介護職には「きつくて大変だ」というネガティブなイメージを持つ人が多くいます。

実際、介護職は体力面や精神面において大きな負担がかかってしまう場合があり、きついと感じることがあるのも事実です。

しかし、介護職はネガティブな側面ばかりではなく、やりがいやメリットも多く存在しています。

この記事では、介護職をきついと思ってしまう理由と解決策、介護職をやるメリットを解説していきます。

介護職以外に転職したいときのおすすめの業種なども紹介しているので、退職や転職を考えている人も参考にしてみてください。

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介護職の業務内容

介護職は、利用者が日常生活を快適に送れるように身の回りのお世話を行う職業です。

業務内容は「生活援助」と「身体介護」の2つに大きく分かれており、資格の有無によって可能な業務の範囲が決められています。

生活援助

掃除や洗濯、食事の用意、病院への同行など、利用者の方の体には触れないで行う援助を生活援助と呼びます。

生活援助は無資格でも行える業務で、利用者の方が自立した生活を送れるよう手助けすることが目的です。

身体介護

入浴や排泄、食事の介助など利用者の方の体に直接触れて行う介護を身体介護と呼びます。

身体介護は、比較的介護度の高い利用者の方が対象となり、有資格者のみが行うことができる業務で、無資格者が行うには有資格者の同席が必要です。

介護職がきついと感じる4つの理由

ここでは、介護職がきついと感じてしまう理由を4つ紹介します。

深刻な人手不足

少子高齢化の影響で、介護が必要な高齢者人口の増加や介護を担う若者の人口の減少が進み、介護業界は常に人手不足の傾向にあります。

そのため、人手不足が原因で以下のような問題が発生することがあるのです。

  • 一人あたりの担当業務が増える
  • 有給や希望休が取りづらい
  • 残業や夜勤が増える
  • 忙しくてストレスを抱えてしまう など

介護施設における労働環境の悪さの根本的な原因は人手不足にあり、業界や政府としても改善しようとさまざまな取り組みを行っている部分です。

厚生労働省が発表している「第8期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について 別紙1」によると、2025年度には約243万人の介護職員が必要だと言われています。

しかし、2019年時点で介護職員数は約211万人なので、約32万人不足しているとされています。

さらに2040年になると約280万人の介護職員が必要と予測されており、2019年時点から約69万人もの職員を確保しなくてはならないのが現状です。

また、公益財団法人介護労働安定センターが発表している「令和4年度「介護労働実態調査」結果の概要について」でも人材の不足感は66.3%にのぼり、現場の中で人材不足を感じている職員も多いといえます。

夜勤やシフト制の勤務

利用者の方の生活を支えるために、介護施設では夜勤や不規則な時間帯のシフトなど、24時間体制での勤務が求められることがあります。

そのため生活リズムが乱れやすく、身体的・精神的に負担がかかってしまうことが多いといえます。

体調や睡眠の管理がうまくいかなければ不調が出やすい勤務形態の仕事なので、その点できついと感じる人もいるのです。

人間関係

介護職の離職理由として最も多いといわれているのが、人間関係のストレスです。

人間関係以外にも理由は複数あるので、一例として上位5つの項目を紹介します。

【直前職(介護関係の仕事)をやめた理由(複数回答可)】

職場の人間関係に問題があったため27.5%
法人や施設・事務所の理念や運営のあり方に不満があったため22.8%
他にいい仕事・職場があったため19.0%
収入が少なかったため18.6%
自分の将来の見込みが立たなかったから15.0%
※参照:公益財団法人介護労働安定センター「令和4年度介護労働実態調査 介護労働者の就業実態と就業意識調査 結果報告書」P79

介護職は、幅広い年代のスタッフや、看護師や薬剤師、医師、ケアマネージャー、管理職といったさまざまな職種のスタッフと密に連携する必要がある職業です。

一つの業務をするのにも関わる人数が多いため、すれ違いなどが起きやすくストレスに感じてしまう人も多くいます。

また、スタッフ間の人間関係だけではなく利用者の方との関係がうまくいかないというケースもあり、人と接する機会が多い職業ゆえのストレスを感じやすい職業だと言えます。

給料が安い

介護職は、業務の内容に対して給与が安いといわれることが多い職業です。

【令和2年度平均月収・年収(基本給+諸手当)】

月収年収
介護職員平均31万7540円381万480円
(月収より計算)
全国平均38万1000円
(年収より計算)
457万6000円
※参照:厚生労働省「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」第79表
※参照:国税庁「令和4年分 民間給与実態統計調査」P15

