介護の現場では人間関係が悪いという話を聞いたり、実際にそう感じたりしている方もいるのではないでしょうか。

しかし、なぜ介護現場で人間関係が悪くなってしまうのか、その原因や対策を知っておくことで悩みが解決できることもあります。

この記事では、介護職で人間関係が悪くなりやすい理由と対策、介護職の離職のデータについて解説していきます。

現在の職場で人間関係に悩まされている方や、これから介護職に挑戦したい方は参考にしてみてくださいね。

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介護現場は人間関係が悪いと言われますが、人員に余裕がある施設や教育体制がしっかりした施設など、人間関係が良好な職場も増えています。

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介護職員の離職理由は「人間関係」が最多

人間関係で悩み、離職してしまう介護士も多いと耳にしますが、実際はどうなのでしょうか。

ここでは、介護職員の離職に関するデータをくわしく見ていきます。

介護職の離職理由

現在の介護業界では、離職の原因に関することが業界全体の課題になっています。

【前職(介護関係の仕事)の離職理由 ※上位5項目】
離職理由 割合
職場の人間関係に問題があったため 25.3%
法人や施設・事業所の理念や運営の在り方に不満があったため 19.1%
他に良い仕事・職場があったため 17.6%
収入が少なかったため 17.1%
自分の将来の見込みが立たなかったため 14.8%

※参照:公益財団法人 介護労働安定センター「令和3年度 介護労働実態調査結果 労働者調査 介護労働者の就業実態と就業意識調査 結果報告書」資料編-P.122

離職理由で最も多いのは「人間関係に問題があったため」で、25.3%(4人に1人ほど)の方が人間関係を理由に離職しています。

そのほかでは施設の環境への不満、収入の少なさ、将来の見込みが立たないことなどの労働環境に関する理由が多い傾向です。

このことから、介護の仕事自体は好きだけど人間関係や労働環境が合わずに離職している人が多いことが推測できます。

離職者の勤務年数

介護現場でもうひとつ問題点としてあがっているのが、短期間での離職が多いことです。

【離職者の勤務年数(職種別)】
1年未満 1年以上3年未満 3年以上
介護職員 36.7% 25.2% 38.1%
訪問介護職員 33.1% 21.1% 45.8%
サービス提供責任者 18.2% 18.9% 62.9%
全体 35.0% 23.7% 41.3%

※参照:公益財団法人 介護労働安定センター「令和3年度介護労働実態調査結果 事業所調査 事業所における介護労働実態調査 結果報告書」資料編-P34

介護職全体でみると、3年未満で離職している職員が58.7%で半数以上の職員が3年以内に離職していることになります。

サービス提供責任者のみ3年未満の離職率は低めですが、3年以上の実務経験がないとなれない、役職があるために一般の職員よりも待遇が良いなどの理由が原因です。

一般の介護職員の3年未満の離職率を見てみると61.9%と6割を超えており、職員の定着率の低さがうかがえます。

介護職の離職率

介護職はそもそも離職率が高いイメージを持っている方も多いですが、実際のところはどうなのか下記データを確認します。

【介護職の1年間の離職率】
無期雇用職員 有期雇用職員
介護職員 14.6% 13.6% 17.3%
訪問介護員 14.2% 14.3% 14.0%
サービス提供責任者 7.1% 6.9% 8.8%
全体 14.1% 13.7% 17.3%

※参照:公益財団法人 介護労働安定センター「令和3年度 介護労働実態調査結果 事業所調査 事業所における介護労働実態調査 結果報告書」資料編-P21

データによると令和3年度の介護職全体の離職率は14.1%となっています。

全産業の離職率は、厚生労働省「令和3年雇用動向調査結果の概要 入職と離職の推移」によると13.9%でした。

全産業の離職率と比較しても介護職全体の離職率は特別高いというわけではなく、ほとんど平均に近い数値です。

また、介護職の離職率は平成27年度の17.6%をピークに、年々減少傾向しています。

【介護職の離職率推移】
年度 離職率
2017年度 16.7%
2018年度 16.2%
2019年度 16.0%
2020年度 15.6%
2021年度 14.6%

※参照:公益財団法人 介護労働安定センター「令和3年度 介護労働実態調査結果 事業所調査 事業所における介護労働実態調査 結果報告書」P-40

これらのデータから読み取れることをまとめると、以下のようになります。

  • 介護職の離職の理由は人間関係や職場環境によるものが多い
  • 介護職では短期間の離職が多く、定着しにくい
  • 介護職全体の離職率は全産業の中でも平均的である
  • 介護職全体の離職率は年々減少傾向にある
  • 現在の介護職では、離職率の高さよりも離職理由に課題がある

