ケアマネージャーの業務の一つであるケアプランの作成は、利用者が介護保険サービスを利用するときに作成する行動計画のことですが、場合によっては変更する部分が出てきます。
しかし、この変更が軽微な変更に該当するかを判断できるようになることで、対応しなくてはならない業務量が変わってきます。
この記事では、どのような内容が軽微な変更に該当するか紹介していくので、業務の効率化のためにもしっかりと覚えておきましょう。
目次
ケアプランとは
ケアプランとは、介護サービス利用者が介護保険サービスを利用する際に、担当のケアマネージャーが作成する行動計画のことをさします。
これは本人の希望や必要性に応じて、介護保険内にて利用限度額や回数を計算し作成される介護サービスの計画書です。
自分でも作成することはできますが、介護保険に関しての知識がなければ作成することが難しいため、介護支援専門員(ケアマネジャー)が作成することが多いといえます。
このケアプランには主に、住環境や家族構成また本人の身体能力認知面を考慮しより安全にまた能力を維持したまま生活できるように、プランを組む必要があります。
ケアプランの軽微な変更とは
前項にて説明した通り、ケアプラン(介護サービス計画)は介護サービスを行う上で重要な書類になり、居宅サービス計画を変更する場合には改めてケアプランを作成する必要があります。
しかし、そのサービス計画の変更が「軽微な変更」である場合には、この再作成が必要なくなる場合があります。
厚生労働省は、ケアプランの軽微な変更について、下記のように記載しています。
サービス計画を変更する際には、原則として、指定居宅介護支援等の事業及び運営に関する基準(平成11年3月31日厚令38、以下「基準」という。)の第13条第3号から第11号までに規定されたケアプラン作成にあたっての一達の業務を行うことを規定している。なお、「利用者の希望による軽微な変更(サービス提供日時の変更等)を行う場合には、この必要はないものとする。」
※引用:厚生労働省「介護保険最新情報vol.959」
ケアプランの軽微な変更の内容
以下の内容が変更されているので、一覧で分かりやすくまとめました。
- サービス提供の曜日変更・サービス提供の回数変更
- 利用者の住所変更
- 事業所の名称変更
- 目標期間の延長
- 福祉用具で同等の用具に変更するに際して単位数のみが異なる場合
- 目標もサービスも変わらない(利用者の状況以外の原因による)単なる事業所変更
- 目標を達成するためのサービス内容が変わるだけの場合
- 担当介護支援専門員の変更
ケアプランの軽微な変更の例
ここからは、ケアプランの軽微な変更には何があるのか参考例と一緒にくわしく紹介していきます。
サービス提供の曜日・回数の変更
短期間・応急措置的な変更
ケアプランの軽微な変更例として、利用者の体調不良や家族の都合などの臨時的・一時的なもので、単なる曜日、日付の変更のような場合があります。
つまり、長期的な変更ではなく、短期間の変更であればケアプランの変更が必要ありません。
ただし、利用者の体調不良が続いて目標設定を変更する必要がある場合は軽微な変更として認められないので、変更の手続きが必要になります。
一回程度の利用回数の増減
同一事業所における週1回程度のサービス利用回数の増減のような場合には、軽微な変更とみなしケアプランの変更の必要はありません。
たとえば、デイサービスなどの回数を週1回から週2回への追加や、逆に減らすことなどが当てはまります。
ただし、目標の変更に伴って回数を変更する場合や、意図的に回数を段階的に増やしていくことは軽微な変更とは認められません。
利用者の住所変更
引っ越しや施設入所における利用者の住所変更も、ケアプランの内容の変更ではないため、軽微な変更とみなしケアプランの変更の必要はありません。
しかし、引っ越しにより住居環境が変わることで受けるサービス内容が変わる場合には、ケアプラン上の目標が変更になるため変更の手続きが必要です。
事業所の名称変更
事業所の変更ではなく今まで利用していた事業所の名称変更があった場合、名称変更の旨の連絡は必要ですがケアプランの変更は必要ありません。
目標の期間延長
目標設定期間の延長のみを変更する場合は該当
