介護職員処遇改善加算とは、介護職員の給与水準を上げるために2009年度からスタートした制度です。

スタート以来、介護職員の給与水準は上がってきているのですが、実際にどのような改正が行われているかわからない方はいます。

ここでは、介護職員処遇改善加算の概要や要件、改正で変わったことなどについて解説をしていきます。

自分が処遇改善加算をもらえる対象かを知りたい方の参考にもなりますので、是非ご覧ください。

処遇改善の制度について知りたい方は転職エージェントに相談を

介護職で働いていると、待遇改善の可能性がある制度があると知れば自分が適用されるか気になるものです。しかし、制度の要件や注意事項などわかりづらくて把握しきれない方もいます。

制度についてくわしく知りたい方は、介護職に特化したエージェントに相談することがおすすめです。介護ワークのエージェントは、実際に現場を経験していて、制度に関する解説や制度が適用されている事業所への転職活動のサポートを行っています。

介護職員処遇改善加算とは

最初にも説明をしたように、介護職員の処遇を改善するために支払われる賃金のことで、介護職の給与水準を上げることを目的としています。

また、これまでの介護職員処遇改善加算の制度では、介護職員間でもらえる金額にかなりの差があり、リーダー級ポジションの人が圧倒的に多くのお金をもらっている状況でした。

そんな職員間の不平等を軽減させるために2021年に介護職員処遇改善加算制度を改正したのです。

この改正によって、これまでは介護職員処遇改善加算の恩恵をそれほど受けられなかった職員も、給与水準向上が期待できます。

制度が作られた背景

介護職員は、高齢者問題を解決するための重要な存在であるにも関わらず、低賃金で使われている現状があります。

そのため、介護職員が多く必要であるにも関わらず、せっかく介護の現場に入ってきてくれた若者が給与水準の安さが理由になって、離職することも少なくなかったのです。

そこで、国は介護報酬そのもの(単価)を上げることによって、介護職の処遇改善を図ろうとし、さまざまな制度を作ってきました。

しかし、介護報酬の単価が向上し、事業所は多くの利益を得たにもかかわらず、増えた介護報酬分のお金を職員への給与支払いに充当せず、事業所でピンハネしてしまいました。

結局、介護職員の給与水準は向上しないという悪循環を生み出してしまったのです。

つまり、以前の諸制度では、制度のおかげで介護事業所にはお金が生まれているのに、そのお金を事業所が、きちんと職員に還元しないという問題が発生していたわけです。

介護職員処遇改善加算は、この問題点を大きく改善した制度です。

介護職員処遇改善加算の仕組み

この制度は、得た利益を事業所がピンハネをできない仕組みが徹底されています。

まず、介護職員処遇改善加算では、介護職のためにキャリアアップの仕組みを作ったり職場環境の改善を行ったりした介護事業所に対して、国(地方自治体)がお金を支給します。

そして、この支給されたお金は、全額介護職員に支払わなければならないというルールがあるのです。

仮に、支給されたお金を1円でも事業所に残してしまうとルール違反となり、返還の対象になります。

さらに、お金をきちんと支払ったかの報告義務も存在しています。

国や自治体に、何人の職員にいくら支給したか、どのように支給(ボーナスにプラスして支払った)したのか、を詳細に報告しなくてはなりません。

なお、 事業所に入ったお金をどのように介護職員に分配するかは、事業者の裁量に任されています。

ただし、分配の方法については、事業所で働く介護職員全員に周知しなければならないというルールになっていて、職員は分配方法に異議を唱えることも可能です。

    【ポイントのまとめ】

  • 介護職員の処遇を改善するために、支払われるお金のこと
  • 支給されたお金は、全額、介護職員に支払わなければならないというルールがある
  • お金をどのように介護職員に分配するかは、事業者の裁量に任されている

申請から支給までの手順

では、実際にどのような流れで支給されるのかを解説しますが、申請や支給は事業所が行うので、介護職員が直接何かしなくてはならない手続きはありません。

どのような手順で行われているかを知っておきましょう。

事業所が都道府県に計画書を提出

これは、事業所がどのような計画のもとに運用していたかを報告するためのものです。

計画書の作成だけではピンハネの恐れもあるので、都道府県でしっかりと計画書通りの運用が行われていたかを確認します。

都道府県の委託先が事業所に支払いを行う

提出した計画書が都道府県に認可されれば、今度は都道府県が支払いを委託している国保連が事業者に支払います。

支給後は事業所が介護職員に支給

国保連から申請に基づいた額の支給をされれば、事業所がすべての交付金を介護職員に配分を行います。

この支給の配分や時期は事業所が決めるので、配分方法は事業所や施設によって変わるため、気になる方は事業所に聞いてみましょう。

また、事業所が配分を行うと聞くと、ピンハネを心配される方もいますが、この配分後にどのように支給したかを都道府県に報告をする必要があります。

このとき、少しでも交付金が残っていれば変換しなくてはならないので、ピンハネなどはできないのです。

介護職員処遇改善加算の要件とは?

