ビジネスメールやチャットなどで「拝見します」「拝見しました」といった表現がよく使われますが、どのような使い方をすればよいかあいまいな認識の方も多いのではないでしょうか。

「拝見」は「見る」の謙譲語のため、目上の人に対して自分がへりくだることで敬意を示せる敬語表現ですが、使い方によっては相手に不自然さを与えてしまうなど、注意すべき点もあります。
この記事では、「拝見」の意味や使い方を、例文とあわせて幅広くご紹介します。

「拝見」の意味

「拝見」は、「見る」の謙譲語で、自分がへりくだることによって相手に敬意を表せる言葉です。相手を立てる際に使う言葉のため、基本的に上司や取引先など、目上の人に対して使用します。

「拝見」はビジネスシーンでもよく用いられ、「資料を拝見します」など、自分を主語として「見せていただく」といったニュアンスを伝えられます。

「拝見」の使い方

上記のとおり、「拝見」は、相手に敬意を表しながら「見る」を伝えられる謙譲語ですが、ビジネスシーンにおいては、主にメールや資料などを見たときや、目上の人に会ったときに使用します。具体的な使い方は、以下のとおりです。

メールや資料、制作物などを見たとき

取引先とのメールのやりとりや、目上の人から受け取った資料・制作物などを見る際に「拝見」を使います。

例えば、以下のような使い方ができます。

  • ありがとうございます。拝見します。
  • いただいた資料を拝見しました。
  • お送りいただいた記事を拝見したところ、修正いただきたい箇所がいくつかございます。

上記のように、「拝見」は「拝見します」「拝見しました」といった使い方をすることで、「見ます」「見ました」をより丁寧に伝えられるでしょう。

目上の人に会ったときや姿を見たとき

「拝見」は、目上の人に会ったときや、その人の姿を見たときにも使用できます。

例えば、以下のような使い方ができます。

  • お顔を拝見できてうれしく存じます。
  • 久しぶりに元気なお姿を拝見できて安心いたしました。
  • ご登壇されている様子を拝見し、感銘を受けました。

このように、「拝見」はメールや資料といった物を見るときだけでなく、人に会ったときや、その人の姿を見たときにも用いられます。

「拝見」を使った例文

上記では、「拝見」の主な使い方をご紹介しましたが、実際にビジネスメールや就職活動時の面接などで「拝見」を使う際は、どのように文章を作ればよいのか悩む方も多いでしょう。以下では、「拝見」を使った例文をご紹介します。

受け取った資料を見たときの例文

件名:お送りいただいた資料について

本文:

〇〇さん

お疲れ様です。△△部の▢▢です。
ご送付いただいた資料を拝見しました。

内容を確認させていただきましたが、現時点では特に不明点はございません。
ご対応いただきありがとうございました。

引き続き、よろしくお願いいたします。

取引先に会えたお礼を伝えるときの例文

件名:お打ち合わせのお礼

本文:

××株式会社
〇〇様

お世話になっております。
△△株式会社の▢▢です。

本日はお忙しい中、お時間をいただき誠にありがとうございました。
〇〇様の元気なお姿を拝見でき、大変うれしく存じます。

また、貴重なお話を伺うことができ、非常に有意義な時間となりました。
本日いただいたお話を参考に、今後の業務に活かしてまいります。

引き続き、よろしくお願いいたします。

履歴書や面接で志望動機を伝えるときの例文

履歴書に志望動機を書くとき
貴施設のホームページを拝見し、「利用者様一人ひとりに寄り添った介護を大切にする」という理念に共感したため志望いたしました。

私はこれまで接客業に従事し、人と関わる仕事にやりがいを感じてきました。今後はより直接的に人の役に立てる仕事に携わりたいと考え、介護職への転職を決意いたしました。

利用者様やご家族に安心していただける介護を提供できるよう、日々知識や技術の習得に努めてまいります。
面接で志望動機を話すとき
貴施設のホームページを拝見し、利用者様の自立支援を重視されている点に魅力を感じたためです。

特に、利用者様一人ひとりに合わせたケアを提供されている取り組みを拝見し、私もそのような環境で介護の知識や技術を身につけながら成長したいと考えました。

未経験ではありますが、利用者様に寄り添う姿勢を大切にしながら、一日でも早く戦力になれるよう努力してまいります。

介護職の面接でのよくある質問や志望動機の例文などは、以下の記事でもご紹介しているため、あわせてご覧ください。

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「拝見」の返信方法

上記では、「拝見」を使ったビジネスメールや就職活動時に役立つ例文をご紹介しましたが、反対に、相手から「拝見」を使ったメールなどを受け取った際は、どのように返信すればよいのでしょうか。

