介護職の中でも人気の高いケアマネージャー(介護士専門員)。 ケアマネージャーになるための介護支援専門員実務研修受講試験を受ける方は、全国で約15万人にのぼり、合格率は15%〜20%で推移しています(※)。
皆さまの中にも、すでに過去問を入手し、試験勉強に励んでいる方もいらっしゃることでしょう。 今回は「これからケアマネを目指す」「試験勉強を進めている」方のために、ケアマネジャーの資格取得のメリットや条件をご紹介していきます。
(※)参考:介護支援専門員実務研修受講試験の実施状況等 |厚生労働省
目次
ケアマネジャー(介護支援専門員)とは?
ケアマネジャー(介護支援専門員)とは、
- 正式名称は介護支援専門員
- 一般的にはケアマネ、ケアマネージャーと呼称される
- 「介護を必要としている人」と「介護サービスを行っている事業所」を繋ぐ調整役
- 介護の計画書(ケアプラン)を作成する仕事もある
- 介護支援専門員実務研修受講試験を受ける必要がある
- 資格保持で給与アップのメリットもある
まずは、ケアマネジャーの資格の基本事項を確認していきましょう。
介護支援専門員実務研修受講試験とはケアマネジメントを行うための資格
介護支援専門員実務研修受講試験とは、ケアマネジメント業務を行うための資格です。国家資格ではなく、各都道府県が行っている公的資格です。「ケアマネジャー」と呼ばれることが多いですが、正式名称は、「介護支援専門員」です。さらに、一般には「ケアマネ」や「ケアマネージャー」と呼ばれることが多いです。
ケアマネジメントとは、障害のある方や介護が必要になる方の課題や問題を解決することを意味していて、具体的には、介護利用者と介護サービス事業所をつないだり調節したりすることが業務内容になります。
ケアマネジャーは介護業界に必要不可欠な存在
ケアマネジャーは、「介護を必要としている人」と「介護サービスを行っている事業所」を繋ぐ調整役です。利用者が言いにくいクレームや要望を、施設や事業所に伝えたりするのが業務内容です。
また、ケアマネジャーには「ケアプラン」と呼ばれる介護の計画書を作成する仕事もあります。このケアプランがなくては、要介護者は介護サービスを保険で利用することができませんから、ケアプラン作成はケアマネジャーの大切な業務の一つといえるでしょう。
ケアマネジャーは、介護事業者からも介護サービス利用者からも必要とされる存在ですから、ケアマネジャーの資格を取っておくと転職や就職に有利になるといえるのです。
介護支援専門員実務研修受講試験を受けるメリット
介護支援専門員実務研修受講試験を受けるメリットとしては以下のようなものが存在します。
給与・年収のアップが期待できる!
介護業界というと、低賃金のイメージがあるはずです。しかし、ケアマネジャーと介護職員では給与にかなりの差があります。初任給の段階で、介護職員よりもケアマネジャーのほうが、月収で5万円程度多くもらっているとされています。ですから、取得することで、今よりも良い待遇で転職できる可能性があるのです。
さらに、介護職員をそのまま続けたとしても、資格手当がつくので、今よりも給与や年収がよくなる可能性があります。
仕事の幅が広がり転職がしやすくなる
介護支援専門員実務研修受講試験に合格すれば、介護の現場だけでなく、ケアマネジャーとして居宅介護支援事業所や介護施設の事務室などでも活躍できるようになります。活躍の場が広がるので、それだけ就職や転職がしやすくなるといえるでしょう。
また、仮にケアマネジャーとしての仕事に付かなかったとしても、ケアマネジメントの知識もある介護職員として高く評価されて転職や待遇で有利になるというメリットがあります。
フレキシブルに働けるようになる
介護職員として働く場合、夜勤は必須です。そのため、出産後の育児中の方はなかなか復職が難しい現実があります。
しかし、ケアマネジャーの業務は、基本的に昼間が中心の事務作業です。夜勤の必要もなく、介護サービス利用者宅への訪問などは調節できるので、産後の育児中でも働きやすいというメリットがあるのです。
ケアマネジャー(介護支援専門員)の資格所持者が活躍できる職場
高齢化社会の日本では、介護の需要は年々高まってきています。そのため、ケアマネジャー資格所有者の活躍の場も多くなってきています。
ケアマネジャーには、在宅で介護を受ける人をサポートする居宅ケアマネジャーと介護施設に所属し、入居者のサポートをする施設ケアマネジャーの2種があり、具体的な活躍の場としては、地域包括支援センター、特別養護老人ホーム、病院、居宅介護支援事業所、グループホームなど、選択肢は多くあります。
まずは、居宅ケアマネと施設ケアマネの違いや仕事内容を把握しておきましょう。
こちらの記事で詳しく紹介しています。