2020年度分の介護職員処遇改善加算について、厚生労働省がまとめた画像を参考にしながら、介護職員処遇改善加算の要件(※給付金を受け取るための条件のこと)を確認しておきましょう。

画像出典:別添★追加 介護職員処遇改善加算に関する基本的考え方並びに(リーフレット)

要件をどれくらい満たしているかによって、5つの区分のいずれかに該当することになります。

なお、加算Ⅰが最も多額の給付金を受け取れるものの、加算Ⅰになるにはさまざまな要件を満たさなくてはなりません。

キャリアパス要件

Ⅰ、Ⅱ、Ⅲの3種類の要件があります。

  • Ⅰ……職位・職責・職務内容に応じた任用要件と賃金体系の整備をすること
  • Ⅱ……資質向上のための計画を策定して、研修の実施または研修の機会を設けること
  • Ⅲ……経験若しくは資格等に応じて昇給する仕組み又は一定の基準に基づき定期に昇給を判定する仕組みを設けること

Ⅲが最も難易度が高く、満たしにくい傾向にあるようです。

職場環境等要件

働きながら介護福祉士取得を目指す者に対する実務者研修受講支援や研修の受講支援を行い、職場環境を改善するのが要件となります。

介護職員等特定処遇改善加算との違い

介護職員等特定処遇改善加算は、経験・技能のある介護職員の更なる処遇改善を目的として2019年に設けられた加算制度のことです。

対象となるのは、勤続年数10年以上の介護福祉士で、月額平均80,000円相当の処遇改善を行うことになっています。

この制度を利用するには、介護職員処遇改善加算の要件を満たし、なおかつ、介護職員処遇改善加算に基づく取り組みについて、ホームページに掲載するなどの「見える化」を行う必要があるのです。

