今年、高齢者(65歳以上)の人口が2700万人を突破し、その高齢者が終の棲家として有料老人ホームを選ぶ人が増えています。
有料老人ホームの軒数の約6割以上を占めているのが「住宅型有料老人ホーム」です。
この記事では、働く側の目線で住宅型有料老人ホームのご説明をします。
目次
住宅型有料老人ホームで働くとは
住宅型有料老人ホームとは
住宅型有料老人ホームとは、一般的に60歳以上の方が対象で、呼び出しボタンなど見守り設備やバリアフリー化された在宅感覚の共同住宅です。
「住宅型」の特徴としては、ヘルパーや看護師といった専門職は配置されていません。
そのため、食事の提供や着替えの手伝いなどスタッフによる簡単な生活援助はありますが、介護保険サービスの生活援助や身体介護などは外部の事業者からサービスを利用することになります。
有料老人ホームは「住宅型」以外に介護サービスが付いた「介護型」と、介護が必要なく自立した生活をおくれる人のための「健康型」の3種類があります。
どんな人が住宅型有料老人ホームのスタッフに向いているのか
住宅型有料老人ホームで働くには、どんな人が向いているのか見ていきます。
これから介護の仕事をしていきたい人
住宅型有料老人ホームの介護スタッフは資格がなくても働くことができるので、これから福祉系の仕事をしていたいという人におすすめです。
住宅型有料老人ホームで働いてみてもっと福祉系で働いてみたいという場合は、働きながら福祉系の資格を取得してステップアップすることもできます。
世話好き
住宅型有料老人ホームでの介護スタッフの主な役割は、生活援助や見守り、食事の提供、入所者の緊急時に救急要請を行う、レクリエーションの企画・運営などになります。
このことから、住宅型有料老人ホームで働くにはいろいろな人と話をしたり、お手伝いをしたりという世話好きな人が向いていると言えます。
稼ぎたい
住宅型有料老人ホームは24時間体制なので夜勤や土日があります。
夜勤手当などで働いて稼ぎたい、休みはお店が空いている平日の方が良い人におすすめの施設です。
住宅型有料老人ホームで働くやりがい
住宅型有料老人ホームは基本的に元気な高齢者が入居しているので、入居中にADLなどが落ちないために支援することがポイントとなります。
スタッフ側とすれば入居者が元気でいられること、自分の企画したレクリエーションが喜んでもらえたなど、自分の仕事が入居者の状況に直結していることがやりがいといえます。
住宅型有料老人ホームの基礎情報
ここでは、人気が高まっている住宅型有料老人ホームの人員基準やサービス内容などの基礎情報を説明します。
人員基準
有料老人ホームのうち「介護付」は、介護サービスを提供するために国が人員基準を定めていますが「住宅型」と「健康型」に人員基準がありません。
看護師といった有資格者の配置義務はなく、施設の運営上、自主的に次の職種を配置しているケースが多くみられます。
施設長
資格要件はありませんが、介護に関する知識を必要とするため介護福祉士や社会福祉士、ケアマネジャーなどの福祉系資格を持っている人が望ましいです。
生活相談員
資格要件はありませんが、実務上で介護福祉士や社会福祉士、ケアマネジャーなどの福祉系資格を持っている人が望ましいです。
看護師
看護師を配置する場合の資格としては、看護師化准看護師の資格が必要となります。
介護スタッフ
資格要件はありませんが、ヘルパー資格を持っている人や介護職員初任者研修を受講した人が望ましいです。
サービス内容
次に、住宅型有料老人ホームで提供する一般的なサービスの内容5つをご紹介します。
サービス | 詳細 |
---|---|
生活介助 | 買い物、掃除、洗濯などの日常の手伝いや代行 |
日常の見守り | 定期的な居室での声掛けや見守り機器を使った見守り。時間帯は日中だけでなく夜間も含めた24時間体制 |
食事の提供 | 調理師が作った朝食・昼食・夕食の提供 |
緊急時の初期対応 | 体調を崩した場合、連携先の病院への連絡や救急要請を24時間体制で行う |