実際に働くにはどうしたらいい?資格を活かした転職のコツ
ケアマネジャーの求人は、資格さえ持っていれば未経験者やブランクでも可としているものも多いです。ですから、資格を取ればすぐにでも資格を活用して転職できるでしょう。ただし、居宅ケアマネジャーの場合は自動車免許が必須という場合が多いですから、自動車免許も取っておくようにすると良いです。
アルバイト、パートなど育児をしている女性でも働きやすい求人もありますし、24時間対応可の介護施設のケアマネジャーになれば夜勤は必要となりますが高収入を狙えます。自分のライフスタイルを意識しつつ、求人を探すとよいでしょう。
また、求人票では「ケアマネジャー」という正式表記ではなく、「ケアマネージャー」となっていることも多いようです。正式名称以外の「ケアマネ」といったワードでも検索するようにすると、たくさんの求人を見つけることができるでしょう。
介護支援専門員(ケアマネジャー)の転職方法や仕事内容はこちらの記事でも詳しく解説しています。ぜひあわせてご覧ください。
介護支援専門員(ケアマネジャー)の転職先・求人情報
ケアマネジャーの資格が活かせる実際の求人情報をみてみましょう。
(※2020/10現在の情報です。情報は変わる可能性があります。)
中学校跡地の特養でのケアマネージャー求人
正社員の求人です。
入所前面談やアセスメント、利用者様のケアプランの作成、介護状況の検証、調査、利用者様および家族に対する相談業務、行政機関との打ち合わせ、介護認定業務 などケアマネージャー業務が主なお仕事です。
月給は19.75万円~、賞与年2回2.4か月分で非常に充実しています。
週3日~一日4時間~OKのパートケアマネ求人
グループホームのケアマネパートの求人です。
グループホーム(定員18名)での高齢者の介護業務全般(夜勤含む)が主なお仕事になります。
時給は1450円~です。短時間で家事との両立もできます。
ケアマネジャーの資格を活かせる職場はたくさんあります。
介護支援専門員実務研修受講試験の資格取得条件と難易度について
介護支援専門員実務研修受講試験の受験条件などは2018年度から大きく変更となりました。資格取得条件も厳しくなっているので、自分が条件に当てはまっているかを確認しておきましょう。
資格取得条件
2018年以前は、介護職に就いていれば受験資格が与えられていました。しかし。2018年からは以下の条件を満たす人が対象となりました。
- 該当の国家資格等に基づく業務に、通算して5年以上かつ900日以上従事していること
- 生活相談員・支援相談員・相談支援員・主任相談支援の業務に通算して5年以上かつ900日以上従事していること
該当の国家資格とは、医師、歯科医師、薬剤師、保健師、助産師、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、社会福祉士、介護福祉士、視能訓練士、義肢装具士、歯科衛生士、言語聴覚士、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師、栄養士(管理栄養士含む)、精神保健福祉士といった医療系の国家資格のことを指します。
また、都道府県ごとに条件が若干異なるので、受験する地域の担当部署に確認するようにしてください。
試験の問題形式はマークシート方式で5つの選択肢から正しいものを選択して回答します。試験時間は120分で問題数は60問です。合格ラインは正答率70%ですから、42問程度正解すれば合格します。
案外難しい?!取得の難易度
介護支援専門員実務研修受講試験の難易度はかなり高いとされています。
受験条件などが大きく変更された2018年度(第21回)は受験者数・合格者数ともに大きく減少し、合格率は10.1%でした。そして、昨年は2018年度よりも受験者数は増えたものの、合格率は18.5%でした。
合格者数は全体の2割にも満たないので、独学にせよスクールに通うにせよしっかりと対策を練る必要があります。実際、受験者の多くはスクールや通信講座を活用して、3か月~半年は勉強してから、試験に臨むようにしているようです。
介護支援専門員実務研修受講試験は難易度高めだが取得すると転職に有利!
介護支援専門員実務研修受講試験に合格すれば、ケアマネジメント業務が行えるようになります。ケアマネジメント業務は、介護を利用する側も施設側も必要としている業務ですから、ケアマネジャーの資格保有者の活躍の場は広いです。
また、ケアマネジャーになれば給与がアップし夜勤もしなくてよい場合が多いのも魅力でしょう。ケアマネジャーの資格は難易度が高く、合格する方は受験者のうち2割にも到達しません。
しかしながら、持っているとかなり有利になる資格ですので、受験資格などを満たしているならばぜひ挑戦してみてください。