介護現場の人間関係が悪い原因

介護職では、現場の人間関係の悪さによって離職している人が多いことがデータからわかりました。

なぜ介護現場の人間関係は悪くなってしまいやすいのか、ここからはその原因をくわしく見ていきます。

関わる人が多い

介護職の人間関係が悪化しやすい最大の原因は、業務をする中で関わる人が多いからだといえます。

介護職の特性上、利用者や職員をはじめとした利用者の家族や連携機関のスタッフなど、多くの人と関わりながら業務をしていきます。

そのため、苦手な人やコミュニケーションを取りづらい人と関わる機会も多くなってストレスを感じてしまうのです。

現場の介護・医療スタッフ

介護現場ではスタッフの年齢層が20~70代までと幅広く在籍しており、さまざまな経歴を持つ人たちと関わることになります。

職種についても介護士・相談員・薬剤師・看護師・医師・リハビリ関連職など、さまざまな職種の人との連携が必要です。

それぞれの立場の意見や考えがあり、一人ひとりが利用者のためを思って提案していても意見の食い違いも出てきてしまいます。

その中で人の意見を尊重しない人がいると、仕事が進めづらく精神的にも不安な状態で仕事することになるのです。

ほかにも、小さな事業所の場合には人事異動が少なく長年同じ人と関わることによって、トラブルになるケースもあります。

利用者

スタッフ間だけでなく、利用者との関係も介護職員の頭を悩ませる要因です。

たとえば、利用者から暴言や暴力を受けたことが大きなストレスやトラウマになってしまう職員もいます。

それ以外にも、わがままな要求をしてくる利用者やコミュニケーションに問題がある利用者がるいることもあります。

もちろん、そのような利用者ばかりではありませんが、利用者と関わる中で精神的に疲弊してしまう職員は少なくありません。

利用者の家族

基本的に利用者の家族と関わるのは必要な時のみですが、訪問介護の職員は利用者の家で介護を行うため、家族と接する機会が多いです。

その場合、利用者ではなく家族から訪問介護で対応できない内容や、料金以上のサービスを求められることもあります。

利用者の家族からクレームともいえるような、職員にはどうしようもない内容のことを言われるとストレスを感じてしまいます。

利用者と信頼関係を築けていても、その家族との関係が悪いことで業務がやりづらく、モチベーションも保てなくなってしまうのです。

人手不足で業務過多

介護業界では慢性的な人手不足に悩まされており、一人当たりの業務量が多くなる場面も出てきます。

時には休憩を削ることや残業が必要なこともあり、リラックスできる時間が少なくなるので疲労が蓄積しやすいといえます。

恒常的に忙しく疲労やストレスが溜まってしまうと、普段は穏やかな人でも相手を気遣うことが難しくなるのです。

人手が充分足りている施設であれば業務の負担が分散されるので、人間関係が悪くなりにくい傾向があります。

スタッフの育成環境が整っていない

新しく入職したスタッフは、介護経験者であっても環境の違いでストレスを感じるため、既存スタッフからのサポートが必要です。

しかし、業界全体が人手不足ということもあり、新人スタッフを育成できる環境を整えることが難しい介護施設もあります。

人手不足の施設では、きちんと仕事を教えられない、先輩スタッフが忙しくて質問に答えられないなど、新人教育をする余裕がないのです。

入職してすぐにしっかり教育を受けられる環境がないことで、新人スタッフが不安を抱えながら業務をし続けることになってしまいます。

スタッフの育成環境が整っていてベテランが多く在籍している施設であれば、人間関係が悪くなりにくいと言えます。

人間関係を改善する4つの対処法

介護現場では、仕事の特性上や人手不足によって人間関係が悪くなってしまいやすいことが分かりました。

そんな中でどのような行動を取れば人間関係が改善されるのでしょうか。

ここでは、人間関係を改善するための対処法を4つ紹介するので、自分にできることから少しずつ取り組んで人間関係を改善していきましょう。

問題点を整理する

現状で抱えている人間関係の問題を具体的に整理し、問題点を明確しなくては何も対策が立てられません。

紙やスマートフォンのメモ帳に書き出してみるなど、自分にやりやすい手軽な方法で大丈夫です。

