障害者支援施設とは、18歳以上の障害支援区分4以上の方や50歳以上の障害支援区分3以上の方を対象に介護を行う入居型の施設です。

ですが、一言で障害者支援施設といっても、施設の種類やサービス内容が異なるため、それぞれの施設がどのような役割を持っているか知ることは重要です。

この記事では、障碍者支援施設がどのような施設か解説していきますので、施設を選ぼうとしている方は是非参考にしてください。

障害者支援施設とは

「障害」と一般的に呼ばれるものの中には、「知的障害」や「精神障害」、「身体障害」など様々な種類が存在します。

障害を持っていなくとも、事故や病気などで突如障害を持ってしまう方も少なくありません。

障害者支援施設は、そういった障害者の方のうち、常時介護(入浴や食事などの自活生活が出来ない方への介護)を要する人で18歳以上の方を対象とした入居型の施設です。

また、日中の生活介護とあわせて夜間におけるサービス(入浴、排泄)も提供しているので、障害者の方の日常生活をトータルでサポートしてくれるのが障害者支援施設となっています。

障害者支援施設の利用対象者

障害者支援施設の利用対象者には制限が設けられています。

対象となる方は、「18歳以上で障害支援区分4以上の方、若しくは50歳以上で障害支援区分3以上の方」となります。

しかし、以下の様な条件を満たしていれば、上記の条件から外れた人でも入所の対象となります。

  • 自立訓練、就労移行支援を受けており、障害者支援施設に入所して訓練を受けるのが効果的であると認められる方。若しくはその他の障害福祉サービスに通うことが困難と認められた方
  • 指定特定相談支援事業者が作成するサービス等利用計画案を経て、各自治体で必要性が認められた方

また上記の条件に当てはまらない人でも、すでに障害者支援施設に入居している方は引き続き利用することが可能です。

障害者支援施設への入居については、各自治体の判断による部分もあるので、分からない場合は市町村の福祉担当課で相談してみましょう。

障害者支援施設の種類

障害はその種類や度合いによって細かく分類されます。

そのため、障害者支援施設では、それらニーズを適切に満たすために、大きく分けて4つの施設が提供されています。

障害者更生施設

入居する方の障害に合わせたリハビリ、訓練、治療を受けることが可能な施設です。

生活の介護は勿論、社会生活を営むために必要な訓練を実施するので、日常生活における支障を低減することが可能になります。

障害者授産施設

就業する事が困難な障害者の方を対象としており、授産活動を通じて就業する意欲や技術を身につけることができます。

施設内で居住可能な「入所施設」、施設の作成する日程に従って通所する「通所施設」に分類されています。

なお、家族が病気や怪我などによって介護が困難となった場合には、ショートステイ(短期入所)によって一時的に施設を利用することが可能です。

生活施設

常時介護を要する身体障害者の方に、リハビリテーション、治療、介護等の提供してくれます。

また、現状で自宅での生活が困難な人のために訓練を行い、自立した生活を目指す取り組みも行っています。

地域利用施設

障害者の方の周辺地域で、デイケア、レクリエーション等を行う施設です。

知的障害者福祉ホーム、補装具製作施設等の総称で、施設内に体育館や温水プール等を完備している場合もあります。

障害者支援施設のサービス内容


その人本来の自立した日常生活及び、社会生活の促進を目指すのが障害者支援施設の目的です。

そのため、生活介護や治療は勿論のこと、生活訓練や養護等もサービス内容に含まれています。

生活介護、機能訓練、生活訓練、就労移行支援、就労継続支援B型、施設入所支援等、日常的に人に頼らなくても良いような状態を目指す訓練等も行っています。

生活介護

入浴、排せつ、食事と言った介助、調理、洗濯、掃除等の家事を、常時介護を要する人を対象に提供しています。

主に昼間の支援が基本となっており、日々の生活におけるアドバイスや創作活動、生産活動の機会等もサービスに含まれ、それらに必要な身体及び生活能力の向上等も提供してくれます。

いずれにしても、障害者の社会参加を促し、通所することによってより多様なサービスを受けることができます。

自立訓練(機能訓練)

身体障害があったり、何らかの難病をもっていたりする方を中心に、理学療法や業療法などのリハビリを提供するサービスです。

障害者支援施設や自宅で利用することが可能であり、家事等実践的な訓練の期間を決めて行うので、自活するための生活習慣を身につけることができます。

また、リハビリや歩行訓練と言った身体的機能の回復ばかりでなく、コミュニケーション等の訓練も行ってくれるので、スムーズな地域生活への参加を目指すことが可能です。

自立訓練(生活訓練)

