インターネットの普及や人材紹介会社の増加により、介護職の求人も見つけやすくなりました。これらのサービスは条件や待遇、勤務地などの希望を伝えるだけで、希望の施設をマッチングしてくれるため、効率良い仕事探しに大変便利です。
しかし簡単な情報探しとは対照的に、丁寧な対応が求められるのが履歴書です。便利に応募できる世の中になったからこそ、肝心の履歴書の中身が雑になっていませんか?
今回は「志望理由をどのように書いていいかわからない」とお悩みの方のために、皆さんの魅力が最大限に伝わる履歴書の書き方をご紹介します。コツをつかんで内定をグッと引き寄せましょう。
目次
職務経歴を書くときに気をつけるポイント
職務経歴は箇条書きで簡潔に書きましょう。
職務経歴は、皆さんがどのようなスキルの持ち主なのか、どのような仕事を行ってきたのかを確認するための欄です。
この項目は、シンプルにこれまでの経歴を記載すればいいのです。ただし相手に誠意を伝えるために下記のポイントに注意して記載しましょう。
職務経歴の書き方
・勤務先(企業名(法人名)は正式名称で。株式会社の場合は(株)と訳さないようにしましょう)
・勤務期間(〇〇年〇月~○○年〇月まで、計〇年間と相手にわかりやすく伝えましょう)
・職種
・役職(特にない場合は書く必要はありません)
・雇用形態(正社員なのかパートなのか、正直に書きましょう)
・仕事内容(職場での仕事内容を2~3行でシンプルにまとめましょう)
勤務先や仕事の内容について書く際には、具体的に「×名の職員施設で~」「食事介助、排泄介助、〇〇を使ったレクリエーションに参加」「要介護度5の利用者様を担当」といったような面接官のイメージがわきやすい言葉を選ぶのもポイントです。
特に転職回数が多い方は、記載しなければならない項目が多くなりますが、あまりダラダラ書いてしまうと面接官も読む気が失せるばかりか、肝心のセールスポイントも見落としがちになります。
書類はとにかく箇条書きで、簡潔にまとめるのがポイントです。
また取得資格も大きなアピールポイントになります。介護職員初任者研修(ホームヘルパー)、介護福祉士、ケアマネージャーなど、いつどの資格を取得したかも明記しておきましょう。
後に修了書の提出を求められたとき、履歴書と修了書の取得日が違っていたら不審に思われるかもしれません。
志望動機は共感できる「理念」がポイント
履歴書を作成するうえで最も書く内容に困る項目は、ずばり「志望動機」なのではないでしょうか。
その施設(会社)を応募するからには色々な理由があるとは思いますが、「高齢化社会の一助に」とか「社会福祉の貢献に」など、あまり難しい言葉を使わずシンプルに「困っている人を助けたい」「お年寄りが大好きなので」といった具合に“自分の言葉”で面接官に気持ちを伝えることが重要です。
また、応募する施設の「経営理念」が、あなた自身が考えている介護ビジョンに合致しているかどうかも、志望理由を書く際に必ずチェックしましょう。
「経営理念の不一致」は、介護施設を退職する理由として挙げる方も大変多くいらっしゃるほどの重要なポイントです。
採用する施設の視点で見ても、自分たちとビジョンが一致している人に働いてもらった方が、職員同士が働きやすい、また利用者に対しても安心で居心地のよいサービスが提供できるため、双方にメリットがあります。
あなた自身が過ごしやすい環境で仕事をするためにも、面接を受ける前に施設のホームページなどでチェックしておきましょう。
もし応募した介護施設がホームページを持っていない事業者だった場合には、面接の場で相手はどういう理念を掲げているのかを必ず把握するようにしておきましょう。
志望動機を作成するポイント
・自分の素直な気持ちを伝える
・理念に共感できる施設を選ぶ
・面接を受ける前に施設の理念をホームページで調べておく
・もしホームページがない施設の場合は、面接で確認する
自己PRは好きなこと、得意なことを素直に書く
志望動機と同様に、応募者を悩ませるのが「自己PR」です。応募者の中には悩んだ挙句、自己PRを記入しないで履歴書を提出してしまう人もいるようですが、これは絶対にやめましょう。
やる気があるかどうかわからない、不誠実な人を採用する会社はどこにもありません。
もし何を書くか迷った時には、どんな些細なことでも良いので、自分の得意なこと、過去に同僚や上司や利用者に誉められた点などを書いてみましょう。
例えば「小さい頃から折り紙や、あやとりが大好きで」といった内容でも、利用者の中にはこういった遊びが好きな人もいらっしゃるので、面接官に「この人のスキルはレクリエーションの中で役に立つかもしれない」と好印象を持たれるかもしれません。
自己PRを作成するポイント
・自己PRを空白のまま出すのはNG
・思い悩んだ時は、得意なこと、仕事で誉められた点を書く
・面接では謙虚さを伝える
あとは仕事とは直結しない内容ですが、趣味や休日の日の過ごし方などに触れてみるのも良いでしょう。
不規則でストレスも多い業界なので、休みの日にきちんとリフレッシュして、仕事との切り替えができているかどうかを見ている面接官もいます。
そして面接の際に「謙虚さ」が伝わるかもポイントです。現場経験が豊富な人でも新たな職場では新人として扱われます。
今までの経験を活かそうとすることはもちろん大事ですが、一から仕事や職場でのしきたりなどを教えてもらおうとする心構えは、先輩職員たちとの人間関係を円滑なものにします。
待遇など条件をきちんと確認する
初対面の人間を相手にして、なかなか切り出すのが難しいのが待遇などの条件面です。
一次面接でいきなり給与のことを口に出すのはNGですが、最終面接などで給与に関する条件の話が出た場合には、こちらの希望はきちんと伝えておきましょう。
昇給は定期的にあるか、休日がきちんと取れるかなども確認しておきたいところです。辞めていく人が多い職場の場合には、残された人に過剰な負担がかかります。時にはその人の能力以上の業務を命ぜられ、忙しさは増すものの、給与は変わらずといったことが起こる可能性があります。
待遇面の確認は、働きやすい施設かどうかを確認するためにも役立つので、あなたが過ごしやすい環境で働くためにも、しっかりと確認しておきましょう。
また採用が決まったあとは、入社前に必ず同意書(契約書)への捺印を求められますが、仕事の内容、範囲について多少面倒でもきちんと目を通し、必ず一部コピーを取っておくようにしましょう。
終わりに
希望の施設から内定をもらったはいいが、いざ働いてみると休みが取れない、給与が提示額と違うなどといった話も良く聞きます。
皆さんに一つ心得てほしいのは、面接は相手(会社)が選ぶ場であるのと同時に私たちが相手を選ぶ場でもあるのです。
いかにも応募者を見下した態度、面倒くさそうな態度で出てくる面接官も多くいます。人材は使い捨てとばかりに「どうせ辞めてもまた別の人を採用すればいい」と考えている低い意識の経営者が多く存在するのも事実です。
「こんなはずじゃなかった」というミスマッチを少しでも減らせるよう、私たちも職場を選ぶ、人を見る目を養っておきたいものです。
作:大西 啓介(Live-up Works)