基本的には、「ご確認いただきありがとうございます」のように、こちらから送った資料などを見てもらったことへのお礼を伝えるとよいでしょう。

また、「拝見しました」の後に質問や依頼事項などが添えられていた場合は、お礼とあわせて質問や依頼事項への回答を述べるとよいでしょう。例えば、「ご質問いただいた件につきましては、〇〇で間違いございません」「ご指摘いただいた箇所は、修正して再度お送りいたします」といった返信がおすすめです。

「拝見」の言い換え表現

ここまで、「拝見」の例文や返信方法をご紹介しました。このように文章を作成する際に、何度も「拝見」を使用してしまうと、不自然に見えてしまう可能性があるため、状況に応じて言い換え表現を用いることが大切です。「拝見」の言い換え表現は、以下のとおりです。

確認

「確認」は、物事に対する認識や理解をあやふやにせず、「このようである」と認められる状態になるまで確かめることを指す言葉です。

「確認」は、ビジネスシーンだけでなく日常生活でも頻繁に用いられる言葉で、目上の人だけでなく、同僚や後輩に対して使用しても不自然になりません。

「確認」は、以下のような使い方ができます。

  • ご連絡いただいた内容を確認いたしました。
  • 内容を確認したところ、記載内容に誤りはございませんでした。
  • 内容を確認いたしましたが、追加でご質問がございます。

受領

「受領」は、金品や書類などを相手から正式に受け取ることを指す言葉です。ビジネスシーンにおいては、書類などを確かに受け取ったことを伝える際に、「受領しました」と連絡するのが一般的です。

「受領」は、「拝見」と似たような場面で使われるものの、厳密には意味合いが異なります。「拝見」は、相手から受け取ったものの内容に目を通した際に使い、「受領」は内容に目を通していなかったとしても、受け取ったことをいったん相手に連絡する際に使います。

「受領」は、以下のような使い方ができます。

  • ご送付いただいた資料を受領いたしました。
  • 書類を確かに受領いたしました。ご対応いただきありがとうございます。
  • ご請求書を受領いたしました。

査収

「査収」は、内容をよく確認したうえで受け取るという意味を持つ言葉です。上記の「受領」は単に品物や書類を受け取った際に使われますが、「査収」は内容まで確認したときに使われます。

ビジネスシーンにおいては、相手に対して品物や書類を送る際に、「ご査収ください」と添えて送るのが一般的です。

「査収」は、以下のような使い方ができます。

  • 資料を添付いたしましたので、ご査収のほどよろしくお願いいたします。
  • お見積書を送付いたしますので、ご査収いただけますと幸いです。
  • 会議資料を共有いたします。ご査収のほどお願いいたします。

お目にかかる

「お目にかかる」は、「会う」の謙譲語で、目上の人に会うことを伝える際に用いられる言葉です。相手の視界に入ることを謙遜しており、自分がへりくだることで相手に敬意を示しています。

「お目にかかる」は、以下のような使い方ができます。

  • ぜひ一度お目にかかりたいと存じます。
  • 本日はお目にかかれて光栄です。
  • お目にかかれることを心待ちにしております。

「拝見」の関連用語

上記のとおり、「拝見」にはさまざまな言い換え表現がありますが、「拝見」に関連する用語として「拝読」などの言葉も挙げられます。以下では、「拝見」の関連用語をご紹介します。

拝読

「拝読」は「読む」の謙譲語です。「拝見」と似たような場面で使われますが、「拝見」はメールや資料、相手の姿を見るのに対して、「拝読」はメールや資料などを読むことを伝える言葉です。

「拝読」は、以下のような使い方ができます。

  • お送りいただいた資料を拝読し、大変勉強になりました。
  • ご寄稿いただいた記事を拝読しました。
  • 貴社の採用ページを拝読し、理念に共感いたしました。

拝聴

拝聴は、「聞く」「聴く」の謙譲語です。目上の人や講演、演奏などを聞いた際に、「謹んで聞く」という意味で使われます。

は、以下のような使い方ができます。

  • セミナーでのお話を拝聴し、多くの学びを得ました。
  • 〇〇様のご説明を拝聴しました。
  • 面接で貴施設の取り組みについて拝聴し、さらに魅力を感じました。

