(1)地域密着型通所介護とは

2016年4月から導入された地域密着型通所介護をご存知でしょうか。平成29年度には全国で17,761事業所あり、今後地域包括ケアシステム構築の一端を担うものでもあります。

地域密着型通所介護とは、要介護状態となった場合においても、その利用者が可能な限りその居宅において、生活機能の維持又は向上を目的としているものになります。そのために、機能訓練や日常生活の世話といったサービスを提供します。

これまで単一の通所介護だった枠が、通所介護と地域密着型通所介護に二分されたもので、

  • 定員数
  • 地域
  • 費用

が異なります。

出典:厚生労働省「介護サービス施設・事業所調査」(https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/24-22-2.html)

(2)通常の居宅介護サービスとの違い

地域密着型通所介護サービスも通常の通所介護サービスも、“通所介護サービス(デイサービス)”として行うサービス内容に大きな違いはありませんが、“地域密着型”の特性を活かした通常の居宅介護サービスとの違い4点をご説明します。

定員数

通常の通所介護サービスの定員は19人以上となっていますが、地域密着型通所介護サービスの定員は18人以下となっています。これは、利用者を少人数化することで、利用者の状況に合ったきめ細かいサービスを提供すためです。

利用できる条件

通常の通所介護サービスと地域密着型通所介護サービスでは、利用できる条件に2つ大きな違いがあります。

要介護認定の区分

利用出来る条件1つ目が要介護認定の区分です。

通常の通所介護サービスの利用対象者は、要介護認定で要支援または要介護の認定を受けた人ですが、地域密着型通所介護サービスの場合は、要介護1から5までの区分だけが利用できます。

つまり要支援の利用はできません。

住所要件

利用できる条件2つ目が住所要件です。地域密着型通所介護サービスの利用対象者は、原則として事業所の所在地と同じ市区町村に住民票がある人になります。

これは、生活圏域内での自助・互助・公助・共助を成立する地域包括ケアシステムの構築を目指したものです。事業所が利用者を受け入れるときに、住所要件に注意しなければいけません。

利用者が実際に住んでいる市区町村と、住民票がある市区町村が一致しないことがあるので、しっかり住民票の状況、いいかえれば利用者の保険者がどこかということを確認する必要があります。

ただし、住所地特例や市境に住んでいる場合は、生活圏域の状況などから隣の市であっても地域密着型通所介護サービスを提供できる場合もあります。

費用

通常の通所介護サービスも地域密着型通所介護サービスも、

  • 報酬単価に地域の級地(1単位の金額)
  • 各種加算(サービス提供体制強化加算、介護職員処遇改善加算など)
  • 本人負担(収入に応じて1割~3割)

については同じですが、利用料の積算基礎となるサービス単価が違います。

地域密着型通所介護サービスの方がきめ細かいサービスを求められるので、通常の通所介護サービスよりもサービス単価が約1割程度上がっています。

*サービス単価の一例

2時間以上3時間未満
通常の通所介護 地域密着型通所介護
要介護1 266 298
要介護2 305 342
要介護3 345 386
要介護4 384 430
要介護5 424 475
3時間以上4時間未満
通常の通所介護 地域密着型通所介護
要介護1 362 407
要介護2 415 466
要介護3 470 527
要介護4 522 586
要介護5 576 647

*4時間以上についても、同様に1割程度の差異があります。

出典:鹿児島県国民健康保険団体連合会(https://kokuhoren-kagoshima.or.jp/kokuho_cms/wp-content/uploads/2018/04/30.04kaigokyuuhusa-bisuko-do1.pdf)と(https://kokuhoren-kagoshima.or.jp/kokuho_cms/wp-content/uploads/2018/04/30.04tiikimittyakugatasa-bisuko-do1.pdf)より

運営推進会議の設置

地域密着型通所介護は、地域に根差した運営が求められます。また、その他にもサービスの質の向上、運営内容の透明性の確保、利用者の抱え込み防止の観点から、自ら運営推進会議を設置して会議を行わなければいけません。

運営推進会議の委員

・利用者

・利用者の家族

・地域の代表(民生委員や自治会の役員など)

・事業所所在地の市区町村職員・管轄の地域包括支援センター職員

・学識経験者(医療機関関係者、他の地域密着型通所介護事業所職員)

実施する頻度

6ケ月に1度

(3)地域密着型通所介護で提供するサービス内容

地域密着型通所介護で提供するサービス内容は通常の通所介護サービスに内容とほとんど変わりません。

例えば、

  • 体操やレクリエーション
  • 食事
  • 入浴
  • 機能訓練や口腔機能のリハビリテーション
  • 健康管理や服薬のサポート

などです。

また、自宅から事業所までの送迎も行います。

通常の通所介護サービスとの違いとしては、地域密着型通所介護の特性を活かして、地域に住む方が施設に呼んで、餅つきやバザー、夏祭りなどのイベントを通じて地域交流を図ることを行うことです。

(4)地域密着型通所介護の人員基準

地域密着型通所介護の人員基準は通常の通所介護と同じになります。具体的には次のとおりです。

地域密着型通所介護の人員基準
管理者  1名(常勤)
介護職員 利用者15人まで1人、利用者20人まで2人、利用者25人まで3人
看護職員 1名以上【看護師または保健師】
生活指導員 1名以上(専従)【社会福祉士、精神保健福祉士、社会福祉主事任用資格、大学等で社会福祉に関する科目を3科目以上修めて卒業した者、介護支援専門員、介護福祉士、その他】
機能訓練指導員  1名以上(兼務可)【理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護師(准看護師を含む)、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師のいずれか】

(5)正しい知識を持って、利用者さんに良いサービスを提供しよう

基本的なことは地域密着型通所介護も通常の通所介護も同じ

地域密着型通所介護のサービス内容や人員基準や資格要件、利用者が払う利用料の負担割合、各種加算など基本的なことは通常の通所介護と同じです。

地域密着型通所介護の特徴

通常の通所介護との違い、つまり地域密着型通所介護の特徴は次の4点です。

  1. 定員が18人以下(通常の通所介護は19人以上)なので、利用者の状況に合ったきめの細かいサービスを提供できる。
  2. 利用者は要介護1から5の認定区分で、事業所と同じ市区町村に住民票があること。
  3. サービス単価が通常の通所介護より1割程度高い。
  4. 事業所は、半年に1回、運営推進会議を開催し、透明性を保ち、地域に根差した活動を行う。

地域密着型通所介護のメリット

  • 報酬単価が高い
  • 地域連携による支援、協力、ボランティア体制が強化できる

というメリットがあります。

運営推進会議の委員の推薦や運営方法については、管轄する地域包括支援センターや市区町村の介護部署に相談してみましょう。

地域包括ケアシステムの構築に向けたサービスを提供しましょう!

通所介護事業所の一部では過剰な「利用者の獲得合戦」から、本来歩ける能力がある人にエリアから外れた遠方まで車の送迎を行い、利用者を獲得する動きがありました。

しかし、今後急速に増える後期高齢者、介護人材の不足、地域のつながりの薄れなどから、生活圏域内でのケアを目指した地域包括ケアシステムの構築が提唱されています。

地域密着型通所介護は、名称のとおり地域に根差した活動が求められています。しっかりと地域関係者間との連携を図りながら、利用者への良質なサービス提供しましょう。