介護士は日々、人から感謝をされ、必要とされているとてもやりがいのある仕事です。しかし、その一方で、負のイメージが根付いてしまっている現状があります。一部の介護士が起こす不祥事や、実態とかけ離れた介護仕事へのイメージが独り歩きしてしまっています。本来の介護士という仕事には、もっと人気になる可能性が十分に秘められています。そして今後も益々、高齢社会となっていく中でより感謝され、必要とされる仕事になっていきます。今回は、介護士のお仕事が実はもっと選ばれる仕事ではないか?その理由を伝えていきたいと思います。

【この記事のポイント】
・介護士は日々感謝をされやりがいを感じる仕事
・人は感謝をされたときに仕事のやりがいを感じる
・介護士にはお金で買えない魅力が詰まっている
・サービスの質が給与に反映しないシステムの介護保険制度に問題あり

介護仕事の世間的なイメージと実際の仕事内容

近年、介護士はメディアに多く取り上げられるようになりました。ありのままの介護士像を報道するメディアがある一方で、中には本来の介護士像とは大きくかけ離れた内容を報じるメディアもあります。
みなさんの中には、介護士の仕事の世間的なイメージと、実際の仕事内容に大きな違いを感じた方がいらっしゃるのではないでしょうか?
介護士の仕事の世間的なイメージは、キツい、汚い、危険、帰れない、給料が低いなどを称して3Kと言われることがあります。確かに給与が低い点は介護業界に共通ですが、どこの事業所も夜に帰れないとか、業務に負われて休めない、きついなんてことはありません。また、単調なお仕事と思われている部分もありますが、実際には利用者や同僚とのコミュニケーションが多く、創造力を必要とされる仕事内容となっています。

人はどういう時に仕事への「やりがい」を感じるか?

みなさんは、どういったときに仕事のやりがいを感じますか?エン・ジャパンが実施した「仕事のやりがいについてのアンケート」では、6割以上の人が「お礼や感謝の言葉をもらったときにやりがいを感じる」と答えました。
介護士には、お礼や感謝の言葉をもらう機会がたくさんあります。それは利用者のご家族からの感謝もあれば、利用者本人から日常的に頂きます。
介護施設などを利用している方の大半は、1人で自立した生活を送ることが困難な方です。介護士は、困っている利用者の要望(ニーズ)をコミュニケーションによって引き出し解決します。多くの仕事では、その課題解決の手段がインターネット上であったり、利用者と接しない場所で間接的に行われています。また、サービス業の中でも介護サービスは、モノを販売しているのではなく、行為によって利用者のニーズに応えています。言わば、サービスを提供する人そのものが商品であるとも言え、感謝の対象が人に向かうのです。
利用者の立場で考えると、困っていることを解決してくれる介護士は、とっても頼もしい存在です。働く環境の中で、「誰からに頼りにされる」「誰かにありがとう」を言われる機会の多い介護士というお仕事は、非常にやりがいのあるものと言えます。

給与・世間的地位は確かに低い。しかし、残業や休日出勤は多くない

介護士の平均給与が全国平均を下回っていることで、度々問題視されています。さらに、メディアによる間違った報道などによって悪いイメージが付いてしまい、世間的地位が低くなってしまいました。
また、最近は残業や休日出勤などの労働条件に関する問題が起こっていますが、介護士に至っては、通常の職場であれば残業や休日出勤はそれほど多くありません。介護労働安定センターによる平成26年度介護労働実態調査によると、残業なしが半分以上となっています。世間でイメージされている「きつい」、「長時間労働」というのは事業所や人によって受け取り方が様々なので、一概に介護業界全般がそうだとは言えません。

「良いサービスを提供しよう」という気持ちが薄れる構造?

介護士として活躍されている人は、大きく2パターンに分けることができます。「ただ業務をこなしてしまう人」と「自発的笑顔を求めて良いサービスを提供する人」です。介護士として勤務し始めは、後者のモチベーションであっても、介護保険制度によって、徐々に前者となってしまうという介護業界の構造があります。
2016年現在の介護保険制度は、介護報酬によって介護士の給与もおおよそ決まってしまうため、サービスの質が給与に影響しづらいシステムとなっています。ほとんどの介護事業所で良いサービスを提供しようと、ただ作業的にこなしたサービスであろうと、給与に違いはでません。そうすると、仕事をがんばる動機が作れず、上記で述べた「ただ業務をこなしてしまう人」になり、離職や転職となってしまいます。

こういった問題が背景にあり、現在政府は、利用者の要介護度を改善した事業所には加算を与え、介護業界にも「良いサービスが選ばれる」「良いサービスを提供したことによって報酬が変わる」ような市場原理を導入することを検討しています。福祉のお仕事に市場原理を入れる事に対しては賛否両論ありますが、良いサービスを提供すれば給与に反映される仕組みができれば、介護士にとっての新しいモチベーションとなるでしょう。

まとめ

介護士は、この世で最もやりがいを感じる仕事と言っても過言ではありません。日々感謝をされ、必要とされている数少ない職業だからです。多くのメディアが報じるように、給与面をピックアップすると魅力がないように見えてしまいますが、仕事のやりがいという点においては給与だけでなく、自分のやりたいことができるか、誰かに褒められる・感謝される仕事なのかが重要です。
報道の仕方から、世間の介護仕事に対する偏ったイメージを植え付けて、介護士という仕事の価値を損ねてしまっている部分もあると思います。課題はありますが、良い面に注目していけば、介護仕事がいつか「人気のお仕事」となる可能性も充分にあるでしょう。

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