日本全体の収入の平均と比較してみると、介護職の収入が少ないことがわかります。

人間関係で紹介した「前職(介護関係の仕事)をやめた理由」でも「収入が少なかったため」が18.6%を占めており、不満を感じる人は少なからずいます。

仕事の内容が濃いのにもかかわらず給与が少ないと、働くモチベーションが保ちにくく、続けていけるか不安になってしまう人も多いのです。

業界全体や政府としても様々な取り組みを行っていますが、働いている職員としてはまだ実感を得られていない人もいるようです。

今の給料が少ないと感じている方は、給料アップの方法などを紹介している「介護士の手取り額と額面給料の平均は?給料アップの方法なども紹介」もあわせてご覧ください。

介護職がきついときの4つの対応策

では、きついと感じた時にどういった行動を取れば改善できる可能性があるのでしょうか。

ここでは、介護職がきついと感じた時の対応策を4つ紹介します。

周囲の人や相談窓口に相談する

上司や同僚、身近な友人、家族などに相談してきつさが改善されることがあります。

職場の環境や人間関係の悩みであれば、上司が対応してくれたり、同僚がフォローしてくれる可能性があるので、退職する前に職場の改善に取り組んでみましょう。

上司に直接話しづらいのであれば、会社によっては専用の相談窓口を設けている場合もありますし、公共機関などに相談することも可能ですよ。

また、身近な友人や家族に相談することで気持ちがすっきりしてうまく切り替えられることもあるので、一人で抱えず誰かに相談してください。

シフトや夜勤の回数を調整してもらう

給与の低さに不満を感じている場合には、夜勤の回数を増やしたり、夜勤専属で働く方法があります。

夜勤は通常賃金の1.25倍になる深夜割増賃金が適用されるうえ、施設によっては別途で夜勤手当を支給していることがあるので確認してみてください。

夜勤がきついと感じているのであれば、夜勤の回数を減らしてもらう、日勤のみで働けるよう上司に相談してみましょう。

また、介護の夜勤については「【介護業界の夜勤 まるわかり】夜勤の勤務時間は?知ってると得することとは?」でも解説しているので、あわせてご覧ください。

資格取得やスキルアップを目指す

給与に関してきつさを感じている場合には、上位資格の取得やスキルアップを目指すのも良い方法です。

介護業界では、未経験や無資格の状態で行える業務の内容に制限が多いため、その分給与が低くなってしまうことがあります。

資格を取得することで専門的な知識が身に付いて仕事の幅が広がるので、給与が上がることにつながります。

退職・転職する

施設の方針や理念が合わないなど、現在の働き方にきつさを感じているならほかの介護施設への転職を考えてみましょう。

施設の形態によって働き方や方針に違いがあるので、自分のスタイルに適した施設で働くことでストレスが軽減される場合があります。

労働条件や環境がどうしても合わない、解決が難しそうと感じるなら、次の職場を探した方が良い場合もありますよ。

介護職を続ける5つのメリット・やりがい

ここでは、介護職を続けていくメリット、やりがいを5つ紹介していきます。

需要が高く雇用が安定している

介護業界は常に人手不足に悩まされているため、求人が多く、就職をした後にも会社側から解雇されることは少ないです。

介護職の経験や資格があれば、さまざまな事情での離職や働き方を変えたいと思ったときにも復職や再就職がしやすい特徴があります。

また、介護事業所は全国に存在しているので、引っ越しや家族の転勤があるときでも、就職先に困ることはありません。

今後、さらに介護職人口を増やすことが求められているので、長期的に見ても介護業界の雇用は安定していると言えます。

今後給与が上がる可能性が高い

介護業界では人手不足改善のため、国を挙げて待遇の改善に取り組んでおり、実際に給与面での改善がみられています。

【介護従事者等の平均給与額の状況(月給・常勤の者、職種別)】

令和4年9月令和3年12月
介護職員31万7540円30万990円
看護職員37万3750円35万5400円
生活相談員・支援相談員34万2330円32万7650円
※参照:厚生労働省「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」P119