障害者支援施設や自宅において、日常生活を行うために必要な訓練(入浴、排泄、食事等)を、知的障害者及び精神障害者の方に提供するサービスです。

対象は前述の方が基本ですが、施設や病院で長期間に渡って入院している方・していた方が主な対象です。

対象の方が施設から出た後でも自活して生活できるように、基本的な事を訓練として習得し、地域社会への速やかな移行を目指します。

就労移行支援

65歳未満の障害者の方で就労を望む人を対象としたサービスで、職場体験等を通じて実際に生産活動に参加します。

一般就労に欠かせない知識や能力を習得できる訓練を行うと共に、本人に適正に合った就労への相談・アドバイス等によって、長期的な就労を促してくれますよ。

就労継続支援B型(非雇用型)

過去に就労経験がある方で、通常の企業に就労が困難な障害者を対象としたサービスです。

就労の機会の提供と共に、それら就業に欠かせない知識・能力を養い、就労継続支援(A型)や一般就労が出来る状態を見据えた訓練を行います。

施設入所支援

障害者支援施設に入所する障害者に、主に夜間における常時介護(入浴、排せつ)、アドバイスや助言を行うサービスです。

日中に行う生活介護と併用することにより、よりシームレスな障害者福祉サービスを提供してくれます。

障害者支援施設と高齢者施設の違い

障害者支援施設と高齢者施設は、そもそもの理念が異なります。

高齢者施設は、加齢によって介護が必要な人に、自立した生活が送れるように支援を行うサービスですが、障害者支援施設は日常生活ばかりでなく社会参加も視野に入れています。

申請者の実務的な面として、高齢者施設はケアマネージャーによる申請が一般的ですが、障害者支援施設では本人及び家族が各自治体(障害福祉担当窓口)に申請するのが基本です。

障害者支援施設などの障害者福祉サービスは、基本的に利用に際して障害者手帳を要しますが、自治体の審査で必要性が認められれば、障害者手帳がなくても利用できます。

いずれにしても、障害者支援施設を含めた障害者福祉サービスは介護や就労など支援をする人が対象であり、裾野の広いサービスです。

障害者支援施設の一日の流れ

障害者支援施設は、18歳以上から高齢者まで幅広い年齢層の利用者が入居しています。

また、それぞれの障害の程度も異なるので、サービス内容も異なる部分があるのです。

ここでは、障害者支援施設での一日の流れの一例をご紹介します。

6:30頃 起床・着替え・顔を洗う等の身支度
7:30頃 朝食
8:00頃 食事後の歯磨き(口腔ケア)
8:30頃 ラジオ体操による運動訓練
9:00頃 夜間のサービス利用者のお迎え
9:30頃 健康管理、入浴(必要に応じて介助)、リハビリ
11:00頃 健康管理、回診
12:00頃 昼食
13:30頃 入浴(午前に対応できなかった方)、クラブ活動等のレクリエーション
15:00頃 おやつ
16:00頃 夜間のみの利用者の迎え入れ
17:00頃 自由時間(お喋りやゲーム等)
18:00頃 夕食
19:00頃 パジャマへの更衣、就寝介助

