介護職で働いても退職金が出ないと思われる方もいますが、実は介護職でも退職金制度はあります。

ですが、退職金は必ず出るものではなく、制度を取り入れている施設や事業所の場合のみです。

そのため、退職金を希望されている方は、転職時に退職金制度が備わっているかを確認してから転職先を決めるようにしましょう。

この記事では、介護職の退職金についての概要や退職金の相場、施設で制度が取り入れられているかを確認する方法などを解説していきます。

退職金を視野に入れた転職を検討している方は、参考にしてください。

介護職には退職金が出るが施設によってないところもある

介護職員にも退職金は出ますが、施設によっては制度を導入していないところもあるので必ずしも出るとは限りません。退職金が出る施設で働きたい場合は、転職時に退職金制度があるかを確認しておきましょう。

転職エージェント「ウィルオブ介護」では、退職金以外にも細かい条件からも一人ひとりに合う転職先を紹介しています。面接や履歴書に関することや転職の悩みに対するアドバイスも行っているので、早い転職を目指している方は是非一度ご相談ください。

介護職にも退職金はある

介護職でも退職金はありますが、退職金制度を施設で取り入れている場合のみなので、施設で退職金制度が導入されているかを確認することは重要です。

また、退職金は勤続1年から支給されるので、入職して1年で辞めてしまう場合はないだろうと思い込まずに退職金について上司や担当者に問い合わせてみましょう。

退職金を受け取る条件

一言で退職金といっても受け取るための条件は施設が適用している制度によって変わるので、施設の担当者に確認を取ってください。

また、転職時にどのような退職金制度を取り入れているかを事前に確認しておくことで、退職金をもらえる条件を満たした働き方も目指せますよ。

退職金を受け取る時期

退職金は支給する時期は法律で明確に定めていませんが、施設や事業所ごとで定めていることがあります。

そのため、いつ支給されるかを退職金などの担当者に確認をしておきましょう。

ですが、規則などで定めていないところがあるので、その場合は施設や事業所に請求してください。

労働基準法第23条で施設や事業所は退職した職員から退職金の請求があった場合は7日以内に支払わなくてはならないと定められているので、すぐに支給してもらえますよ。

もし、連絡をしても支払われない場合は、労働基準監督署に相談をして解決を目指しましょう。

派遣社員にも退職金がある

実は、2020年4月からスタートした「同一労働同一賃金」により、派遣社員にも退職金の支給が義務付けられました。

派遣社員の退職金制度は、「派遣先均等・均衡方式」と「労使協定方式」の2種類です。

派遣先均等・均衡方式は、派遣先施設の職員と同じ待遇を目指す方法で、派遣先企業の退職金制度に従って決まります。

労使協定方式は、派遣会社と過半数労働組合または過半数労働者代表の間で決める方法で、派遣会社の退職金制度・退職金前払い制度・中小企業退職金共済制度のいずれかで決まります。

とくに、これまで説明したような退職時に一括で支払うものではなく、時給に退職金に相当する金額を上乗せしておく「退職金前払い制度」を採用している派遣会社は多いのです。