客観的に要点を洗い出しておくことで解決の糸口が見つけやすくなり、誰かに相談するときにも伝えやすくなります。

もし、自分に問題点があれば改善を心がけるようにして他の問題点については干渉せず、別問題と割り切ることで考えがすっきりしますよ。

信頼できる同僚や上司に相談

職場の人間関係でトラブルがあっても自分だけでは解決が難しいときは、信頼できる同僚や上司に相談してください。

利用者やその家族との関係に問題がある場合には、上司に早めに相談することで解決する可能性が高いです。

大事にしたくない内容の場合にも、信頼できる同僚に相談することで気持ちや考えを整理することができます。

愚痴・悪口には参加しない

噂話や悪口、愚痴に参加してしまうと意図していない形で悪い噂が広まってしまいます。

また、一度悪口に同調すると「この人は悪口に付き合ってくれる人」と認識され、頻繁に悪口を聞かされるようになるのです。

ほかにも、悪口に対して思わず自分の意見を言ってしまい、トラブルになってしまうことも考えられます。

愚痴や悪口に参加することは自分にとってもデメリットが多く、人間関係を悪化させる原因になります。

愚痴を話しているところにはなるべく近づかず、愚痴を言われたらなるべく無難に対応しましょう。

仕事上の関係だと割り切る

仕事の上で関わる相手だからといって、無理をして全員と仲良くしようとする必要はありません。

一緒に仕事をしていくうえで信頼関係を築くことは大切ですが、プライベートでの付き合いと仕事上の付き合いは別のものです。

職場で苦手な人に対して「この人はあくまで仕事を一緒にやる人だ」と割り切りながら付き合うこともストレスを軽減させることに繋がります。

人間関係を悪化させない3つの心がけ

人間関係を改善する対処法について見てきましたが、関係をこじらせないようにするにはどんな行動を取れば良いのでしょうか。

ここでは、人間関係が悪化しないようするための心がけやコツを3つ紹介します。

自分の考えが絶対正しいと思いこまない

自分の意見が正しいと思ってしまう方はいますが、人間関係を構築するうえでその考えを持っているとトラブルを引き起こしてしまう恐れがあります。

相手には相手なりの考えがあり、一人ひとりの価値観も違うので、お互いがいつまでも譲らないと関係を変えることはできません。

また、相手の考えや価値観を変えることは非常に困難であることがほとんどです。

自分と違う意見を言われた時でも「こういう意見もあるんだな」と受け止め、相手に歩み寄る姿勢が大切です。

違う意見を持った人に対して自分の意見を伝えるときには、相手を否定せずに意見を述べると角が立ちません。

たとえば「そのような考え方もあるんですね、私はこう考えたのですがどうでしょうか?」のように提案や質問の形で伝えるのが良いですよ。

日頃からプラスの気持ちを伝える

感謝の気持ちや相手の尊敬している部分についてなど、プラスの感情を伝えられて嫌な気分になる人はほとんどいません。

日ごろから「ありがとうございます」「助かりました」など積極的に伝えるようにしておくことで、お互いに気持ちよく働けます。

また、相手の良い部分については「○○さんの○○がすごいと思っているのですが、どのようにすれば良いか教えてほしいです」のように伝えましょう。

そうすることで、思いがけない業務の改善点、参考にできる部分などが見つかることもあり、スキルアップにも繋がります。

無理に言い過ぎると不自然なので、手を貸してくれた場面など本当に感謝や尊敬を感じた時に素直に伝えると良いですよ。

苦手な人が相手の場合には、その人の中でも良い部分と悪い部分とを分けて考え、良いと思う部分だけを伝えるようにしましょう。

自分の行動を記録し振り返る

自分の行動や会話を記録しておくと、後に確認したり反省したりしやすくなるのでおすすめです。

その時は自分が正しいと思っていても、あとで冷静になった時に振り返ってみると自分に問題がある可能性もないとは言えません。

また、記録をつけているうちに自分が負の感情を抱きやすいタイミングや傾向が掴めるようになります。

ほかにも、記録が残っていることで利用者やその家族と問題があった時などに上司への報告がしやすくなるメリットもあります。

それでも人間関係がつらいときは?

