介護職で働くと聞くと、夜勤時間や賃金などに不安を感じる方はいます。

実際は、施設によりますが勤務体制が整えられていて、2006年度に制定されて2016年度に改定された「72時間ルール」によって介護業界で働く人の負担が軽減されてきています。

それでも、夜勤についてよくわからない、負担は変わらないのではないか、ちゃんと残業手当などは支払われるのかといった不安は残ってしまうものです。

この記事では、介護業界の夜勤時間や賃金などについて解説していきます。

介護職の夜勤は施設の体制によって変わります

一般的に夜勤は22:00~翌5:00とされていますが、介護職では施設で定めている「2交代制」「3交代制」などにとって夜勤時間が少し異なります。そのため、夜勤が入ると不規則で難しいと感じる方はいます。

ウィルオブ介護では、介護の現場を知るエージェントが担当するので、夜勤に関することも質問できます。また、希望条件や業務内容なども考慮して求人の紹介ができるため、夜勤があっても無理のない働き方ができる仕事を探せますよ。

夜勤の時間は何時から何時まで

労働基準法第37条4項第61条1項・2項において「深夜の時間帯」とは、午後10時から午前5時まで(厚生労働大臣が必要であると認める場合においては、その定める地域又は期間については午後11時から午前6時まで)の間と定められています。

つまり、法律で決まっている夜勤時間は22:00~翌朝5:00までの7時間を指します。

しかしこの労働基準法で定められている夜勤時間とは異なり、多くの施設では夕方16:00前後~翌朝10:00前後が夜勤の時間とされています。

拘束時間はおよそ18時間、うち平均して約2時間は休憩・仮眠時間となり実際の勤務時間は16時間です。

この夜勤時間帯には、入居者の生活に合わせて、介護が必要だけの人員配置ができるように考えられています。

夜勤は賃金何割増し?

労働基準法第37条4項では、「深夜の時間帯」の労働について、通常の労働時間の賃金の計算額の2割5分以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならないと定められています。

以上のことから法律で定められている22:00~翌朝5:00までの7時間分は25%以上の割増賃金が発生することになります。

しかし、施設によっては夜勤手当に対して「割増額」「一定額」「一定金額+割増額」と考え方が異なります。

割増額の場合、労働基準法で定められている深夜割増手当になって法律で決められた時間分は25%の割増賃金がつきます。

基本給を時給換算して計算するため、同じ日に夜勤をしても職員によって割増額が異なることがあります。

一定額の場合、事業所で定めた夜勤手当になります。

割増額では介護職員によって一回の夜勤手当が異なるため、不公平さをなくすために一定額にしている事業所もあります。

一定額は、事業所で決めることができますが、「25%割増賃金×労働した深夜時間数」以上に定める形になります。

一定金額+割増額の場合、労働基準法に定められている深夜割増手当に事業所として定めている夜勤手当が加わります。夜勤勤務者確保のためなどに手当をつけていると言えるでしょう。

2交代制と3交代制について


夜勤勤務の時間は、「2交代制」と「3交代制」の大きく2つに分けられます。

2交代制の場合


勤務時間を大きく2つに分ける勤務体系のことを言います。

働くところによって異なりますが、「日勤8:30~16:30の8時間」、「夜勤16:00~翌朝8:00の16時間」などが一例としてあげられます。

つまり、日勤帯の休憩時間はおおよそ1時間として8時間勤務で、夜勤の場合は休憩・仮眠時間はおおよそ2時間として16時間勤務といえます。

そのため、夜勤は1回で2日分の時間を勤務する形になるのです。

3交代制の場合


勤務時間を大きく3つに分ける勤務体系のことを言います。

働くところによって異なりますが、「日勤6:00~14:00までの間で8時間」、「準夜勤14:00~22:00の8時間」「夜勤22:00~6:00の8時間」などが一例としてあげられます。

