取得してスタートラインに立つことを目指してください。

初任者研修についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

資格取得支援制度や教育体制はあるか、雰囲気はどうかなどの情報収集を入念に行なった上で慎重に職場を選ぶことが重要になります。

40代が介護業界で求められること

40代で転職した場合、上司や同僚が年下であることはざらにあります。上司はもちろん、同僚に対してもいきなりタメ口はタブーです。年下の同僚に対しては関係性ができてから少しずつ話し方を変えていきましょう。

自分と違う世代の考え方や価値観を理解しようとする姿勢も大切です。40代の介護職は年上の利用者を相手に年下の同僚や上司と共に働きます。
時には意見がぶつかることがあるかもしれませんが、相手の意見を受け入れる柔軟性を持ちましょう。

一方で事業所として40代に求めるのは、現場の仕事を覚えた後にリーダーや管理者としてのキャリアアップです。介護は未経験であっても、若い世代が持っていないコミュニケーション力やリーダーシップは武器となります。

40代で介護職に転職するメリットは?

40代で介護職に転職するメリットを確認していきましょう。

管理職へのキャリアアップが可能

介護業界は特殊でビジネスリテラシーがあまり高くありません。特に異業種から転職された方は驚かれるかもしれません。

また40代は若い世代より人生経験が豊富であるかと思います。資格を取得しながらキャリアを積んでいけば、管理職への昇格も夢ではありません

景気などの外的要因に業績が左右されない

介護は商品を販売したり、在庫を抱えたりする必要がないので景気に左右されることなく、安定した収入が得られます。不景気だからと言って、利用者が居なくなることもありません。

コロナ禍で飲食や旅行、娯楽業界が大きな打撃を受けたのに対し、介護業界はほとんど影響なく営業を続けることができました。医療従事者と並んで介護職も欠かすことのできないエッセンシャルワーカーであり、今後ますます需要が伸びるのは明白です。

両親の介護が必要になった際に知識・スキルが生かせる

仕事で身についた知識やスキルは、家庭で両親の介護にそのまま活かすことができます。特に親が認知症や精神疾患を患った場合など、適切な関わりかたを知っているか知らないかでは受ける自身が感じるストレスが全く違います。

いざという時のために、さまざまな事例を知ることができるのは介護職の特権と言えるでしょう。

メリット以前に異業種から転職組の方は、そもそも仕事内容をよく知らないかもしれません。基本的な介護の仕事についてはこちらの記事をご覧ください。

40代で介護職に転職できた場合どんなキャリアを積んでいける?

介護職としてキャリアアップを図るなら、3年の実務経験を積んで介護福祉士になることを目標にされることをお勧めします。受験資格となる実務研修は事前に修了しておきましょう

介護福祉士実務者研修についてはこちらの記事でご覧いただけます。

介護福祉士を取得した後は管理者になって施設長を目指す道もありますし、実務経験を積んでケアマネージャーを目指すのも良いと思います。

役職に就くと責任は重くなりますが、介護職だった頃には見えなかった介護保険制度の仕組みやお金の流れが見えてきます。ミクロではなくマクロの視点で物事が見えるようになるので、今何が問題で改善するために何が必要か見極めることができます。そういった視座を養うことにより、経営者としての道も開けてきます。

20代や30代とは違って、40代で肉体労働を続けるのは想像以上に過酷です。実務経験を積みながら将来に向けたシフトチェンジを意識しておくことが大事です。

40代が介護職で働く場合の給与

介護職の給与は施設形態や役職、勤続年数、資格、夜勤回数によって異なります。
すべての介護事業所の介護従事者全体の平均給与は下表の通りです。

保有資格 勤続年数(年) 平均月給額(円)
介護福祉士 8.9 329,250
実務者研修 6.7 303,230
初任者研修 7.3 301,210
資格なし 5.5 275,920

出典:令和2年度介護従事者処遇状況等調査結果

資格ありの場合

調査結果によると、勤続年数8.9年の介護福祉士の平均給与は329,250円となっています。勤続年数の差はありますが、実務者研修保有者との差は26,020円、初任者研修との差は28,040円となっています。