レクリエーションの企画・運営 | 施設に居住している人のための室内ゲームや体操、施設内でのお祭り、屋外での花見、ハイキングなどレクリエーションを企画して運営 |
その他の基礎情報
その他、住宅型有料老人ホームの基礎知識についてご紹介します。
設備
自分の部屋となる居室や共有部分である浴室や食堂の広さは、施設によって変わってきます。
設置義務ではありませんが、理容室や共同使用の部屋にフィットネス器具やマージャン卓、カラオケ設備などが設置されている施設もあります。
なかには、園芸ができる庭、プール、ゲストルーム、駐車場なども完備されている施設もあり、設備関係は施設ごとに変わってきます。
入所者
一般的な入所基準は、おおむね60歳以上で自立または軽度な介助で生活できる人です。
入所している人は自分自身で身の回りのことを行い、日中は自分の趣味や友人と会うために出かける、いわゆる「アクティブシニア」と呼ばれる元気な高齢者が多く入所している施設が多いのが現状です。
このため、施設のスタッフが入所者の身の回りの世話や夜間に緊急対応を迫られるケースは多くありません。
ただし、現在入所されている元気な高齢者も5年後には体調面や精神面での衰えがでてくることが予想されます。
その時には、今以上の対応が迫られる可能性があるというのが住宅型有料老人ホームの大きな課題となっています。
住宅型有料老人ホームで働く人の雇用形態について
住宅型有料老人ホームで働くときの雇用形態について、職種別にまとめました。
施設長
常勤雇用で、施設全体の管理と緊急時の対応を行います。
生活相談員
常勤雇用で、入所・サービス利用などに関する相談や調整、事務作業を行います。
看護師
非常勤雇用で、入所者の体調管理・健康管理や緊急時の初期対応などを行います。
24時間体制なのでシフト制での常勤勤務で、入所者の食事や洗濯、掃除などの生活援助や、レクリエーションの企画・運営を行います。
住宅型有料老人ホームで働く人の1日の仕事の流れ
住宅型有料老人ホームで働くスタッフの1日の仕事の流れについて、各職種別にご紹介します。
介護スタッフ
7:00 各居室に朝の声掛け
7:30 食堂で朝食の提供
8:30 食事の片づけ
9:00 夜勤スタッフからの引継ぎ(申し送り事項の確認)
9:30 施設内の掃除
10:30 入居者の状況の記録
12:00 食堂で昼食の提供
13:00 食事の片づけ
14:00 食堂や活動室などでレクリエーションや体操、施設外での事業などの補助
15:30 片付け
16:00 入浴の準備
18:30 食堂で夕食の提供
19:30 食事の片づけ
20:00 口腔ケア、服薬管理、水分補給のお手伝い
21:00 就寝の確認
21:30 今日の状況の記録
22:00 緊急対応に備える
介護予防スタッフ
9:00 夜勤スタッフからの引継ぎ(申し送り事項の確認)
10:00 バイタルチェック
12:00 食堂で昼食の提供
13:00 レクリエーションなどの準備
13:45 各居室に行き、レクリエーション参加の呼びかけ
14:00 食堂や活動室などでレクリエーションや体操、施設外での事業などの運営
15:30 片付け
16:00 活動の記録
登録ヘルパー
7:30 朝食の食事介助(介助が必要な人のみ)
9:00 夜勤スタッフからの引継ぎ(申し送り事項の確認)
9:30 各居室の洗濯
10:30 各居室の掃除
10:30 入居者の状況の記録
12:00 昼食の食事介助(介助が必要な人のみ)
13:00 入所者の買い物代行
14:00 食堂や活動室などでレクリエーションや体操、施設外での事業などの補助
15:30 片付け
16:00 入浴の準備
16:30 入浴介助(介助が必要な人のみ)
18:30 夕食の食事介助(介助が必要な人のみ)
19:30 食事の片づけ
20:00 口腔ケア、服薬管理、水分補給のお手伝い
21:00 就寝のお手伝い(着替えやトイレなど)
21:30 今日の状況の記録
住宅型有料老人ホームで働くために必要な資格は?