休憩は日勤・遅出・夜勤ともにおよそ1時間として8時間勤務なので、どの時間帯でも働く時間は同じです。

看護師の夜勤に関する「72時間ルール」とは

2006年度の診療報酬改定によって制定された「72時間ルール」は、入院病棟に勤務する看護師の負担軽減のため、平均夜勤時間を72時間以内するものです。

平均夜勤時間を72時間超えた病院は、入院基本料の単価が下がりますが、すべての病棟に適応されているわけではありません。

救命救急センターやICU、NICUなど集中治療室や回復期リハビリテーション病棟、緩和ケア病棟など、病状に特化した病棟は72時間ルールが除外されています。

2016年に「72時間ルール」が改正によって、夜勤をしている看護師の条件が緩和され、家庭の事情などで夜勤が少ない看護師も1人として数えられるようになりました。

「72時間ルール」によって一か月の夜勤時間は減っていますが、夜勤時間は平均のため、一部の看護師へ夜勤時間や回数が偏っている現状もあります。

夜勤で日をまたぐ場合の労働時間の計算方法

労働時間は労働基準法第32条によって、原則1日8時間、1週間は40時間までと決まっています。

原則から考えると、8時間を超えた部分は時間外労働という形で割増賃金が必要です。

しかし、仕事によっては必ずしも8時間で交代勤務ができるものばかりではなく、一か月のうちで忙しい曜日や時間が異なる仕事もあります。

以上のような仕事では一日や一週間の単位で労働時間を考えなくても良いのです。

月単位や年単位で労働時間を調整することで勤務時間が増加しても時間外労働とならない変形労働時間制をとって、それによって労働時間を管理しています。

病院や介護施設では上記のような変形労働時間制を取り入れ、夜勤を含めた24時間体制で介護が必要な利用者の生活を守っています。

一日ごとで勤務時間を考えると「夕方16:00~0:00まで」と「深夜0:00~10:00まで」の2つの労働時間に分ける形になります。

休憩時間や賃金計算を考えた場合、二日間に分けることで働く人に不利益になることがあります。

そのため、夜勤で日をまたぐ場合の労働時間の計算方法は、昭和63年に出された通達によって、夜勤入りの日が勤務日になり、一日として計算するとされています。

夜勤の休憩時間について

休憩時間は労働基準法第34条1項によって、「使用者は、労働時間が6時間を超える場合においては少なくとも45分、8時間を超える場合においては少なくとも1時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない」と定められています。

以上のように労働基準法上では夜勤だけに決められた休憩時間はなく、8時間超えでは1時間の休憩時間が設けられていれば問題はありません。

ただ、夜勤の場合、勤務時間が長時間にわたっているため、休憩とは別に1時間半から2時間程度の仮眠時間を設けている施設もあります。

夜勤の残業手当について

夜勤の割増賃金と残業による割増賃金は異なるため、残業を行った場合は残業手当がつきます。

時間外手当は、労働基準法第37条第1項によって、深夜割増賃金と同様に2割5分以上の割増賃金を払わなければならないと以下のように定められています。

残業する時間帯 割増分
深夜以外 25%の割増賃金
深夜 25%の割増賃金+25%の深夜割増賃金=合計50%の割増賃金

たとえば、夜22:00までの勤務者が残業をして深夜1:00まで働いた場合、22:00~1:00までの3時間は残業の割増賃金25%に加えて深夜割増賃金25%がつき、50%の割増となります。