また、介護職員の基本の仕事内容などについてはこちらの記事で詳しく解説しています。

2018年の改正で変わったこと

介護職員処遇改善加算は2012年にスタートして以降、たびたび改正が行われています。

たとえば、2017年度の改正により処遇改善加算区分は5区分へと分けられ、その区分ごとに給付するお金が決定されるようになりました。

さらに、2018年の改正では、五区分のうち、加算単位数の少ない2区分が廃止される見込みとなりました。

加えて、2018年からは給付金の配分バランスが明確に定められました。

給付金を受け取ることができるのは、以下の職員です。

  • リーダー級グループ(経験・技能のある介護職員)
  • その他の介護士
  • 介護士以外の職種の人

2018年からは「リーダー級グループ2以上:その他の介護士グループ1:介護士以外の職種0.5以下」の基準でお金を配分するように定められました。

この配分に従って、お金を配分します。

たとえば、リーダー級グループに2万円配分したなら、その他の介護士は1万円、介護士以外の人は5000円、ということになるのです。

2021年の改正で変わったこと

2018年に大きく改正された「処遇改善加算」ですが、実は2021年にも大きく改正されました。

職場環境等要件の見直し

介護職員処遇改善加算の算定要件の1つに職場環境等要件があります。

職場環境を整えれば、給付金が増えることになる要件です。

この要件について、職場環境改善の取組をより実効性が高いものとするために、職員の離職防止・定着促進を図る取り組みを高めていくように改正されました。

職員間の格差是正のための見直し


給付金は、2018年からは「リーダー級グループ2以上:その他の介護士グループ1:介護士以外の職種0.5以下」の基準でお金を配分するように定められていました。

しかし、この基準ではリーダー級グループの取り分が多く、職員間の格差が発生していました

この問題について、リーダー級グループ2以上だったのを、「その他の介護士グループより高くすること」と改正しました。

2022年2月より介護職員処遇改善支援補助金が開始

介護職員の処遇を改善するため、2022年2月から9月の期間を対象とした介護職員処遇改善支援補助金が交付されるようになりました。

10月以降は、臨時で介護報酬改定が行われて同じような措置が継続されます。

また、支給される金額内ではありますが、事業所によっては介護職員の処遇改善を目的とした補助金ということを踏まえた上で介護職員以外の職員にも配分が可能です。

くわしい内容については、厚生労働省が出している「「介護職員処遇改善支援補助金」のご案内」をご覧ください。

補助金額

各事業所への補助金額は、以下の計算式をもとに、毎月の算定や支給が行われます。
補助額_算定式
※画像出典:「介護職員処遇改善支援補助金」のご案内

補助金額は事業所によって前後しますが、標準的な職員配置の事業所の場合、介護職員1人あたり月額9000円ほど交付されると想定されています。

補助金の対象要件

補助金を受け取るためには、以下の要件が満たされている必要があります。

自分が当てはまっているか、事前に確認をしておきましょう。

  • 介護職員処遇改善加算Ⅰ・Ⅱ・Ⅲのいずれかを取得している
  • 原則、2022年2月から賃金改善を実施する
  • 補助金は全額賃金改善に充て、かつ、賃金改善の合計額2/3以上をベースアップなどに充てる

もし、就業規則などの改正が間に合わないのであれば、2022年3月分と2月分をまとめて賃金改善を行えます。

これまでの改正での介護士への影響

介護職員処遇改善加算によって、介護職員の給与水準はあがりつつあります。

さらに、制度の改正によって、より多くの介護職員に給付金がいきわたりつつあるのです。

リーダー級グループの人は2万円、それ以外の介護職員でも1万8000円も月給が向上しています。

さらに、2022年2月からは標準的な職員配置をしている事業所の場合、介護職員1人あたり月額で9000円ほど交付されるようになるのです。

これが10月以降も同様の措置が継続されるので、今後も給与水準が上がることが期待されます。

介護職員処遇改善加算が受け取れないときの対処法

介護職員処遇改善加算は、介護職員が対象となるので、条件を満たしていれば受け取れます。

ですが、その細かい配分は各事業所によって定められるので、場合によっては受け取れない場合があります。

事業所に支給される要件が満たされていないのであれば支給されることはありませんが、要件を満たしていて適切な支給がされていない場合は、上司に確認してみましょう。

もし、適切に分配されていて支給額が見合っていない、事業所が制度に積極的でない場合は転職を検討するのも1つの手段です。

この制度は事業所によって配分や支給額が変わるので、転職の際は職業規定や給与等級表を確認しておくと制度が適用された環境で働けるようになりますよ。

よくある質問

ここでは、介護職員処遇改善加算の制度についてよくある質問を紹介します。

介護職員処遇改善加算とは?

介護職員の処遇を改善するために支払われる賃金で、介護職の給与水準を上げることを目的としています。

これまで、リーダー級のポジションの人が圧倒的に多く支給されていたなどの不平等を軽減させるために2021年に改正されました。

介護職員処遇改善支援補助金はいくら?

標準的な職員の配置をしている事業所の場合、介護職員1人あたり月額が9000円相当とされています。

ただ、補助額は事業所によって変わるので、一律でこの金額になるわけではありません。

対象条件は?

介護職員であれば、正社員やパート、役職などに関係なく対象です。

事業所がキャリアパス要件を満たすかによって、金額に差が出ます。

【キャリアパス要件】

  • 職位・職責・職務内容に応じた任用要件と賃金体系の整備をすること
  • 資質向上のための計画を策定して、研修の実施または研修の機会を設けること
  • 経験若しくは資格等に応じて昇給する仕組み又は一定の基準に基づき定期に昇給を判定する仕組みを設けること

また、支給額や配分については事業所や施設によって変わるので、気になる方は担当者に問い合わせてみましょう。

まとめ

2009年度からスタートした介護職員処遇改善加算は、介護職員の給与水準をあげるための制度です。

制度がスタートして以来、介護職員の給与水準は徐々に向上しています

2021年の改正では職員間の格差是正のための変更が行われ、2022年2月からは介護職員の処遇改善の支援補助金が交付されるなど、より良い制度に変わりつつあります。

これからも介護で働いていこうと考えている方は、介護職員処遇改善加算を活用し、自身の待遇改善を目指してみてくださいね。

介護職員処遇改善加算を活用して働きたい方は介護ワークに相談を!

待遇改善を図るには、介護職で働く方が対象となる制度を知って活用することがおすすめです。そうは思っても、実際に調べてみると制度が難しくてよくわからないこともあります。

介護ワークは、介護職に特化したエージェントが制度についての説明や、制度を活用した転職先や働き方の提案を行うので、待遇改善を目指しながら働けます。今の待遇に悩まれている方は、転職も検討しつつ介護ワークに相談をしてみませんか?

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