目次
(1)ケアハウスとは
高齢者が利用する施設は、介護が必要であるか自立しているか、また公的な施設と民間の施設など、利用する方の状態や状況などで選択肢は分かれ、適した施設が異なってきます。
その中でケアハウスは、介護が必要ではない、または軽度の介護で生活でき、家族の援助などが受けられないため、自立した生活に不安がある高齢者のための施設といえます。地方公共団体や社会福祉法人などが設置しており、低料金で利用できる公的施設です。
軽費老人ホームには3種類あり、ケアハウスはその中の一つになります。
- A型:食事の提供や日常生活において必要な援助が行われる施設
- B型:食事などは自分で行い援助は受けられない施設
- ケアハウス:利用者が車椅子生活になっても自立した生活が送れるよう配慮した施設
また3種類の軽費老人ホームに加え、2010年よりもう一つ都市型軽費老人ホームができています。これは現在首都圏・近畿圏・中部圏などの既成市街地等の都市部の低所得高齢者に限られた小規模な施設です。
A型及びB型の軽費老人ホームには入居条件に所得制限がありますが、ケアハウスには所得制限はありません。また軽費老人ホームA型・B型は、1990年以降新しく設置されておらず、将来的にケアハウスに統一されることとなっています。
(2)ケアハウスの種類と受けられるサービス内容
ケアハウスには一般型と介護型の2種類があり、受けることができるサービスも異なってきます。
ケアハウスの種類「一般型」
一般型では、食事の用意や掃除などの生活援助や見守り、緊急時の対応などのサービスを受けることができます。自立した方から要支援、要介護1程度までの軽い介護で生活できる方が対象になっており、軽度の介護が必要になれば、外部からのサポートで介護を受けることになります。
ただし一般型の場合、入居した時に自立であっても、ある程度以上の介護が必要となると退居しなければいけない場合もあります。これは施設によって異なりますので、入居前に確認が必要です。
ケアハウスの種類「介護型」
介護型では、施設が特定施設入居者生活介護の指定を受けていると考えられます。生活援助だけでなく、スタッフによる入浴や食事などの介助、リハビリや医療的ケアなどを受けることができます。自立型と違い、介護度が高くなったことで退居する必要はありません。
施設設備としては、居室は個室で単身の場合居住面積は21.6m²、夫婦では31.9m²となっています。居室にはトイレや洗面所、ミニキッチンなどが設置されており、それらを除いた面積は14.85m²となっています。
居室以外の設備としては、浴室・食堂・リハビリ室・一時介護室などがあり娯楽室などを設けている施設もありますが、民間が運営する有料老人ホームのような娯楽設備は整えられていないことがほとんどであるといえます。
その他、レクリエーションなどを行っている施設も多くありますが、内容については施設ごとで異なりますので、確認しておきましょう。
(3)ケアハウスのメリット・デメリット
ケアハウスの利用を考える場合、どんなメリットやデメリットがあるかについても良く知っておく方が良いでしょう。
ケアハウスのメリット
利用料金が安い
まず一番に挙げられるメリットは、料金が安いことです。ケアハウスは、低所得や資産の少ない方のための公共施設であるため、低料金になっています。
同じように介護があまり必要ではない高齢者が利用する施設として、民間が運営する有料老人ホームがありますが、初期費用には数百万から数千万円必要な場合が多く、月額費用などもケアハウスと比べると、かなり高額だといえます。
プライバシーが守られる
一般型も介護型も、居室は個室と定められています。介護が必要な方が入所する、特別養護老人ホームや介護老人保健施設などでは個室もありますが、多床室である場合もあります。ケアハウスでは個室であることで、しっかりとプライバシーが守られ、ストレスが少ない生活を送ることができるといえます。
介護型であれば介護度が高くなっても大丈夫
軽費老人ホームA型・B型では、身の回りのことは自分でできることを条件にしている所が多いため、介護が必要になったときには退居しなくてはいけない場合もあります。しかし、介護型であれば、介護度が高くなったからといって退居させられることはないので安心です。