夜勤後の休日の扱い

2交代制勤務と3交代制勤務によって休日の取り扱いが異なります。

2交代制の場合、夜勤の勤務時間は16時間のため、勤務日の翌日は夜勤明けの休みとなりますが、3交代制の場合は夜勤であっても勤務時間は8時間です。

勤務明けの日は休日として取り扱われ、翌日は勤務になります。

具体例

勤務制度 一日目 二日目 三日目 四日目
二交代制勤務 早出 夜勤 明け 休み
三交代制勤務 早出 夜勤 休み 遅出

夜勤明けにすべきことは、心と体の疲労を回復し正常な生活リズムを取り戻すことです。

夜勤専従という働き方

夜勤の仕事を専門に行うことを夜勤専従と言い、夜勤専門に行うため日勤業務を行うことはありません。

働き方は夜勤専従の正職員として雇用している施設もありますが、パートや派遣職員としての雇用が多いです。

夜勤専従の場合、日給が高いため日勤勤務より勤務日数が少なくても収入を得ることができます。

たとえば、夕方16:00~翌朝10:00まで(休憩・仮眠2時間)時給1000円で働いた場合、勤務時間は16時間です。

22:00~翌朝5:00までの7時間は、25%の割増賃金が発生します。

    時給の内訳
    9時間分は時給1000円
    7時間分は時給1250円
    1000(円)×9(時間)=9000
    1250(円)×7(時間)=8750
    9000(円)+8750(円)=17750

夜勤1回の日給は1万7750円になるため、月10回夜勤を行うと17万7500円です。

施設によっては時給がもっと高いところもあるので昼間介護職として働くより給与が高いことも多いです。

昼間は自分の時間として自由に使える、働く日数が少なくても収入が得られるなどのメリットにより夜勤専従の働き方があります。

給料についてさらにくわしく調べたい方は、こちらの「介護士の手取り額と額面給料の平均を紹介!給料アップの方法も解説」も参考にしてください。

よくある質問

ここでは、介護業界の夜勤でよくある質問を一部紹介します。

夜勤とは何時から何時までですか?

労働基準法第61条(深夜業)では、22:00~翌5:00と定められています。

また、厚生労働大臣が必要だと認めた場合は、定める地域や期間については23:00~翌6:00に定めることもあります。

介護業界の夜勤については、「夜勤の時間は何時から何時まで」で解説をしているので、気になる方はご覧ください。

「2交代制」「3交代制」とは何ですか?

介護職のシフト体制で、施設によって採用している体制が変わります。

「2交代制」は、日勤(8:30~16:30の8時間)と夜勤(16:00~翌8:00)の体制です。

「3交代制」は、日勤(6:00~14:00)と準夜勤(14:00~22:00)と夜勤(22:00~翌6:00)に分けられています。

くわしい解説は、「2交代制と3交代制について」をご覧ください。

まとめ

「2交代制」「3交代制」によって夜勤の時間は異なります。

「2021年 介護施設夜勤実態調査結果概要」によると、2交代制の施設は87.6%と多い結果が出ています。

2交代制の場合、夜勤は16時間と長時間にわたって勤務することになり、3交代制の場合は日勤帯同様、8時間の勤務です。

また、夜勤による拘束時間が長すぎる、忙しくて体調を崩してしまうなど夜勤を辞めたいと思う方は、働き方を改めるだけではなく、他の解決策を考えてみるのも一つの手段です。

夜勤の時間を把握して、自分のライフスタイルに合わせた働き方をみつけてください。

介護職の夜勤について知りたい方はウィルオブ介護に相談を

この記事で夜勤について話してきましたが、実際に自分が働くとなると、施設によって変わる体制についていけるか不安になるものです。夜勤に関してくわしく知りたい方は、転職エージェントやハローワークなどの機関を利用することをおすすめします。

ウィルオブ介護の担当者が夜勤に関すること以外にも転職でわからないことや面接対策などについても質問できますし、アドバイスももらえます。一人で転職をするのが難しい方は、是非一度ご相談ください。

関連記事

介護職の面接でよくある質問やマナーとは?回答例やポイントを紹介
介護業界はホワイト企業が増えた?業界の実情や優良企業の特徴を解説
介護職のキャリアアップ方法とは?キャリアパスや必要資格を解説
介護士の手取り額と額面給料の平均を紹介!給料アップの方法も解説
介護士が転職するコツとは?おすすめ異業種や活かせるスキルなど紹介

こんな条件の求人が注目されています

  • 高時給/高月給
  • 未経験OK
  • 完全週休2日
  • 時短/扶養内