以降は一時間毎に巡回を行い、必要に応じて排泄や就寝介助(寝る体勢を変える等)のサービスを受けることができます。

いずれにしても、障害者支援施設では自立のための生活習慣やリハビリを行うのが基本となっており、規則正しい生活を送ることを目的としています。

障害者支援施設の費用

障害者支援施設の利用料金は、介護保険を適用した場合原則一割の自己負担になっています。

ただし、施設内で提供されるサービスに関わる光熱費や食費等に関しては、実費で負担する必要があります。

しかし、それら負担分(一割の自己負担、光熱費等の実費)に関しては、所得格差で負担が出ないように、以下の様に収入に応じて月額上限負担額が設けられています。

生活保護を受給世帯及び住民税非課税の世帯 負担額なし
前年度所得300万円~600万円の世帯 9300円まで
前年度所得600万円以上の世帯 3万7200円まで

この様に、前年度の所得によって負担額の上限が設けられており、所得格差に関係なくサービスが受けられるようになっています。

また、負担額によってサービス量が変わることもないので、安心してサービスを利用することが可能です。

なお、障害者支援施設では介護保険を利用することができますが、障害者福祉サービスと介護サービスに同様のものがある場合、介護保険が優先されます。

さらに、介護保険にないものは、障害者福祉サービスでカバーされたり、その他の支援に関しても介護保険でなく障害者福祉サービスの適用範囲と認定されるケースがあります。

いずれにしても、これら判断は各自治体の判断によるので、分からない場合は居住区の市町村に問い合わせると良いでしょう。

入所までの流れ

障害者支援施設に入所するまでの流れは、利用者の障害者福祉サービスの必要性を総合的に判断した上で決定されます。

基本的には以下の様な流れとなっています。

  1. 申し込み・相談……市区町村の障害福祉担当窓口で申請、若しくは相談支援事業者で相談。
  2. 障害者支援区分の調査……各自治体の調査員によって、心身の状況に関して106項目のアセスメントを行い調査。
  3. 障害者支援区分の判定……一次及び二次判定を経て、区分1~6の認定が決定される。
  4. サービス等利用計画案作成・提出……最終的な支援の方向性を決めて、サービス等利用計画案を作成(指定特定相談支援事業者が作成)。
  5. 支給の決定……②~③等を踏まえて支給が決定され申請者に通知。
  6. サービス担当者会議……利用するサービスの担当者が一堂に会し再びサービス等利用計画の作成案を再考。
  7. 最終的なサービス等利用計画の作成……⑥の案を元に指定特定相談支援事業者がサービス等利用計画を作成し、最終的なサービス内容を決定。
  8. 障害者支援施設への入所……障害者支援施設の事業者と契約後に施設への入所が決定。なお、施設に空きがない場合は、空きが出るまで待機する必要があります。

選ぶ際のポイント


障害者施設は、対象とする障害等がそれぞれ異なるので、その方に合った施設から選ぶのが基本となっています。

そして、障害者施設に入ったからといって、そこで終わりではありません。

本人にとって良い施設かどうかは、入所してみないと分からない部分が大きいからです。

施設の方向性の違いはあるものの、どういった障害者施設も人対人のサービスである事に変わりはありません。

施設及びスタッフの雰囲気は、障害者支援施設を選ぶ際の大きなポイントとなっています。

たとえば、以下の様なポイントに注目すると良いでしょう。

  • スタッフの雰囲気
  • スタッフ間の会話の自然さ(互いに尊重しあっているか等)
  • 施設内の清潔さや温かみ(掲示物などから伺える)
  • 対外的(地域)な取り組みへの積極性

なかでも、スタッフの雰囲気などは職場環境を反映しやすいので(人員不足などだとやや暗めの傾向がある)、しっかりと確認することをお薦めします。

よくある質問

ここからは、障害者支援施設に関するよくある質問の一部を紹介します。

施設を選ぶときに気を付けるポイントはありますか?

施設によって役割や対象となる方が変わるため、どの施設の条件に合うかを「障害者支援施設の種類」を参考に確認しておいてください。

ほかにも施設環境や介護職員と利用者様との雰囲気なども確認しておくと、実際に働き始めたときのギャップが少なくなりますよ。

働く条件に合う施設を選ぶ方法はありますか?

一人で探すとなると条件を見たり自分で応募するとなると、時間も手間もかかって大変です。

そのため、一人で探すのではなく転職サイトやハローワークなどを利用することをおすすめします。

なかでも、介護職に特化した転職サイトだとより細かい条件から仕事を紹介してもらえますよ。

「介護の転職を攻略!おすすめの転職サイト15社を特徴別に比較」で各転職サイトについて特徴をまとめているので、気になる方は是非ご覧ください。

まとめ

現在ある障害者支援施設は、利用者のニーズの高まりから、サービスが多様化しています。

そのため、利用者の選択肢が増えている反面、自分に合った施設選びが難しくなっている側面もあるのです。

本人にとって良い施設か否かは、本人がどういった環境で過ごしたいのかが最も重要と言えます。

しかし、施設の多さから適正の高い施設を探すのは困難な部分が大きいので、障害福祉担当窓口等で専門家に相談しながら決めていくのがよいでしょう。

介護施設から仕事を選びたい方はウィルオブ介護に相談を!

障害者支援施設は、対象となる方の常時介護を行う入居型の施設です。また、さらに施設の種類によっては対象となる利用者様や業務内容が変わってきます。

ウィルオブ介護では、保有資格や経験だけでなく、希望条件や職場環境などからも選べるように転職サポートを行っています。どのような施設かわからない場合も、担当者に相談をすることで理解を深めることも可能です。

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