ケアハウスのデメリット
人気があるため入居までに時間がかかる
ケアハウスは、個室でプライバシーも守られている上に低料金であることなどから人気となっており、待機者が多い状態です。そのため申し込みをしても、入居までに時間がかかってしまい場合によると数年もかかることがあります。
施設によって差が大きい
利用者の年齢や状態などについては、法律で決められている条件以外に、施設によって細かく入居条件や初期費用について設定しているところもあります。また、レクリエーションなどについても施設によって異なるため、利用したい施設が見つかれば細かなところまで確認が必要です。
(4)ケアハウスの入居条件
ケアハウスの入居条件も、一般型と介護型では異なりますので注意しましょう。また地域や施設によって条件が違う場合があるため、入居を希望する施設に問い合わせて確認することが重要です。
所得に関しては、軽費老人ホームA型・B型には月34万円という所得制限がありますが、ケアハウスに所得制限はありません。
一般型の入居条件は、60歳以上(夫婦で入居する場合はどちらかが60歳以上)で、自立した生活を送るのは不安がある、家族の支援を受けることが難しい状態の方が対象となっています。
健康状態には問題がなく介護が必要ない自立した方ばかりでなく、要支援、要介護1くらいの方までを対象としています。ただし認知症があると入居できない場合もありますので、入居する前には確認しておきましょう。
それに比べて介護型の入居条件では、65歳以上で要介護1以上の方となります。介護が必要な方が対象となっており、認知症があっても入居は可能です。
(5)ケアハウスの費用
ケアハウスは、低所得の高齢者のための施設であるため、低料金で利用できます。しかし、これも一般型と介護型で少し異なります。またここで紹介する費用については目安であり、施設によっても異なりますので、入居したい施設に直接問い合わせ確認してください。
一般型費用
一般型では初期費用が必要ない施設もありますが、数十万円必要であることが多くなります。また、家賃や食費、光熱費などの生活費の他、施設運営費・管理費などが必要となり、施設に支払う月額費用は6~17万円程度になります。
介護型費用
介護型では初期費用が一般型より高く、数十万から数百万必要になります。一般型と同じく家賃や食費、光熱費などの生活費、施設運営費や管理費の他、介護費用なども加算されるため施設に支払うのは、月額費用として10~20万円程度必要になります。
また一般型の初期費用は、保証金である場合が多く敷金のようなものであるといえます。それに対し介護型の場合は、居住費用の前払い金となる入居一時金であることが多く、施設によって償却期間が異なります。
何か問題が発生し退居することになれば、入居一時金の返却などでトラブルが発生することもあります。入居一時金だけでなく、利用するにあたって必要な費用については、必ず契約前に確認しておきましょう。
(6)知識をつけて入居者に合った施設を選ぼう
高齢者が利用できる施設は、いくつもあります。自立はしているけど一人暮らしなどに不安を持っている、また家族などの支援を受けることができない方であれば、ケアハウスの利用も検討してみてください。
ただケアハウスは低所得者のための公共の施設であり、有料老人ホームのような娯楽を追求した施設ではないことを知っておきましょう。
有料老人ホームでも、介護付きで利用できるものもあります。しかし初期費用や月額費用などはケアハウスなどに比べ、かなり高く設定されています。それでも娯楽などの設備があるほうが良いと考えれば、有料老人ホームなどの選択肢もあります。
また、ケアハウスは低料金で利用できることもあり、かなり待機者が多く、利用できるようになるまで長期間かかる場合が多くなります。今すぐ利用できるわけではないため、利用したいと考えれば、まだ早いとは考えず早めに申込をする方が良いと言えます。
まだ介護があまり必要ではない方でも、利用できる老人施設がいくつもあるため、知識を増やして入居する方に合った施設が選択できるようにしましょう。