どの制度が適用されるかは、派遣会社の担当者にお問い合わせください。

退職金があるかを確認する方法

退職金があるかを確認する方法_image


介護職にも退職金があることを説明しましたが、実際に自分が退職金制度の対象であるか知らない方は少なくありません。

ここでは、自分が退職金制度の対象なのかを確認する方法を紹介していきます。

施設の規則を確認

一番確実なのは、勤務先である施設の就業規則を確認することです。

原則として、就業規約はいつでも見られるように保管してあるので、気になったときに自分で確認できます。

もし、くわしく書いていなかったり、よくわからなかったりする場合は、同僚や上司など分かる方に相談をしましょう。

給与明細の確認

給与明細でも確認できることがあるので、その際は「企業年金掛金」「確定給付掛金」の項目で退職金分が差し引かれています。

しかし、退職金の明細は義務ではありませんし、明細への記載がなくても退職金が支給されることもあるので、確実なのは施設の規約確認や担当者に聞くことだといえます。

事務・総務・退職した職員に聞く

事務や総務などの退職金制度に関連する業務を行う職員に聞くことで、制度の有無だけでなく、規則の説明以外のくわしい疑問にも答えてもらえることがあります。

どこまで教えてもらえるかは人によりますが、人によっては退職を検討しているのかと思われることもあるので聞き方に気を付けましょう。

もし、事務や総務の方に聞くことが難しい場合は、すでに退職された方に聞くのも一つの手段です。

退職された方であれば、どのような経緯で退職金が支払われたかなども聞けるので、実際に自分がどう支払われるかなどの参考になりますよ。

退職金の相場

退職金は施設によって採用しているところがあり、派遣社員の場合もどこの制度が適用されるかによって退職金は変わってきます。

退職金によって計算方法は変わりますが、一般的には下記計算式で算出されています。

退職金の計算式

1か月分の基本給×勤続年数×給付率=退職金

また、福祉医療機構が出している退職手当共済事業で普通退職の場合の退職金の目安が記載されているので、簡単にまとめていきます。

【退職手当金額】
参照:福祉医療機構-退職手当金額早見表(PDF)

※(例)計算基礎額20万5000円:退職前6か月の平均本俸額20万5000円~21万9999円
※参考:福祉医療機構「退職手当金額早見表(PDF)

給料でも退職手当に差は出ますが、より大きな差が出るのは勤続年数であることがわかります。

ですが、この退職手当金額はあくまでも目安なので、施設や地域によって異なることがあるため、くわしい金額や算出方法については施設に確認を取りましょう。

退職金制度の種類

退職金制度を導入している施設は多いのですが、適用している退職金制度は施設によって違うことがあります。

施設で退職金制度を取り入れているかの確認はこちらの「退職金があるかを確認する方法」で解説をしていますが、どのような退職金制度があるかも知っておきましょう。

退職一時金制度

この制度は、退職時にまとめて支払われる退職金のことで、事業所独自で行っているものと共済制度を契約しているものの2種類があります。

事業所独自の退職金制度

事業所独自で行っている場合は、事業所内で積み立てたものが支払われますが、事業所が倒産してしまった場合は支払われなくなる恐れもあります。

退職金共済制度

退職金共済制度は、事務所が外部の機関と契約をして掛け金を積み立てたものが退職金として支払われる制度です。

また、退職金共済制度には「社会福祉施設職員等退職手当共済制度」「中小企業退職金共済制度」という2種類があります。

【社会福祉施設職員等退職手当共済制度】
この制度は、社会福祉法人が運営している社会福祉や特定介護保険などの施設や、申出施設のような施設に従事している職員が退職した場合に退職金が支払われます。

退職金の支給額は勤続年数によって変わるので、一例を紹介します。

【普通退職の場合の退職金支給額】
勤続年数(退職時月額) 退職金支給額
5年勤務(退職時本俸月額20万円) 49万5900円
10年勤務(退職時本俸月額22万円) 114万8400円
15年勤務(退職時本俸月額26万円) 269万7000円
20年勤務(退職時本俸月額28万円) 572万4600円