さらに「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要」では、平均給与額の引き上げ実施についてもデータが出ていました。

各種手当の引き上げまたは新設を予定している施設・事業所が72.0%、定期昇給を実施予定しているところが51.5%もあり、今後も継続的に給与面の改善が進んでいくと予想されます。

介護の技術を身につけられる

介護職として培ったスキルは、自分の家族や身近な人を介護する必要がある時にとても役立ちます。

介助の技術以外にも、自宅介護で気を付けるポイントや施設選びの基準、手続きの際にも実践的な知識が備わっているので、的確に対応できるようになります。

今後、より高齢者社会が進んでいく中で介護の知識を持っていることは、プライベートでも大きなメリットになるのです。

性別年齢を問わずキャリアアップしやすい

介護職は女性職員の割合が非常に高い職業なので、男女を問わずキャリアアップしやすい環境が整っています。

2013年に介護資格制度の改定がされ、キャリアパスがわかりやすく整備されたこともあり、より明確にキャリアアップがしやすい環境になっています。

また、働いている年代についても男女ともに30代・40代が多く、50代以上の世代も活躍しているので、年齢を問わず働き始められるのが介護職のメリットの一つです。

利用者様から感謝の言葉がもらえる

介護職は誰かのために役立っている、社会のために役立っているという実感を得られる職業です。

日常生活のお世話をしている中で、利用者やその家族の方から感謝の気持ちを伝えられる場面が多く、そんな時にやりがいを強く感じることができます。

仕事を通じて直接的に感謝される職種は少なく、介護職ならではの大きな魅力です。

介護業界内での転職でおすすめの働き方

介護職を辞めたい理由次第では、介護業界の中で職場を変えることにより解決できる問題も少なくありません。

ここでは、転職理由別におすすめの働き方を紹介します。

職場の人間関係が原因で転職した場合

人間関係が原因で転職する場合は、職場を変えるだけで働きやすくなる可能性が高いと言えます。

転職の際に気を付けるポイントしては、施設の経営方針や就業形態が自分の考えに合っているところを優先的に選ぶのが良いです。

介護施設では、その施設の掲げる方針に近い考え方のスタッフが多く所属しており、価値観が近い人が集まりやすいのです。

価値観が近い人同士であれば、意見のすれ違いは少ないため、揉め事やトラブルは起きにくいといえるでしょう。

チームでの仕事がどうしても苦手だという場合には、単独での作業が多い訪問介護の仕事を検討するのがおすすめです。

給与が原因で転職した場合

給与に対する不満が原因で転職を決めた場合は、介護施設の形態に着目して転職先を選ぶと良いです。

介護施設の形態によって、給与の額には差があります。

【介護職員の平均給与額等(常勤の者)】

施設形態月給
介護老人福祉施設34万8040円
介護老人保健施設33万9040円
介護療養型医療施設27万6400円
介護医療院32万700円
訪問介護事業所31万5170円
通所介護事業所27万5620円
通所リハビリテーション事業所30万4790円
特定施設入居者生活介護事業所31万3920円
小規模多機能型居宅介護事業所28万7970円
認知症対応型共同生活介護事業所29万1080円
※参照:厚生労働省「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」第86表

