社会福祉法人とは、社会福祉事業を行う民間団体です。民間の団体ではありますが、公益性が高く、税金などでの優遇を受けることもできます。
転職するには、資格は不要ですが、24時間365日無休の施設も多いので、時間的に融通のつけられる人でなくては働きにくい部分もあります。
この記事で、社会福祉法人とはそもそもどのようなもので、働く上でのメリットやデメリットはあるのかを確認しておきましょう。
目次
社会福祉法人とは?
社会福祉法人とは、社会福祉事業を行う民間団体のことです。公益性の高い、非営利法人で、日本の社会福祉を支える存在として期待されています。
全国に約2万法人があり、事業内容は、「社会福祉を目的とする事業」「公益事業」「収益事業」の3種類にわけることが可能です。
- 社会福祉を目的とする事業
利用者が地域社会の一員として、自立した日常生活を送ることができるようサポートを行います。
給食や介護の入浴サービスなどが例としてあげられます。 - 公益事業
公益を目的とするものです。不特定かつ多数の人の利益のために行う事業です。
有料老人ホームの経営、子育て支援に関する事業などが例としてあげられます。 - 収益事業
公益事業を支えるため、資金を補うために行う補助事業です。しかし、法人の社会的信用を傷つけるおそれのあるものは適切ではありません。
社会福祉法人の役割
社会福祉法人の役割とは、人々の命や健康を安全に守ることにあります。
社会福祉法人は、非営利団体です。営利が目的になっている事業の場合は、どうしてもお金儲けが大切になってきてしまって、十分なサービスにつながらない場合もあります。さらには、経済的弱者が切り捨てられてしまうこともあるのです。
しかし、社会福祉法人であれば、営利を目的としないので、経済的弱者にもきちんと手を差し伸べて、命や健康をきちんと守ることができます。
社会福祉法人は、税制面であらゆる優遇が受けられることに加えて、特別養護老人ホームのように社会福祉法人にしか運営を認められていない施設の運営を行うことが役割となります。
社会福祉法人は、職員を大切にする施設でもあり、平成30年度に介護労働安定センターが行ったアンケートによると、社会福祉法人の平均勤続年数は8.6年という結果が出ています。
10年を超えるベテラン職員も多く、利用者側も、同じ職員に長期間支援をしてもらえるので安心して利用できる特徴があるのです。
医療法人との違い
医療法人も、社会福祉法人同様に非営利の法人です。人々の命や健康を安全に守る役割を果たし、そのために、税制面であらゆる優遇措置を受けることができます。
しかし、医療法人は社会福祉法人とは違って、病院のように医療を主とする施設です。
主に介護職が活躍できる医療法人としては介護老人保健施設やデイケアなどがあります。いずれの施設も医者が常駐していて、施設によっては理学療法士や作業療法士、看護師がいることも少なくありません。
一般企業との違い
社会福祉法人と一般企業の違いは営利を目的としているかという点にあります。一般企業の介護福祉の施設は、営利性を重視して、利潤を追い求めます。利益があがらなかったら撤退をすることもありえるのです。
一般企業の施設は、利益を追求するために他の介護施設と差をつけようする傾向にあります。そのため、備品や施設にお金を使い、最新の設備をそろえることもできます。
一方、社会福祉法人は社会福祉事業を行うということを何よりも重視し、利潤があがらなくとも、地域や社会の福祉のために経営を続けます。その分補助金や税金の面で優遇されていますが、十分なお金がない施設もあり、そのような施設は設備や備品が古くなっていることもあるようです。
なお、一般企業は利潤を追求できる分、補助金や税金の面で優遇されることはありません。
社会福祉法人に転職する方法
社会福祉法人には、多くの介護の職場・職種があります。そのため、必要とされる知識やスキルもさまざまです。施設によっては何らかの介護の資格が必要なこともあります。
ただし、どの職種にも共通しているのは営利を目的とせず、弱者の気持ちをしっかりと理解しようと努め、信頼関係を築いていくことが大切ということです。
社会福祉法人は、現在約2万法人が存在します。「地域名 社会福祉法人」といったワードで検索すれば、自身の住んでいる地域の社会福祉法人を見つけることができるでしょう。
資格は必要?
