居宅療養管理指導とは、通院が困難な要介護者の自宅に訪問し、療養のための健康管理やアドバイスなどを行うサービスです。

自宅へ訪問して療養指導を行うので医療サービスの診療や訪問診療と似ていますが、あくまでも介護サービスなので混同しないようにしましょう。

ほかにも、サービスには複数の種類があるので、そのことも含めて居宅療養管理指導についてくわしく解説していきます。

居宅療養管理指導とは

居宅療養管理指導とは、要点をまとめると以下のとおりです。

  • 自宅へ訪問し、専門的な療養指導を行うサービス
  • 医療サービスの「往診」や「訪問診療」とは異なり、介護サービス
  • 働けるのは限られた専門職のみ

詳細を見ていきましょう。

自宅へ訪問し、専門的な療養指導を行うサービスとは?

居宅療養管理指導では、通院することが難しい要介護者の自宅に訪問し、療養のための管理や指導、アドバイスなどを行います。

具体的には、以下の2点がサービスの基本となります。

  • 介護支援専門員に対する、ケアプラン作成のための情報提供
  • 本人および家族に対する、サービスを利用するための注意点や介護の仕方についての指導、アドバイス

居宅療養管理指導の利用対象者は?

居宅療養管理指導の利用対象となるのは、以下の要介護者です。

  • 65歳以上の要介護者
  • 40歳以上の特定疾病による要介護者

なお、要支援者については、ほぼ同じ内容のサービスである「介護予防居宅療養管理指導」が提供されます。

これらのサービスを通じて、さまざまな事情から通院が難しい要介護者であっても、通常の患者と同じように健康管理をするためのサポートを受けることができます。

そのうえで、要介護の状態が悪化することを防ぎ、できるだけ自立した生活を送ることができるようにする、というのが居宅療養管理支援の最大の目的です。

ただし、居宅療養管理指導はあくまで医師の指示がなければ利用することができませんので、事前に相談が必要な点に注意が必要です。

居宅療養管理指導を受けているイメージ

居宅療養管理指導にて受けることができるサービスの種類とは?

居宅療養管理指導では、以下の医療従事者によってサービスが提供されます。

  • 医師
  • 歯科医師
  • 薬剤師
  • 管理栄養士
  • 歯科衛生士

サービスの種類も、それぞれ次のように異なっています。

医師・歯科医師の場合

診断を行ったうえで、それにしたがい、健康管理や生活指導を継続的に行います。

たとえば、利用者が使用している医療器具の管理、処方されている薬の服用方法や副作用についての指導などがそれにあたります。

また、ケアプラン作成のために必要な利用者の心身の情報を提供するのも重要な仕事です。

月2回まで、居宅療養管理指導を行うことができます。

薬剤師の場合

医師の指示にもとづいて、処方された薬の管理を行います。

たとえば、利用者が服用しやすいように薬の形状を変更・一包化したり、薬の名前や服用のタイミングなどを記したりします。

また、服用や副作用について指導を行い、重複投与や配合禁忌をふせぐのも重要な仕事です。

病院または診療所薬局に勤めている場合は月2回まで、薬局に勤めている場合は月4回まで、居宅療養管理指導を行うことができます。

管理栄養士の場合

医師の指示にもとづいて、利用者の食事についての相談や指導を行います。

たとえば、利用者の嚥下機能などの状態に合わせ、栄養バランスを考えた「栄養ケア計画」を作成したり、具体的な食事のメニューや調理についてのアドバイス、指導などを行ったりします。