単なる目標設定期間(目標を達成するまでの期限)の延長を行う場合(ケアプラン上の目標設定、たとえば課題や期間に関しては変更する必要が無く、単なる目標設定期間の変更である場合)については、ケアプランの変更は必要ありません。
該当条件
ただ、ケアプランに定めた目標の期間延長に関しては近年見直される傾向にあります。
定めた目標に達さなかったとして単に「目標期間の延長」をしてよいかどうかは、期間満了後に計画の評価を行い、目標が達成できなかったが目標を変更する必要がないと判断した理由を、第5表「居宅介護支援経過」などに記録することが義務付けられつつあります。
また、すでに作成された第2表の短期目標の有効期間及び個別サービスの期間の欄に、新たに設定した有効期間を追記し、利用者又は家族に説明して同意を得たうえで第2表を交付し、同意を得て交付した日付等を第5表に記録して保管する必要があります。
福祉用具で同等の用具に変更するに際して単位数のみが異なる場合
福祉用具の同一種目における機能の変化を伴わない用具の変更については、ケアプランの変更は必要ありません。
たとえば、車いすをレンタルしている際に、他の種類の車いすに変更しても、ケアプランの変更は必要ありません。
目標もサービスも変わらない単なる事業所変更
目標もサービスも変わらない(利用者の状況以外の原因による)単なる事業所変更については、ケアプランの変更は必要ありません。
たとえば、事業所の閉鎖などによる事業所変更ではケアプランの変更の必要はありません。
目標を達成するためのサービス内容が変わるだけの場合
第1表の総合的な援助の方針や第2表の生活全般の解決すべき課題・目標・サービス種別等が変わらない範囲で、目標を達成するためのサービス内容が変わるだけの場合、ケアプランの変更は必要ありません。
担当介護支援専門員の変更
契約している居宅支援事業所における担当介護支援専門員の変更(ただし、新しい担当者が利用者はじめ各サービス担当者と面識を有している)のような場合、ケアプランの変更は必要ありません。
このように軽微な変更は記載されていますが、どれも変更する内容が同基準第13条第3号(継続的かつ計画的な指定居宅サービス等の利用)から第11号(居宅サービス計画の交付)までの一連の業務を行う必要性の高い変更であるかどうかによって軽微か否かを判断すべきものです。
どの変更も軽微ではありますが、連携している他業種の医療職間での共有は重要であり、報告・連絡・相談は忘れずに行う必要があります。
よくある質問
ここでは、ケアプランやケアマネージャーに関するよくある質問について紹介します。
ケアプランは軽微であれば誰でも変更できますか?
いいえ、できません。
もともとケアプランとは、利用者様が介護保険サービスの利用をする際にケアマネージャーが作成する行動計画書です。
介護保険の知識がなくては難しいので、こちらの変更はケアマネージャーが行わなくてはなりません。
ケアマネージャーとして働くにはどうすればいいですか?
ケアマネージャーになるには、まずは資格取得が必要です。
介護支援専門員証を取得するには、実務経験が必要となるため時間がかかります。
ですが、その分専門的知識を身に着けることができるので、一度取得をしておくと幅広い施設で活躍できますよ。
ケアマネージャーについては、こちらの「介護支援専門員(ケアマネジャー)になるには?働くにはどうしたらいい?転職するメリット・デメリット、向いている人、求人情報を調査」を参考にしてください。
まとめ
この記事で説明をしたように、ケアプランの変更が必要ない軽微な変更の場合は、ケアプランの変更をする必要がありません。
ケアマネージャーは、ケアプラン作成の他にも必要な業務は多く存在するため、必要のない作業は省略し時間を有効に利用することをおすすめします。
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ケアマネージャーが作成する計画書であるケアプランの軽微な変更は、内容によっては変更を行うときのルールや適用されるものがありました。
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