※参照:福祉医療機構「社会福祉施設職員等退職手当共済制度について

そして、制度創立以来、被共済職員である約215万人に退職金を支給した歴史があり、2021年4月時点では約89万人の職員が制度に加入しているのです。

【中小企業退職金共済制度】
この制度は、国が昭和34年に中小企業のために設けた制度で、退職時にこの共済から退職金が支払われます。

国からの助成金なので安心ですし、外部積立型なので管理も簡単というメリットがあります。

退職年金制度

先ほど説明した一時金制度では一括で支払っていましたが、年金制度は退職後に分割で受け取れる制度で、企業年金ともいわれています。

分割以外にも一括で受け取る申請もできるので、自分の生活に合わせて受け取り方を決めましょう。

また、退職年金制度には「確定給付企業年金制度」「企業型確定拠出年金制度」の2種類があります。

確定給付企業年金制度

事業所が外部機関に掛け金を支払うことで資金を積み立てる方法で、運用は事業所が行います。

そのため、運用で損失が出ても事業者が負担してもらえるので、介護職員にはリスクがありません。

この制度の特徴は、他は勤続年数や資金の運用結果によって変わるのではなく、あらかじめ給付額が定まっていることです。

【企業型確定拠出年金制度】

事業所が外部機関に掛け金を支払うことで資金を積み立てる方法は確定給付企業年金制度と同じですが、その運用は介護職員自身が行う制度です。

この制度には、企業が掛け金を拠出する企業型、企業が出している掛け金に従業員が上乗せをするマッチング拠出があります。

運用する結果によって受け取れる退職金の金額が変わるので、自分に合う運用方法を選んでいきましょう。

退職金制度がある施設への転職もおすすめ

もし、今働いている施設や事業所に退職金制度がない場合、将来のことを考えて退職金制度がある施設への転職もおすすめです。

転職活動で後悔したくない方は、「介護職の転職で失敗する7つの原因と後悔しない転職のコツ」を参考に転職を目指してください。

退職金制度がある施設かは、求人情報の待遇部分で説明が書いてあるかで確認することが可能です。

ですが、待遇部分に何を書くかは施設によって変わるので、退職金について書いてなかったとしても制度と取り入れている可能性もあるので、担当者に相談をしてみましょう。

転職活動で求人を出している施設への確認が1人だと大変であれば、転職エージェントを活用してみませんか?

転職エージェントは、エージェントが希望条件に合う求人を探してくれるので、退職金制度がある施設を希望すれば、制度がある求人を提案してくれますよ。

ほかにも細かい条件や転職活動で不安がある場合にもアドバイスやサポートをしてもらえます。

どの転職エージェントが良いかわからない場合は、こちらの「介護職の転職エージェントおすすめ15社比較やコツを紹介」で紹介しているので是非ご覧ください。

別業界への転職もアリ

もちろん、介護職で希望する待遇を望めないと感じたら、別業界への転職も視野に入れて検討すると、転職がしやすくなります。

介護職から別の職種へ転職する場合、自分が介護業界で何を学んでスキルを身に着けたか、得意なことは何かなどを明確にすると、未経験でもできることのアピールが可能ですよ。

よくある質問

ここでは、介護職の退職に関してよくある質問を紹介します。

退職金はいくら支給されますか?

勤続年数や月給によって変わるので、一概にいくらとは言えません。

ですが、目安として月給20万円で勤続5年の方の場合、50万円ほど支給されるとなっています。

勤続年数によってどのくらい差があるかは、こちらの「退職金の相場」でご確認ください。

退職後から支給までの期間はどのくらいですか?

退職金の支給には法律による決まりがないため、いつ支給されるかは施設によって変わってきます。

そのため、なかなか支給されないと思った場合は勤めていた施設に問い合わせて支給してほしいと伝えてください。

労働基準法第23条により、施設側は連絡を受けてから7日以内に支給しなくてはならないので、対応してもらえますよ。

退職金のくわしい仕組みについては、こちらの「介護職にも退職金はある」をご覧ください。

まとめ

介護職員にも退職金はありますが、施設によって退職金制度を取り入れていないところもあるので、介護職に就職する際には気を付けておきましょう。

この記事では退職金制度の内容や相場、制度があるかを確認する方法などを解説してきましたが、退職金制度を取り入れているからと必ずしも良い施設とは限りません。

自分にとって良い施設や介護職で希望する働き方が何かを明確にし、その条件に合いそうな施設で働くようにすることを目指すことが大切です。

一人で施設を探すことが大変であれば、転職エージェントに相談をしながら探すことをおすすめします。

介護職で望む働き方や退職金制度などの待遇面を考慮し、自分に合う働き方を目指していきましょう。

介護職の転職は退職金以外にも注目!

介護職では、施設によって退職金制度を導入しているところがあるので、希望される方は事前に確認をしておきましょう。ですが、退職金が出るから良い施設ということではないので、ほかの待遇面や業務内容なども重要だといえます。

ウィルオブ介護では、待遇面や業務内容、希望条件に合う施設かも含めて求人を紹介しています。転職活動の中で悩まれていることに対してもアドバイスをしているので、気になる方は是非一度ご相談ください。

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