月2回まで、居宅療養管理指導を行うことができます。

歯科衛生士の場合

歯科医師の指示にもとづいて、口腔ケアや嚥下機能についての指導を行います。

たとえば、歯みがきや義歯の洗浄についてアドバイスしたり、食事の際の姿勢などを改善したりします。

また、自宅でも口腔ケアが行えるように、その方法や用品についての情報提供なども行います。

月4回まで、居宅療養管理指導を行うことができます。

居宅療養管理指導と類似サービスの違い

居宅療養管理指導とよく似ているサービスに「往診」や「訪問診療」があります。

それぞれサービス内容や目的、報酬体系などに明確な違いがあるので、ここで詳しくみていきましょう。

居宅療養管理指導との違いは「健康管理・アドバイス」or「医療行為」

「居宅療養管理指導」は、要介護の進行や悪化を防ぐことを目的とした介護サービスです。

あくまでも健康管理やアドバイスを行います。

一方、「往診」や「訪問診療」は、診察や検査、投薬などの治療行為をする医療サービスにあたります。

そのため、介護保険ではなく医療保険が適用され、ケアマネージャーへの報告も義務とはなっていません。

往診と訪問診療のサービス内容は、以下のとおりです。

往診とは

往診は、心身や病状に急激な変化が見られ、なおかつ救急車を呼ぶほどではないという状況の際に利用されます。

あくまで臨時に行われる診察なので、居宅療養管理指導のように継続して行われることはありません。

訪問診療とは

訪問診療では、定期的に利用者の自宅を訪問し、診察や治療を行います。

居宅療養管理指導と同じようにスケジュールを立て、訪問回数も月2回までと決められているように、その大枠はかなり共通しています。

居宅療養管理指導を利用する際にかかる費用は?

居宅療養管理指導を利用する際には、自己負担割合1割の場合で、1回につき300〜500円程度の費用となります。

十分な収入がある場合は、所得額に応じて2〜3割負担となります。

その金額は、サービス提供者の職種や勤務先、また「同一建物居住者」の人数によって区分されています。

ここでいう同一建物とは、マンションなどの集合住宅や、老人ホーム、グループホームといった介護施設などのことも指します。

それぞれ、自己負担割合1割で目安は以下のとおりです。

居宅療養管理指導では地域差がないので、すべて1単位=10円として算定されています。

職種 同一建物居住者が1人 同一建物居住者2〜9人 同一建物居住者が10人以上
医師・歯科医師 507円 483円 442円
薬剤師(病院・診療所) 558円 414円 378円
薬剤師(薬局) 507円 376円 344円
栄養管理士 537円 483円 442円
歯科衛生士 355円 323円 295円

これらの費用に加えて、交通費についても利用者に実費を請求することができます。

なお、月ごとの限度回数を超えてサービスを提供した場合は「往診」としてあつかわれ、医療保険(自己負担1〜3割)の適用となるので、その点をよく説明しておきましょう。

診察や検査、投薬などの治療行為を行った場合も同様です。

ただし、専門職の異なる居宅療養管理指導であれば、それぞれの限度回数を別々に計算することができます。

また、居宅療養管理指導は介護保険の支給限度額にはふくまれないので、すでにほかの介護サービスで限度額に達していたとしても、介護保険を適用することができます。

居宅療養管理指導は家族の負担を減らす目的も

居宅療養管理指導は、利用者本人だけではなく、介護に携わる家族の負担を減らすためにも必要な介護サービスです。

たとえば、以下のようなケースでの利用が考えられます。

  • 独居の高齢者で病院に通えない
  • 老老介護でいずれも外出に不自由がある
  • 食が細くなるなど家族だけでの健康管理が難しくなる

このような要介護者および家族の方には、積極的に利用をすすめていきましょう。

利用までの流れ

  1. ケアマネージャーが利用者から、居宅療養管理指導についての相談を受ける。
  2. 居宅療養管理指導が必要だと判断したら、医師に連絡してサービス内容や利用ペースなどを決める。
  3. 利用者の状態に合わせたケアプランを作成し、そのスケジュールに合わせてサービスの提供を開始する。

居宅療養管理指導を利用する注意点は?

居宅療養管理指導は、利用者にとって、実際に居宅療養管理指導でどのようなサービスが提供されるのか不安があるものです。

ケアマネージャーや医師は、その詳しい内容や費用についてしっかり説明していく必要があります。

実際に居宅療養管理指導が必要なのか、あるいは治療も含めた医療サービスを行うべきなのか、よく利用者の意志も確認しつつ、もっともふさわしいサービスを提供できるように準備しましょう。

また、アクシデントが起こった際の対応や損害賠償などについても、できるだけ確認して話し合っておくことが重要です。

ここで、丁寧かつ誠実な態度をしめすことで利用者からの信頼も得られ、よりスムーズにサービス提供を進められるようになります。

おわりに:在宅医療で介護サポート。利用者や家族と向き合えるやりがいのあるお仕事です

居宅療養管理指導で訪れた医療スタッフのイメージ

居宅療養管理指導は医療サービスと似て非になるもの。介護が必要な利用者さんやその家族に寄り添って、健康管理をサポートします。
「病院は向いていないかもしれない」
「チームで医療サポートしたい」
「利用者一人ひとりにじっくり向き合いたい」
と考える医師、歯科医師、薬剤師、管理栄養士、歯科衛生士の方は居宅療養管理指導のお仕事を選択肢の一つとして検討してみてはいかがでしょうか。

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