ただし、勤続年数による昇給は微々たるもので資格手当の差には及びません。いくら勤続年数が長くても、資格を取得しない限り給与は上がらないということです。

資格なしの場合

資格なしの職員と介護福祉士との平均月給の差は53,330円にもなります。年収に換算するとその差は60万円以上です。
また上記の給与はあくまで平均値であるため、実際にはもっと少ない可能性があります。

給与も少ない中、資格スクールの受講料の支払いは負担が大きいのではないでしょうか。そういった場合は、資格取得支援制度を利用されることをお勧めします。制度自体が事業所にない場合、資格取得支援制度がある転職サイトやエージェントを利用するとよいでしょう。

資格取得のほかにも年収を上げる方法がいくつかあります。
方法を知りたい方は下記をご覧ください。

40代が介護転職に成功するためのポイント

40代が介護転職に成功するためには、施設選びが重要です。施設選びでつまずくと離職につながり、「介護職は無理!」となりかねません。

施設が合っていなかっただけで、介護に向いていないと決めつけるのはもったいないです。そこで介護転職に成功するための施設選びのポイントを紹介します。

40代介護士の施設の選び方

施設選びで重視するポイントは以下の4つです。

教育体制が整っている

資格のありなしに関わらず、教育体制が整っている施設を選ぶのは絶対条件です。

たとえ資格を持っていたとしても、施設の方針や介護の仕方は様々なので、入社後は教育や指導をしてもらう必要があります。資格ありだからといって教育・指導をしないのは、教育体制が無いのも同然です。

口コミサイトや転職サイトで施設の雰囲気や情報を事前に確認しておくことをお勧めします。

資格取得支援がある

まだ介護福祉士を保有していない場合、補助金・助成金・給付金制度など資格取得支援制度の有無も重要です。全額負担・条件付き負担・一部負担など、施設によってさまざまな形の資格取得を支援する制度があります。
同程度の待遇で比較するなら、資格取得支援制度のある施設を選ばれると良いと思います。制度の有無は施設や自治体のホームページで確認できます。

子育て支援制度がある

子育て支援制度は、今や女性だけに関係するものではなくなっています。育児は女性だけがすることではないことはもちろん、生活スタイルの変化によって、女性が働きに出て男性が家事や育児をする家庭も増えています。

実際、男性の育児休暇取得率は年々増加傾向にあります。
参考:厚生労働省「男性の育児休業の取得状況と取得促進のための取組について

子育てをしながら仕事が続けられる子育て支援制度は国も推進しています。

人員配置に無理が無い

施設形態ごとに人員基準が法律で定められています。
先日、介護施設の人員配置の規制緩和に関して報道がありました(※)が、人員配置を満たしていない介護施設もゼロではありません。

人員配置に無理がある施設では、利用者に対するケアが雑になり職場環境も悪く、一人当たりの業務負担が増え、ストレスや疲れが溜まる原因になります。良い環境で働くことは仕事が長続きする秘訣です。

(※)1人で4人介護 可能に 生産性向上へ規制緩和: 日本経済新聞

介護士求人の見方と選び方

求人を検索する場合は上記で挙げたポイントを満たしているかを確認しましょう。資格なしの方は、未経験者可の求人であるかの確認が最低限必要です。就職を希望する候補をいくつかに絞ったら、面接を申し込みます。面接と同時に可能であれば施設見学を申し出ると良いでしょう。面接官の話だけでは伝わらない施設の雰囲気が感じ取れると思います。自分に合った施設を選ぶことが何より重要です。

転職のサポートは転職サイトやエージェントに依頼すると効率よく転職活動が進められます。おすすめの転職サイトやエージェントはこちらからご覧いただけます。

おわりに:介護職の転職に年齢は関係ない

介護事業者は採用条件として年齢をそれほど重視していません。30代から40代が従業員の大半を占める施設は多いです。何も力仕事だけが介護ではありません。

40代で介護転職するなら、人生経験を活かしてキャリアアップを目指すことです。採用側の事業者もそれを望んでいます。臆することなくチャレンジしてほしいと思います。

この記事を書いた人

冨松 智

1975年 奈良県出身
介護業界歴10年の介護福祉士
サービス提供責任者として4年従事した後、現在は一般介護職員として勤務
介護従事者を対象としたオンライン相談室開設

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