拝受

「拝受」は、「受け取る」の謙譲語です。目上の人からメールや資料を受け取った際に、受け取ったことを伝えるために用いられます。

「拝受」は、以下のような使い方ができます。

  • 資料を確かに拝受しました。
  • ご送付いただいた契約書を拝受しました。
  • 添付ファイルを拝受しました。ご対応いただきありがとうございます。

「拝見」の注意点

ここまで、「拝見」の言い換え表現や関連用語をご紹介しましたが、実際に「拝見」を使う際は、いくつか注意しておくべき点があります。「拝見」の注意点は、次のとおりです。

自分が主語になることを意識する

「拝見」は謙譲語であるため、自分が主語になることを常に意識しましょう。例えば、「拝見してください」「拝見いただけますか」のように、主語が相手になる使い方は誤りです。

相手を主語とした際の「見る」の敬語表現は、尊敬語である「ご覧になる」が挙げられます。例えば、メールや書類などを相手に見てほしい場合は「ご覧ください」、見たかどうかを確認したいときは「ご覧になりましたか」といった使い方ができます。「ご覧になる」の例文は、以下のとおりです。

  • お送りした企画書をご覧いただき、ご検討ください。
  • ご不明な点がございましたら、資料をご覧ください。
  • サービス内容については、パンフレットをご覧いただければ幸いです。

また、取引先とのやりとりの中で、「いただいた内容は、上司もご覧になりました」といった表現も誤りです。このとき、敬意を示す相手は取引先となるため、上司に対してもへりくだった表現を使い、「いただいた内容は、上司も拝見しました」と伝えるのが適切です。

二重敬語にならないようにする

「拝見」を使う際は、二重敬語にならないよう注意が必要です。二重敬語とは、謙譲語+謙譲語のように、同じ種類の敬語が重なることを指し、相手に不自然な印象やくどい印象を与えてしまいます。

例えば、「拝見させていただきます」「拝見いたします」などは、謙譲語の「拝見」に謙譲語の「させていただく」「いたす」を組み合わせた言葉のため、二重敬語となります。

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「拝見」の英語表現

ここまで、「拝見」を使う際の注意点について幅広くご紹介しましたが、英語でメールのやりとりをする機会のある方は、「拝見」の英語表現も押さえておくとよいでしょう。

「拝見」の英語表現は、以下のとおりです。

I’ll review the materials.
(資料を拝見します)

I have received your email.
(メールを拝見しました)

「拝見」は、「review(吟味する)」「receive(受け取る)」「read(読む)」などの英語で表現できます。何を見るかによって使う英単語が変わるため、状況に合わせて使い分けましょう。

「拝見」のよくある質問

ここまで、「拝見」の使い方について幅広くご紹介しましたが、実際にメールなどを作成しながら、疑問が出てくることもあるでしょう。最後に、「拝見」のよくある質問をご紹介します。

「拝見」と「ご覧になる」の違いは何ですか?

「『拝見』の注意点」でも触れたように、「拝見」と同じ「見る」を意味する敬語表現として「ご覧になる」がありますが、この2つの言葉は、自分を主語にするか、相手を主語にするかによって使い分ける必要があります。

「拝見」の場合は自分が主語になるため、「(自分が)資料を拝見します」という使い方をします。一方で、「ご覧になる」は目上の相手が主語になるため、「(相手が)資料をご覧になる」という使い方になります。

「拝見させていただきます」は正しい表現ですか?

「『拝見』の注意点」でも触れたように、「拝見させていただきます」は、謙譲語である「拝見」と「させていただく」を組み合わせた二重敬語です。

二重敬語は、相手に不自然さを感じさせたり、くどい印象を与えてしまう恐れがあるため、「させていただく」は使わず、「拝見します」と表現しましょう。

まとめ

この記事では、「拝見」の意味や使い方を、例文とあわせて幅広くご紹介しました。

「拝見」は、ビジネスシーンでもよく用いられ、資料やメールを見た際や、相手に会ったときなど、さまざまなシーンで使われます。

ただし、「拝見させていただきます」など、二重敬語での誤った使い方をしやすい言葉でもあるため、正しく使えるよう記事内でご紹介した注意点を押さえておくとよいでしょう。

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