社会福祉法人で働くために絶対に必要な資格はありません。社会福祉法人には、かならず有資格者の責任者がいるので、その人の監督・指導のもとで介護サービスを提供することができるからです。
働けるのはどんな人?
社会福祉法人のなかには特別養護老人ホームなど、利用者が暮らしている施設が多くあります。
24時間365日無休の体制になるので、休日が不規則になることもあるので、対応できる人が働くことができるといえるでしょう。
社会福祉法人で働くメリットとデメリット
社会福祉法人で働くメリットとデメリットを確認しておきましょう。
社会福祉法人で働くメリット
社会福祉法人は、国から許可を得て、税金上の優遇を受けつつ、経営がなされています。そのような法人だからこそ、以下のようなメリットがあります。
- 安定した基盤ができている
- 福利厚生がかなりしっかりしている
- 職員を育てる研修制度が整っている
社会福祉法人として国から認可が下りている団体のほとんどは、地域としっかりとした結びつきができています。長い歴史により、安定した基盤を備えることができているのです。
突然、潰れることはありませんから、安定的に働きたい人にとってよりよい職場になるでしょう。
また、社会福祉法人は、公的な施設なので、働く人の福利厚生もしっかりと整っていることが多いといえるでしょう。待遇面が充実していて、資格試験のための特別休暇や資格手当など、資格取得に対するサポートも整っています。
勤続年数の長いベテランスタッフも多いので、仕事を通じて、さまざまなことを学ぶことも可能です。
社会に貢献できる質の高いサービスを実現させるために、「人材育成の充実」を重要なテーマとしている施設も多く、施設にお金を負担してもらって資格を取得することもできます。
社会福祉法人で働くデメリット
社会福祉法人で働くデメリットは、中途採用や新卒は馴染むまでに時間がかかるということです。
社会福祉法人は、安定した基盤ができているので、脈々と続いてきた歴史と組織的な文化があります。さらに、長期間働いているベテランスタッフも少なくありません。
多くの社会福祉法人には、その施設らしいやり方が確立されています。そのため、新たな風や革新的なアイデアを嫌う部分もあり、中途採用の人や新卒の人が意見を言いにくい風潮があります。
働くときには、その施設の雰囲気ややり方が自分とあっているかの見極めが大切になりそうです。
社会福祉法人で得られるやりがい
社会福祉法人の施設は、社会的な支援が必要な人に対し、安定して継続的にサービスを提供していくことを重視しています。
補助金や税金の面で優遇されていますから、営利のために無茶な経営をすることがなく、職員の離職率も低く、長く勤務することが可能です。
社会福祉法人の介護士になれば、一所にとどまることができるので介護士としてのスキルをのばし、介護や福祉についての広い視野を持ったプロになれるというやりがいがあるのです。
さらに、社会福祉法人の大半は、地域に密着して運営しているので、仮に異動することになっても、地域から離れることはありません。他県への転勤などもないので、安定して働き続けることができるというやりがいもあります。
おわりに:社会福祉法人の特徴をしっかりと理解して転職を目指そう
社会福祉法人は、営利を目的とせずに、一人ひとりの利用者にしっかりと向き合って支援ができるのが魅力です。
地域と密接に結びつき、長い間、続いてきた施設も少なくありません。そのため、安定して働きたい人に向いています。働くために絶対に必要な資格もなく、資格取得支援を行っている施設も多いので、未経験の人も安心して働くことができるでしょう。
ただし、社会福祉法人は安定性ゆえに、その施設ならではのやり方や独自ルールができていることもあります。転職する前には、エージェントの力も借りつつ、その施設の雰囲気をつかんでおくようにしてください。
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