介護の仕事に限った話ではありませんが、仕事には「正社員」と「非正規社員」の2通りの働き方あります。これから介護の仕事にチャレンジしたい方にとっても、介護業界の中で転職したいと考えている方にとっても、まず働き方を検討することが第一段階ではないでしょうか。

そこでこの記事では、介護業界の代表的な働き方である正社員とパートにスポットを当てて選び方を指南します。それぞれメリット・デメリットもあるので、就業前にしっかりと理解しておきましょう。

介護職の正社員とパートの仕事内容の大きな違いは?

介護職における正社員とパートの仕事内容の大きな違いは、介助以外の仕事の有無にあります。身体介助や生活介助などはどちらにも共通しているので、ほぼ違いがない、という意見もありますが、正社員の場合はそれに加えて新人社員の教育やマネジメント、書類の作成、行事の企画運営なども行います。

なお、パートでも資格の有無で仕事内容は異なります。無資格者の場合は正社員や有資格者の補助的なスタンスで、直接的な介助を1人で行うことはあまりないようです。一方、有資格者では、現場で直接的な介助に携わります。

介護士がレクリエーションをしている様子

それぞれの仕事内容について、下記に詳しく説明します。

正社員が担当する仕事内容

正社員「だけ」が担当するのは、前述の通り、直接的な介助以外の仕事です。大きな事業所においては、委員会活動やミーティングに参加することもあります。

また、ケアマネやリハビリ担当などさまざまな職種のスタッフと連携し、適宜調整を試みることも正社員が担当します。もちろん通常の介助業務全般も行うため、必然的に時間外労働が多くなる傾向にあります。

パートが担当する仕事内容

パートの場合は、現場で介助の仕事を担当します。無資格未経験でも働くことができますが、その場合は介助や活動の補助、事業所の掃除や利用者様とのコミュニケーションなどがメインとなります。もちろん経営に関わることやケアプランの作成など、責任感が伴う仕事は任せてもらえません。

それぞれのメリットとデメリットもしっかり把握しておこう

仕事内容では共通する点も多い正社員とパート。それならば正社員で働く方が良いのでは、と安易に考えがちですが…。それぞれのメリットとデメリットを比較してみましょう。

介護職の正社員で働くメリット・デメリット

正社員で働くことのメリットは、なんといっても給与の高さにあります。たとえパートと変わらない勤務時間であっても、給与には雲泥の差が生じます。また、賞与や昇給があることもメリットのひとつです。経験を重ねることで給与アップはもちろん、介護福祉士やケアマネージャーなどを目指せるのも正社員ならでは。

さらに、介護職に限った話ではありませんが、正社員は各種社会保険や福利厚生も充実しています。もちろん転職の際にも、正社員というキャリアがあった方が有利になります。

一方でデメリットは、責任感が重くのしかかってくるところでしょう。介護の仕事は、人の生死に間近で関わる職業です。それだけに一切の手抜きはできません。また、時間内に仕事が終わらなかった時は残業も発生します。そのほか、まとまった休みが取りづらい、人員不足の職場ではなかなか仕事を休みにくい、辞めにくいこともデメリットと言えます。

介護職のパートで働くメリット・デメリット

パート勤務の最大のメリットは、時間の融通が利くことでしょう。家庭の事情で勤務日数や勤務時間を選ぶことができるので、ワークライフバランスを保つことができます。もちろん極端な残業を強いられることもありません。

また、無資格未経験でも働くことができ、求人が多いのもパートのメリットのひとつです。辞めたい時にすぐ辞められる、自由度の高さもパートならでは。パート勤務の経験も介護福祉士などの受験に必要な「実務経験」にカウントされるので、将来的に資格を取得したいと考えている方にもおすすめです。

デメリットは、給与の低さです。パートでは、賞与や昇給もほぼ望めません。ただし、夜勤のパートであれば昼間よりも時給が高く設定されているので、効率良く稼ぐことは可能です。また、介護の仕事は体力勝負的な側面が大きいため、未経験からのスタートであれば腰を痛めたり体力的に疲弊する可能性もあります。

給与の違いはどれくらい?

先ほど少し触れましたが、正社員とパートの給与には雲泥の差があります。仕事内容はさほど変わらないにも関わらず、なぜこのような差が生じるのでしょうか。それは、正社員の方がパートよりも仕事内容が多岐にわたること、責任感が大きいこと、フルタイムで働くことにあります。

また、正社員には賞与などの手当があるのも高給の要因です。さらには、平成24年度に行われた介護正社員に対する処遇改善の見直しも、正社員の給与アップに寄与しました。では実際に、正社員とパート、それぞれの平均給与を比較してみましょう。

正社員平均給与

厚生労働省の「平成30年度 介護従事者処遇状況等調査結果の概要(※)」によると、介護職員の月給・常勤の者の平均給与は300,970円となっています。

その内訳は、基本給が181,220円、手当が71,330円、賞与等一時金が48,420円。勤続年数によっても平均給与額は異なり、10年以上であれば334,140円にも達します。保有資格の有無や種類によっても差が生じ、平均給与トップの介護福祉士の資格保有者と保有資格なしでは5万円もの開きがあります。

パート平均給与

前述の「平成30年度 介護従事者処遇状況等調査結果の概要(※)」によると、時給・非常勤の介護職員の月額平均給与は、105,030円、時給だと1,110円です。パートの場合は1日の勤務時間は6時間以下、勤務日数は週4日以下、というケースが多いため、このような結果になっています。

介護業界未経験者であれば、まずはパートで経験して様子見してから正社員になって高収入を狙うのもありでしょう。実際に、パートの正社員化を積極的に推進している施設も多く見られます。

(※)平成30年度介護従事者処遇状況等調査結果|厚生労働省(平成30年度 介護従事者処遇状況等調査結果の概要PDFより)

正社員とパート、結局どっちがいいのだろう?自分に合った働き方を選ぶなら…

正社員とパート、どちらの働き方にもメリットとデメリットはあります。純粋に給与面だけで考えるのであれば正社員の方が断然有利ですが、優先すべき事柄は人それぞれです。もしも介護を一生の仕事にしたいのならキャリアアップもできる正社員、そうでなければ採用されやすく退職や転職も容易なパート、そんな働き方も十分にありでしょう。どちらの働き方を選ぶかは自分次第です。

どちらの働き方を選択するにしろ、事前の情報収集を怠らないことが重要です。と言うのも、介護業界はブラックと揶揄されることが多いからです。近年ではかなり改善されてきているとは言え、ブラックな施設があるのも事実です。就業前にそうした施設を見極めることはなかなか難しいですが、しっかりと事前にリサーチした上で職場、そして働き方を検討してみてください。情報収集の際には、介護専門の転職サービスに相談するのもおすすめですよ。

介護士と利用者さんが手を取り合って微笑んでいる様子

自分のライフスタイルに合わせた働き方を

正社員、パート、どちらの働き方を選んでも正解/不正解はありません。重要なのは、自分の無理のない働き方をチョイスすることです。空前の売り手市場で勤務先なら手に余るほどあるので、それぞれの特徴を把握しつつ自分のライフスタイルに合った働き方を選択するようにしてください。