特養や老健、有料老人ホームといった夜勤が発生する介護施設や、医療的ケアやリハビリを中心に取り組む介護施設の給与は高くなる傾向があります。

また、給与が高くなる傾向にある施設は高い介護スキルも求められるので、スキルアップを目指したいという方にもおすすめです。

身体的負担が原因で転職した場合

身体的負担が原因で転職する場合には、健康型有料老人ホームなどの介助業務の少ない介護施設を選ぶのがおすすめです。

あるいは、介護ロボットなどの機械導入に積極的な介護施設であれば、身体的な負担は軽くなります。

そのほか、夜勤や時間変動のあるシフトがつらい場合には、デイサービスや訪問介護などの日勤のみの施設、夜勤専従などのシフトが固定されている施設を選びましょう。

介護業界外への転職でおすすめの職種

ここでは、介護職で培ったスキルを活かせる他業界の職種を紹介します。

どうしても介護職を続けるのが難しく、介護の仕事以外の職種に挑戦してみたい場合の参考にしてみてください。

営業職

介護職をやる中で利用者のみならず利用者の家族、さまざまな職員と関わり身についたコミュニケーション能力は、営業職としても活かせます。

特に福祉用品の販売している企業や介護用品のメーカーの営業職なら、実際に介護業界にいたことが大きな強みとなりますよ。

そのほかの営業職の場合でも、企業が扱う商品やサービスについて入社してからしっかり学ぶことができるので、未経験でも安心して始められる業種です。

接客業

接客業は、営業職と同様にコミュニケーション能力を活かせる仕事で、飲食店やアパレル系、家電量販店など幅広い業界で需要のある職種です。

様々な業界で必要とされる職種なので、自分の興味のある業界に挑戦しやすいのも接客業の良いところだといえます。

土日祝に出勤する必要がある場合がありますが、平日に予定を組みやすいのも特徴です。

事務職

事務職は、介護職で身体的な負担を感じてしまい、次の職業では肉体労働をしたくないと考えている方におすすめの職業です。

事務職では基本的に夜勤がなく、カレンダー通りの出勤の会社が多いので、規則的な生活が送れるというのが大きなメリットです。

介護職の知識や経験を活かして、医療事務や介護事務に挑戦する方法もあります。

保育士

介護資格を持っていれば保育士資格を取得しやすくなる制度があるため、保育士を目指すのもおすすめです。

保育士になるには保育士資格を取得する必要がありますが、介護福祉士を取得していれば保育士資格試験の筆記試験9科目のうち、3科目が免除されます。

資格取得までに時間も費用も要しますが、保育業界も常に人手不足に悩まされているので、仕事がなくなることはありません。

資格を取得せずとも、保育補助として未経験から挑戦することも可能ですよ。

よくある質問

ここからは、介護職をしていてきついと感じることについての疑問を質問形式で解説していきます。

きついと感じてしまうのは仕事に向いていないからですか?

きついからといって、一概に向いていないからとは言い切れません。

実際には施設の方針や勤務体制、職場の環境、人間関係など幅広い要因が考えられます。

そのため、きついからとすぐに別の業界に転職するのではなく、今の仕事で何に対してきついと感じているのかを理解する必要があります。

その原因を突き止めて、上司や同僚に相談をしたり、シフト調整をしてもらったりするなどできることから改善を始めていくことをおすすめします。

どのような理由できついと感じるかは、こちらの「介護職がきついと感じる4つの理由」をご覧ください。

きつくても続けた方が良いですか?

改善することで続けられそうな状況であれば、続けることをおすすめします。

介護の仕事は、キャリアアップを目指しやすい仕事の一つでもあることや勤続年数によって給料が上がる施設もあることから、長く続けるメリットがあるといえます。

しかし、精神的・肉体的にストレスが大きい場合は不調がでてしまう恐れがあるので、その場合は別の施設や別業界への転職を検討しましょう。

きついと感じたときの対応策として、「介護職がきついときの4つの対応策」で紹介している内容を確認しておきましょう。

まとめ

介護職がきついと言われる理由は、深刻な人手不足や勤務形態の不安定さ、人間関係、給与が安いなどがあげられます。

業務をすることがつらいと感じたら、まずは直属の上司や同僚、相談窓口、家族や友人への相談や、職場へ環境の改善を求めましょう。

働き方が合ってないと感じる場合には、夜勤の回数やシフトの調整を求めるのも一つの手段です。

給与面に不満を感じる場合には、夜勤を増やしたり資格を取得したりすることで給与アップが期待できます。

しかし、それでも状況が改善できそうにない場合には、ほかの介護施設への転職や、他業種への転職を検討してみましょう。

他業種への転職をするなら、営業職、接客業、事務職、保育士などの職業は介護職の経験を活かせる場面が多いため、転職先としておすすめです。

介護職のきつさやメリットを理解したうえで、自分に合った働き方をするための参考にしてくださいね。

介護職での働き方をウィルオブ介護で一緒に考えてみませんか?

職場環境や働き方に悩んでしまったら抱え込まず、誰かに相談することをおすすめします。上司や同僚の方でも良いのですが、転職も視野に入れてウィルオブ介護のような転職エージェントでも相談ができますよ。

一人ひとりに合う仕事を提案しているので、気になる方はぜひ一度お問い合わせください。

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