スケッターのホームページの中に設置されている「もんちゃんのおしゃべり相談室」。

「傾聴」のお仕事をはじめ、お仕事に不安があるスケッター登録者が、気軽にLINE@で相談できる相談室です。

今回は、その相談室の中の人、”もんちゃん”こと北村紋世さんにお話を伺いました!


スケッターとの出会い

北村さんのご経歴

-まずは、北村さんのご経歴を教えてください。

北村さん:

元々、グループホームで4年半働いていて、2019年の9月に転職をしました。今は現場ではなく教育研修の仕事をしています。「介護職を育成する立場の人を育成する」仕事です。

まだ入って間もないので、研修のサポートが主ですが、研修の資料作成や動画作成、参加者のヒアリングなどを行っています。

転職のきっかけは、今の上司から声をかけてもらったのも大きいのですが、介護職をやっていく中で、見えてきた問題を解決したかったから。

利用者様が毎日退屈だったり、出かけたくても出かけられなかったり…。一方で職員さんも仕事が忙しくて大変、という利用者さんも職員も苦しい状況を見てきました。

それをどうにかしたくても、知識がない、というより伝え方が難しいからどうにもできないことがつらくて。

自分一人で頑張るのには限界があるなと思って、仲間をつくるため、同僚が前向きな気持ちで働けるために、とにかく気持ち(時には愚痴)に耳を傾けることに時間を使いました。

介護のお仕事は体力だけでなく心や頭をたくさん働かせる仕事なので、利用者さんに対しても良くない感情が生まれてたり、自分自身が嫌になってしまうこともある。それはとても分かります。

だから、ただひたすら話を聞いて、気持ちを整理していくことしかできませんでした。

もっと、引き出したり、力づけたり、導いたり、そんなことが必要なんじゃないか、できるようになりたい、と思って、人材育成の分野に飛び込んでみたんです。

お仕事以外の活動

また、仕事以外では、「パスぽーと」というコミュニティを運営していて、その活動の一環で、介護施設におしゃべりボランティアにいっています。

現場密着型コミュニティ パスぽーと

大学時代、福祉系の学部に所属していて、実習で初めて介護施設に行ったんです。その時は、正直介護に対して悪いイメージを持っていたんだけど、行ってみたらすごく楽しそうだったんですよね!

ただ、楽しそうだったと同時に、職員さんは忙しそうでした。利用者さんに話しかけられても「ちょっと待って」と他の方のお手洗いや入浴などのサポートをしていて。

実習生の私は身体介護はできない立場だったので、利用者さんの話をたっぷり聞くことができたんです。それは私にとってもすごく楽しい時間でした。

「これ、介護職員じゃなくてもできるんじゃない?」と思って、実習が終わってもその施設に遊びに行っては、おばあちゃんたちと笑いあり涙ありお菓子ありの時間を過ごしていたんです。

それを見た知り合いが、「そんないいことしてるなら、仲間を探したらどう?」っていってくれて。SNSで呼びかけたら、結構参加者が集まって5人くらいで施設に行ったりしていました。

その活動が原型で、今は「おしゃべりやさん」という名前をつけてパスぽーとの活動の一環として続けています。

(北村さんの詳しい経歴はこちら

スケッター利用のきっかけ

-スケッター利用のきっかけは?

北村さん:

実は、パスぽーとがきっかけです。パスぽーとの活動の一つで、介護職の同期会をやったんです。

仕事で悩んだ時、事業所内で相談してもなかなかいい案がでなくて余計もやもやする。そんなふうに感じている同世代って多いんじゃないか。「だったら会社や法人の枠を超えてみんなで集まっちゃえ」と思って企画した、ただの飲み会です。そしたらその告知をTwitterで見つけた鈴木社長が参加してくれました。

そこでスケッターの話をきいて、まずは登録してみようと思いました。

私がやっている「おしゃべりやさん」の活動も、いいことやっている自信があるので、お金をもらってやる形に変えていきたいと思っていたんです。

でも、それを推進するにはたくさんやることがある。私はそこまで時間を避けていなくて。

そう思ってた矢先にスケッターを知って、同じことを考えていて、実行している人がいる!と思ってうれしかったですね。

はじめてのスケッター

-それで初めてスケッターに行ってみられたんですね。

北村さん:

はい!今まで8つ仕事をしました。

初めて行ったのは、入浴のサポートです。フロアにいらっしゃる利用者さんに声をかけ、一緒に脱衣所までいったり、洋服の準備をしたり、髪の毛を乾かしたり、お話したり。

その時思ったのは、施設の方は親切に教えてくれたけど、全くの素人だったら勝手がわからずあたふたしてしまうなということです。

サポートが必要、というのはスケッターだけではなく施設のスタッフさんに対してもですね。

施設のスタッフさんの中には、スケッターがどういうもので何ができる人なのかを知らない人もいます。たった数時間スポットで来る人のために、色々教える時間をつくることはなかなかに大変なこと。

でも私は、そんなポンッと来たスケッターに安心感や仲間意識を与えられる施設はすごく素敵だと思う。コミュニケーションを見直したり、施設内の課題の本質に気付くことができたりするチャンスだよー!って思います。

もんちゃんのおしゃべり相談室開設の背景

-スケッターの登録者向けに「もんちゃんのおしゃべり相談室」を開設されていますね。

北村さん:


はい。きっかけは、スケッターの活動で秋田県の施設に行ったこと。

敬老会の手伝いが一通り終わってみんなでワイワイ話していた時に、あるお部屋から「お~、楽しそうだな~」みたいな感じの声が聞こえて。

なんだか呼ばれた気がして、お部屋にお邪魔したんですね。そしたら、ベッドに横になっているおばあちゃんが、「ここ、ここ」ってベッドを指して。私が「いいの?」とそこに座ったら、窓の外に見えている景色とか、家族の話とか、初対面の私にいろんなお話をしてくださって。

その様子を鈴木(社長)が見て、「いいーー!」って思ってもらえたらしくて。実はその時の写真、SNSで少しバズったんですよ(笑)

スケッターの仕事は傾聴の仕事だけではありませんが、どんな仕事であっても、初対面であることと、何かしらの言葉を交わすというところは共通しています。

初めましてに緊張して、難しい…と思ってしまう人になにかできないかな、と相談したところ、LINE@で相談相手をしてみるのはどう?って提案をもらいました。

それで、「もんちゃんのおしゃべり相談室」が開設されたんです。

先ほど、介護施設の受け入れも課題がある、という話をしたんですが、ゆくゆくは介護施設の方にも使ってもらえるような相談室になったらいいなと思っているんです。その需要があるかはわかりませんが。笑

-スケッター自体は、介護へのきっかけを作るサービスですよね。

北村さん:

そうですね。ただただ、介護に関わる人、接点を持つ人を増やしていきたい、そこから世の中を変えていきたい、そんな熱い想いを、鈴木社長はじめスケッターの運営メンバーから感じています。

もしスケッターに一人で行くのが不安だなって思う人がいたら、「もんちゃんのおしゃべり相談室」に相談してもらってもいいし、「パスぽーと」でまずは数人で介護施設に行ってみて、そのあとスケッターとして行ってもいいと思います。

そういう意味では、スケッターは私の活動ともかなり相互メリットがありますね。笑

介護業界で積み上げるキャリア

-北村さんのご自身のキャリアはどう考えてらっしゃいますか?

北村さん:

介護の現場で働く人を力づけたい、介護職をキャリアアップに前向きな職業にしたい、そんな想いで今の仕事をしています。

とか言いつつも、今後の自分のキャリア…今は特に、具体的には考えられていないんです。思っていた以上に、人前で表現することや、心に残るようなプレゼンテーションが難しいということに転職してから気づいたので、修行中です。

自分の殻を破ったり、これまで挑戦しなかったことやあまり興味のなかったことをやってみたりしていかないとな、という感じ。 

ただ、仕事、ということからはなれて自由に「人生」を考えてみると、いろいろ浮かんできます。好きなことや得意なことが、ちゃんとお金も生み出せる「仕事」になるように人生設計していきたいですね。

スケッターを通して知り合った80歳の女性の方と、何度か一緒に出かけたんです。介護職としてでもスケッターとしてでもなく、ただプライベートの時間をともに過ごした感じ。もともとは自分史を聞き書きする、という依頼だっだんです。そこから話を伺っているうちに、いろんな本音や希望が聴こえてきて。

会話の流れで「私、介護福祉士の資格を持っているから、外に出かけてもし何かあっても何とかなるよ」とふと言ったことを覚えていて下さって、あるとき施設の方から「一緒にお出かけできる日ありますか?」って連絡がきたんです。おっきな電動車椅子のその方と私は、デパ地下やショッピングモール、歩道や公共機関で結構注目の的だった気がします。

周囲の人から、「いいお孫さんですね」と言われたり、小学生くらいの男の子が手伝ってくれたり、おしゃれなスカートを手にとっては驚かれたり、おもち大丈夫ですかと確認されたり、いろんなことがありました(笑)

いやいやただ身体を自分の思い通りには動かせないだけだから!あとはおんなじだから!って何回も思ったなあ…。

と、同時に、すんごいポジティブに考えると、お年寄りや障害のある方に対する先入観がぶっとんだ人も20人くらいはいたんじゃないかなあ、って。

身体は動くけど、何かしらの理由で家や施設から出る機会が少ない方や、実はやりたいことや行きたい場所があるのだけれど言い出せないでいる方がたくさんいると思います。

スケッターやおしゃべりやさんの活動を通して、生きがいを見つけたり、夢をかなえたり、そんなお手伝いをしていきたいです。

…キャリアの話からずいぶんはなれてしまいました。

最後に、今一番の挑戦は、キャリアコンサルタントの国家試験の勉強です。小さくいえば、会話の中で相手に気づきを与えながら、面談ができるようになります。大きくいえば、(介護の仕事の本質と似ていて)、お相手が自分の人生を自分の選択で豊かに生ききることができるようになるための手助けをします。個人の解釈、と、いうよりはただの目標、宣言です(笑)

インタビューを受けるという機会を頂いて、自分の気持ちを語らせてもらって、勝手にすっきりしてしまいました。

読んで下さる方が、この人に会ってみたい、相談してみたい、企画に参加してみたい、と思ってくれるといいなあ。今日はありがとうございました。
 


「介護」を知っている人が一人でも増えてほしいと「おしゃべり相談室」でスケッターの相談にのると同時に、「介護職員」がどうしたら働きやすくなるのかを本気で考えられている北村さん。

北村さんからのお話を聞いて、「スケッター」のサービスの面白さを再認識できたインタビューでした!

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