老人ホームやケアハウスは数多くありますが、その中には「特定施設入居者生活介護」と呼ばれる施設があります。
特定施設入居者生活介護とは、行政によって定められた基準をクリアした施設のこと。行政に認められるレベルの介護スキルや設備、運営基準がなくては、特定施設入居者生活介護の施設を名乗ることができません。
特定施設入居者生活介護の施設は安心感があるということで、多くの利用者を集められるメリットがあります。しかし、特定施設入居者生活介護の施設は、行政の基準を外れることがないようにスタッフにもある程度のスキルや知識を求めますので、転職は大変ということも多いようです。
目次
特定施設入居者生活介護とは?
特定施設入居者生活介護とは、①人員基準、②設備基準、③運営基準といった行政からの条件をすべて満たした施設のことです。行政のお墨付きを得た施設といっても過言ではなく、高いサービスの質を利用者から期待されます。
特定施設入居者生活介護では、ケアプランの作成や作成されたケアプランに基づく食事・入浴・排泄などの介助や日常生活に関わる身体的介助。リハビリテーションなどが行われます。
施設種別は、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、ケアハウス、養護老人ホームの4つ があり、以下のような基準を満たしておく必要があります。
特定施設入居者生活介護の施設になるための基準は、
- 人員基準・・・入居者3人に対して介護職員、看護職員が1人以上いること
- 設備基準・・・一定の居室の広さや設備を整えていること(有料老人ホームでは13㎡以上など)
- 運営基準・・・介護方針や地域との連携体制が整っていること(協力医療機関があるなど)
ただし、これらの基準を満たせば必ず特定施設入居者生活介護になれるわけではありません。都道府県ごとに特定施設入居者生活介護の数は定められていて、その上限に達している都道府県なら、特定施設入居者生活介護になれません。
特定施設入居者生活介護とは、
- 行政からの条件(人員基準、設備基準、運営基準)をすべて満たした施設のこと
- 有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、ケアハウス、養護老人ホームの4つがある
- ケアプランに基づく身体介助やリハビリテーションが行われる
- 看護師やケアワーカーがいる
- 介護職員一人あたりの仕事量は少なめ
など大きな特徴として5つにまとめられます。
特定施設入居者生活介護で働くメリット
特定施設入居者生活介護は、行政お墨付きの施設です。そのような施設で働くことには以下のようなメリットがあります。
利用者や家族から信頼される
特定施設入居者生活介護は、サービスの質が高くないとなることができません。ですので、利用者や家族から介護施設そのものが信頼されているというメリットがあります。
「この施設にきてよかった」と笑顔でお礼をいわれることも多い特徴があるのです。
利用者や家族からの信頼は、仕事のやりがいにもつながります。それだけでなく、安定した利益を生み出すには、介護事業者として信頼されることが何よりも重要です。
信頼されている施設には、介護度の高い方の入所希望が多くなり、介護報酬が多く得られる可能性も高くなります。ですので、給与のアップなども見込めるメリットがあるのです。
看護師やケアワーカーがいるので安心して働ける
介護施設を利用している高齢者の方は、容体が急変することが多いです。しかし、特定施設入居者生活介護の施設には、看護職員が夜間も含めて24時間常駐していますし、ケアワーカーや機能訓練指導員とチームで介護していきます。
いざというときに、すぐに医療やリハビリの専門家を頼ることができるので安心感が高いというメリットがあるのです。
行政お墨付き施設なのでつぶれる心配もない
特定施設入居者生活介護は、行政がサービスの質などを認めている施設です。ですので、入居希望者は多くいるので、つぶれる心配が少ないです。
加えて、介護施設の多くは人手不足で、一人で多くの入居者の介護をしなくてはならないことも多いです。しかし、特定施設入居者生活介護の施設になるには、入居者3人に対して介護職員、看護職員が1人以上という基準を満たさなくてはなりません。
介護職員一人あたりの仕事量が少なめなので、自身が担当する高齢者をしっかりと介護できるメリットもあるのです。
特定施設入居者生活介護の大変さ
特定施設入居者生活介護の大変さは、行政側の規制やチェックが厳しいという点にあります。特定施設入居者生活介護と認定されたあとも定期的に行政側からのチェックが入り、問題があると特定施設入居者生活介護を取り消されてしまうのです。
定められた運営基準に則って、人員配置や設備、サービスの質を維持しなければいけませんから、一人ひとりのスタッフにもレベルの高さを求められます。
ですので、特定施設入居者生活介護で働く場合、通常の施設で働く以上の緊張感を持って、常に自分を磨く姿勢を持つことを望まれる大変さがあるのです。
特定施設入居者生活介護で働くには資格が必要?
特定施設入居者生活介護で働くには、高い介護のスキルが必要不可欠といえます。ですので、多くの施設は、介護福祉士の資格を必須としているようです。
特定施設入居者生活介護の転職先・求人情報
特定施設入居者生活介護の実際の求人情報をみてみましょう。
(※2020/09現在の情報です。情報は変わる可能性があります。)
特定施設入居者生活介護の介護職員・ホームヘルパー求人
正社員の求人です。ヘルパー2級以上 ・介護職員初任者研修(ヘルパー2級) ・介護職員実務者研修(ヘルパー1級) ・介護福祉士、いずれかの資格所持者のみ応募可能。
サービス付き高齢者向け住宅(全180戸)での、ケア提供(入浴、排泄、食事、移動支援、生活援助、アクティビティ、行事、各種記録)全般のお仕事です。
月給は、242,800円〜258,400円。
学研のサービス付き高齢者向け住宅の介護職員・ホームヘルパー求人
正社員の求人です。ヘルパー2級以上 ・介護職員初任者研修(ヘルパー2級) ・介護職員実務者研修(ヘルパー1級) ・介護福祉士、いずれかの資格所持者のみ応募可能。
サ高住でのケアを担当します。賞与もあって充実しています。
月給は242,800円〜258,400円。
介護福祉士の資格を持っていると手当がつくので、その分やりがいも感じられるでしょう。
特定施設入居者生活介護に転職するのは難しい?
特定施設入居者生活介護は転職難易度が高い施設です。
介護の施設は高齢化の進行に伴い増えてきています。しかしながら、特定施設入居者生活介護は、都道府県ごとに上限の数が決まっています。
そのため、特定施設入居者生活介護の新規施設ができることは稀ですし、特定施設入居者生活介護での仕事は安定していてやりがいもあるので離職率も低めです。そのため、求人数も多くはないのが現状です。
加えて、施設の質を維持するために、無資格者のスタッフは採用されない傾向にあります。応募条件に介護福祉士の資格保有者であることという記載がある施設が多く、介護福祉士の資格は介護の大学などを卒業しないと取れない資格ですから取得には時間がかかります。
求人数が少なく、スキルや技能が高い人でなくては応募すらできないので、転職難易度は高いといえるでしょう。
おわりに:安定したサービスを提供したいなら特定施設入居者生活介護の転職はおすすめ
特定施設入居者生活介護の施設は、行政の基準を満たしている必要があります。その基準を満たすには、スタッフ数も多くなくてはなりませんし、看護師といった専門職の常駐も求められます。
利用者が安心して利用できる施設である特定施設入居者生活介護は、働く側にとっても安心感があります。特定施設入居者生活介護に入居したがっている人は多いですので、将来性もあるでしょう。
ただし、特定施設入居者生活介護の数の上限は決められているので、新規施設ができることも少ないです。求人数も少なく、応募資格も厳しいですので、転職難易度は高めです。
しかし、行政お墨付きのきちんとした施設で働きたいならば、努力して目指す価値はあるといえるでしょう。