自分の中で気持ちを整理して、冷静に向き合うことで解決できることもありますが、それでも解決しないことはあります。

職場での人間関係がどうしても改善できない場合は、我慢しすぎず別の介護施設への転職や別の職種への転職を検討してみましょう。

別の介護施設に異動・転職する

介護の仕事自体にはやりがいを感じているけど、人間関係に疲れたことで離職を考えているのなら、別の介護施設への転職がおすすめです。

これまでの経験やスキルがあるため即戦力として歓迎される可能性が高く、より好条件の求人に出会えることもあります。

働きやすい職場の探し方については「介護職で働きやすい施設の特徴や自分で選ぶコツなどを徹底解説!」も参考にしてみてください。

別の職種に転職する

介護職そのものが自分には向いていないと感じているのであれば、別の職種に転職するのがおすすめです。

異業種であっても、細やかな気遣いや幅広い年齢層に対するコミュニケーション能力など、介護職で培った経験が活かせる職種は多いです。

介護業界外への転職でおすすめの職種は「介護士が転職するコツとは?おすすめ異業種や活かせるスキルなど紹介」で解説しています。

転職には転職エージェントの利用がおすすめ!

転職の経験がない方が一人で転職活動を始めると、情報収集や書類の準備などで苦労することが多くあります。

そんな時におすすめなのが、転職エージェントの利用です。

転職エージェントでは、担当のアドバイザーが現状の解決策の相談や、転職先の求人探しのサポートをしてくれます。

また、正社員として働く以外にも派遣で働くのも一つの方法です。

派遣なら契約期間が決まっており、1つの施設で長く働くことはないので、面倒な人間関係に悩まされることは少ないです。

人間関係のストレスに悩まされている人には派遣介護士として働くのもおすすめですよ。

よくある質問

ここでは介護現場の人間関係について質問形式でまとめていきます。

なぜ介護現場では人間関係が悪いのですか?

介護現場の人間関係が悪いのは、業務の中で関わる必要がある人が多いことが最大の原因です。

かかわる人数が膨大なので、自分の苦手なタイプの人やコミュニケーションに難のある人と出会う可能性が高くなってしまいます。

ほかにも業界全体が人手不足であること、スタッフの育成環境が整っていないなど、不安に感じることで人間関係が悪化しやすいです。

人手が充分足りている、育成環境がしっかりある施設であれば人間関係が悪化しにくい傾向があります。

人間関係が悪化しやすい原因については「介護現場の人間関係が悪い原因」でくわしく解説しています。

人間関係を改善するために自分でできることはありますか?

はじめに、現状どのような人間関係の問題を抱えているかを整理し、客観的に要点を洗い出しましょう。

そうすることで、上司や同僚に相談をするときにも簡潔に伝えることができるようになります。

なるべく早いうちに上司や同僚に相談することで解決する悩み事もあります。

そのほか、日ごと普段から陰口や悪口に参加しない、ある程度仕事上の関係だと割り切るなども必要です。

くわしくは「人間関係を改善する4つの対処法」で解説しているので、あわせてご覧ください。

どうしても人間関係がつらいときはどうすればいいですか?

自分に出来ることをしたうえで人間関係が解決しなければ転職も検討してみましょう。

介護の仕事は好きだけど人間関係が原因で業務がつらい場合は、職場が変わることで介護職を続けられる可能性が高いです。

介護の仕事自体が向いていないと感じた場合には、介護職で培ったスキルを活かせる他業種に転職するのもひとつの手段です。

まとめ

介護現場の人間関係が悪くなってしまう原因や対応策、気を付けたい心がけなどを見てきました。

介護職では現場のスタッフや連携する機関のスタッフ、利用者やその家族など、様々な人と関わりを持つので人間関係が複雑になりやすいです。

何が原因で人間関係がこじれたのかを冷静に振り返りつつ、同僚や上司などに相談することで悩みを解決していきましょう。

また、ある程度仕事だと割り切り、悪口や愚痴に付き合わないなど中立的な立場を取ることで、負担が軽減されることもあります。

しかし、人間関係の問題は自分だけが悪いとは限らないため、努力しても改善しない場合も多いです。

自分にできることをやっても人間関係がつらいと感じたら、別の施設に異動・転職する、別の業種に転職することを視野に入れてみましょう。

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現在の職場の人間関係が悪く転職したいと考えていても、実際に入職するまでその施設の雰囲気や人間関係がどうなっているかを知ることは難しいといえます。

ウィルオブ介護では、求人探しから入職後までのサポートを行っています。実際の施設の雰囲気や人間関係についても事前に確認することが可能なので、人間関係にお悩みの方も安心です。気になる方はぜひ一度ご相談ください。

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