住宅型有料老人ホームで働く際に資格がなくても働くことはできますが、福祉系の資格を持っているとメリットが3つあります。
採用や給与面での待遇が上がる
スタッフ採用に応募した際に、福祉系の資格がないよりは、福祉系の資格があった方が採用されやすくなります。
また、給与面でも、福祉系の資格を持っている人は、福祉系の資格がない人よりも優遇されることがあります。
さらに夜勤の体制なども福祉系の資格がある人を優先的にシフトを組むので、結果的に給与面での差が出てきます。
仕事のスキルが上がる
福祉系の資格を持つために勉強したことが仕事に必要な知識となるので仕事をするうえでスキルが上がり、レベルの高いパフォーマンスを発揮できます。
自分自身を守る
看護師が常駐していないため、夜勤などで入所者の体調が急変した際に、初期対応を行うことがあります。
一般的な医療知識がないために体調が悪化させてしまい、入所者の家族から対応の責任を問われる場合もあります。
そこで、福祉系の資格を取得する際に身につけておけば最低限の対応を行うことができるので、スタッフ自身の立場を守ることも出来ます。
住宅型有料老人ホームで働いた場合の給与・年収
住宅型有料老人ホームで、介護スタッフとして働く際に気になる給与や年収と福利厚生について紹介します。
給与・年収
給与については、地域による最低賃金の違いがあるので全国一律ではありませんが、月給の全国平均は約19万円(出典:Indeedより)となっています。
年収におきかえれば、月給の12倍、約228万円となります。
当然、勤務体系や福祉系の資格の所有の有無によっても給与面に影響するので、夜勤を多めにしたシフトであったり福祉系の資格を持っている場合は、平均月収よりも多くなってきます。
福利厚生
最近は、住宅型有料老人ホームに限らず福利厚生面の充実を図る企業が増えています。
たとえば、施設内に託児所を併設する、社員向けの寮が近くにあるといった施設の充実、自身の親のための介護休暇や子供が病気をした時の看護休暇など休暇制度の充実、仕事に必要な資格を取得するための通信講座の費用など資格取得の支援、スタッフ同士のレクリエーションの充実など事業所によっていろいろな福利厚生の充実が図られています。
給与面でそれほど差がないのであれば、福祉厚生面で事業所選びをするのも大きな要素になります。
住宅型有料老人ホームで働く場合のキャリアプラン
住宅型有料老人ホームで働く場合は、入所者である高齢者の生活面でのケアが必須となります。
このため、まずは介護職員初任者研修の受講をすることでケアのスキルがグンと上がります。
その後にヘルパー資格を取得すれば、よりハイレベルなケアや身体介護も出来るようになります。
その後は、軽度や中度の介護が必要な人へのケアとして介護支援専門員(ケアマネジャー)の資格を取得すれば、介護保険サービスや公共サービスの相談に応じられるようになります。
そして、高齢者の精神的なケアや一般的な医療知識を身につけるために、介護福祉士や社会福祉士を取得すれば、あらゆる面での相談やケア、対応のスキルアップができます。
住宅型有料老人ホームで自身のキャリアを積んでいこう
住宅型有料老人ホームは、いろいろな仕事に携わることができます。
また、資格要件を問わない事業所もあるので、まずは事業所で経験してみて、働きながら福祉系の資格を取得していくことでキャリアアップを図ることができます。
働きたいと思っている事業所の給与面や福利厚生面をチェックして、自分の働き方に合った住宅型有料老人ホームを捜してみましょう。
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