介護予防訪問看護とは、介助をほとんど必要としていない高齢者の自宅に出向き、介護の予防を目的とした看護を行うサービスのことです。
介護予防訪問看護の施設で働くには、介護の資格が必要ですし、そもそも介護スタッフの募集を行っていない施設もあります。そのため、介護予防訪問看護施設での介護職転職は難しいといえるでしょう。それでは詳しくご紹介していきます。
目次
介護予防訪問看護とは?
介護予防訪問看護とは、要支援1、要支援2に認定された高齢者の方を対象に、保健師、看護師、准看護師といった医療スタッフが、生活の場である家庭に出向き、介護予防を目的にした療養のお世話や補助的な診療を行うサービスのことです。
要支援1、要支援2の高齢者は、部分的な介助を必要としながらも基本的には独力で生活できる状態にあります。そのような状態をできるだけ長引かせて、介護の必要性が発生しないように支援していきます。
介護予防訪問看護のサービスは、「介護予防訪問看護ステーション」と呼ばれる施設や「訪問看護ステーション」や「病院」といった他のサービスも提供している施設で受けることができます。
介護予防訪問看護のサービスは基本的には日中に受けることになりますが、何らかの体調変化があった場合は、夜間や早朝の対応もしてもらえます。
介護予防訪問看護の要点をまとめると、以下のとおりです。
- 介護予防を目的にした療養のお世話や補助的な診療を行うサービスのこと
- 介助をほとんど必要としていない高齢者が対象
- 介護予防訪問看護施設の介護職員になるには資格が必須
- 介護職員としての求人はやや少なめの施設が多い
介護予防訪問看護で働くメリット
介護予防訪問看護で働くメリットを3つご紹介します。
夜勤がないので生活リズムが乱れない
介護予防訪問看護には、平日の日勤がメインです。土日は休みで夜勤もありません。
施設によっては夜勤の代わりにオンコール(※急患時の対応役として待機すること)もありますが、オンコールは交代制で、自宅で待機していても良いので夜勤よりも負担は少ないです。
午前・午後だけの訪問や週3日だけ勤務などの調整がしやすい施設も多く、夜勤もある介護施設の職員のように生活リズムが崩れることが少ないです。
加えて、直行直帰OKなど、柔軟な働き方ができるので、育児や家事との両立をすることもできます。
夜勤はないものの給与水準が高い
訪問看護の施設は、給与水準が比較的高めです。
夜勤手当がなくなる分、他の介護の施設よりも給与が低くなるのではないかと不安になられている方も多いでしょう。確かに、夜勤ありの施設に比べると、給与平均はやや下がるとはいえ、「日勤のみ」という条件で比較すれば、かなり好条件のようです。
また、パートなどでの採用も多くありますが、その場合の時給も高めです。自身のプライベートな時間を大切にしつつ、高い給与がもらえるメリットがあるのです。
利用者や家族の方にしっかり向き合える
介護予防訪問看護では、利用している高齢者の自宅に直接出向くことになります。訪問している間は、その利用者の方にのみ時間を使うことが可能です。
実際の生活を見ることで、改善した方がよい習慣なども発見しやすく、利用者の家族の方からもしっかりと話を聞いたり相談にのったりすることができます。
じっくりと利用者一人ひとりに向き合い、納得のいくケアができるメリットがあるのです。
介護予防訪問看護の大変さ
介護予防訪問看護は、基本的に一人で利用者の自宅に訪問しなくてはなりません。緊急時は、電話などで医師に連絡し、判断を仰ぐことができるものの、基本的には一人ですべてをしなくてはならないので大変です。
また、悪天候時であっても、介護予防訪問看護は訪問を休むことはできません。どんな天候でも決められた時間通りに利用者の自宅を回っていかなくてはならない大変さがあるのです。
さらに、介護予防訪問看護では、利用者とその家族の方と、長時間一対一で向き合うことになります。しかしながら、ごくまれに相性が合わないこともあります。わがままで、注文が多過ぎる利用者に悩まされることもあるようです。
利用者の生活に寄り添い、関係が親密になるからこその大変さもあるのだといえるでしょう。
介護予防訪問看護で働くには資格が必要?
介護予防訪問看護のステーションには、看護師、保健師、助産師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などが配置されています。ですので、これらの資格を保有していれば介護予防訪問看護で働けます。
また、介護予防訪問看護施設の介護職員になるには、以下の3つのような資格が必須です。
初任者研修
初任者研修は、介護職で働くならもはや必須とも言える資格です。詳しくはこちらの記事で紹介しています。
実務者研修
実務者研修は、介護職員初任者研修を取得している方が目指すべき次の資格です。詳しくはこちらの記事で紹介しています。
介護福祉士
介護福祉士は、キャリアアップや給与アップのためにとっておきたい資格です。
介護予防訪問看護の転職先・求人情報
訪問介護の実際の求人情報をみてみましょう。
(※2020/09現在の情報です。情報は変わる可能性があります。)
日勤のみの訪問看護の介護職員の求人
フルタイムのパート求人です。訪問介護業務(入浴・排泄・家事)など、生活全般にかかわる援助が主なお仕事です。
週休2日で働きやすい環境が整っています。
給与
時給は900円~。月給は151,200~159,600円。社会保険完備で安心して働けます。
資格補助や処遇改善ありの訪問看護の介護職員求人
パートの求人です。1日に3回~6回程度の訪問介護サービスがお仕事になります。
給与
給与額の反映は、人柄もポイントになります。時給1,000円~のスタートです。
介護予防訪問看護に転職するのは難しい?
結論から申し上げますと、介護予防訪問看護に転職するのはかなり難しいといえるでしょう。なぜなら、求人数が少ない点があげられます。
まず、介護予防訪問看護の施設は、介護を受けることを予防するための施設です。介護を必要としない利用者がほとんどですから、介護職員を置いていない介護予防訪問看護の施設が多いのが現状です。
なかには、介護スタッフも配置している施設もありますが、その場合も介護スタッフは数人しか常勤していないということも多いのです。
さらに、介護予防訪問看護で介護スタッフとして働く場合、必ず資格を持っていなくてはならないという決まりもあります。
最も取得しやすい資格としては、「介護職員初任者研修」がありますが、この資格も全130時間の講義を受講し、修了後に約60分間の試験を合格しなくてはならないので、取得には最低でも一か月かかります。
求人が少なく、資格も必要な施設ですから、転職は容易ではないといえるのです。
おわりに:介護予防訪問看護はやりがいはあるものの転職は難しい
介護予防訪問看護は、高齢者の方が介護不要でいつまでも自立した生活を送れるようにケアしていく仕事です。利用者一人ひとりとしっかりと向き合えるので、やりがいを感じることができる仕事だといえるでしょう。
ただし、介護予防訪問看護とあるように、施設で働いているのは看護師が中心になります。介護スタッフも働いている介護予防訪問看護も存在しますが、数は少ないですし、求人もあまり出ていないため、やりがいのある仕事ですが、転職の難易度はかなり高いといえるでしょう。
ですが、「難しい」というだけで、「できない」ことはありません。介護予防訪問看護で介護スタッフとして働きたいならば、介護の資格を持っていなくてはならないので、まずは資格取得から始めてみてはいかがでしょうか。