平成23年の高齢者住まい法改正によって誕生したサービス付き高齢者住宅(サ高住)。こちらの記事では、サ高住についての基本知識、入居対象者(入居条件)や特別養護老人ホームとの違い、サ高住で働く人の主な仕事内容、特徴についてお話したいと思います。
目次
サービス付き高齢者住宅とは?
サービス付き高齢者住宅とは、介護や医療サービスが備わっている、高齢者が安心して暮らすことができるバリアフリー構造の住宅のことです。略称で「サ高住」とも呼ばれます。
日本は、平成19年に超高齢化社会に突入したことにより、高齢者が急速に増加し、介護施設が不足している現状にあります。 特別養護老人ホームの入所待ちをしている方は全国で40万人以上いると言われています。サ高住は、そんな現状を打破すべく、平成23年に高齢者の居住環境について定められている法律「高齢者住まい法」の改正によって創立されました。
なぜ、高齢者住まい法が改正されたのかというと、改正以前の高齢者向け住宅は、トラブルが多くあったのです。
改正以前には、高齢者向け住宅は3種類に分けられており、
- 高齢者の入居を円滑に行う高齢者円滑入居賃貸住宅
- 65歳以上の高齢者が対象の高齢者専用賃貸住宅
- バリアフリー構造など高齢者が住みやすい環境を提供する高齢者向け優良賃貸住宅
がありました。
しかし、介護や医療サービスやバリアフリー構造などのサービスを提供しない、名だけの高齢者向け住宅が数多く存在していたため、トラブルが頻繁に起こっていました。
そこで平成23年に高齢者住まい法が改正され、トラブルのもとであった上記3種類の高齢者向け住宅を廃止し、サ高住を創立しました。現在、サ高住は介護施設の不足の受け皿になっており、非常に期待されています。
サ高住の対象者は?
サ高住には入居対象者(入居条件)は以下のように定められています。
- 60歳以上であること
- 60歳未満の場合は、要介護認定または要支援認定を受けていること
同居者に至っても条件があります。事実婚を含む配偶者や、60歳以上の親族、要介護認定または要支援認定を受けている60歳未満の方となっています。
サ高住と特別養護老人ホームの違いとは?
サ高住は高齢者向けの賃貸住宅であるのに対し、特別養護老人ホーム(特養)は高齢者向けの居宅施設です。
サ高住は介護や食事などのサービスを受けながら生活する住宅です。一方、特養は主に1人で日常生活を送ることが難しい高齢者が入所し、介護職員が介護サービスを行うなど介護することに重きを置いた施設です。
人員配置にも違いがあります。サ高住は、9時から17時までは介護福祉士や看護師、社会福祉士が常駐する必要がありますが、17時以降はスタッフが常駐する必要がありません。
特養は、介護職員は24時間常駐し、日中の時間帯には医師、生活相談員、看護師、栄養士、機能訓練指導員(理学療法士や作業療法士など)、 ケアマネージャーが常駐している必要があります。
また、費用の面でも大きな違いがあります。サ高住は初期費用と月額費用が掛かり、住宅によって左右しますが初期費用相場は0円から数百万円、月額費用相場は10万円から30万円ほどです。
特養は、公的補助がある施設ですと、月額10万円程度です。特養の人気の理由は、この安さにあります。
サ高住の仕事内容は?
サ高住の主な仕事内容は、入居者全員の安否確認と生活サポートです。
サ高住によりますが、入居している方のほとんどが自立生活を送れるので、食事介助などの介護サービスを必要としません。
安否確認の方法については、サ高住の形態によって若干の違いがあります。食堂があるサ高住の場合は食堂に来たかでチェックを行い、食堂がない場合は各居室へ行きチェックをします。
生活サポートについてもサ高住の形態によって違いがありますが、特定施設入居者生活介護の指定を受けた施設ではない限り、見守り介護がメインです。介助が必要な方には起床時や食事時、入浴をお手伝いし、入居者の自由時間などは見守りをします。
ですから、サ高住は、特養など介護サービスをメインにしている施設と比べて仕事量が少ないです。
特定施設入居者生活介護とは、介護保険の指定を受けたサ高住や養護老人ホームなどが、入居者に対して食事介助や入浴、排泄など日常生活の介護サービスを行うことを言います。
サ高住は外部からのサービスを自由に受けることができる
サ高住はあくまで賃貸住宅ですので、外部からの介護サービスや医療サービスを受けることができます。
前述したようにサ高住は、介護福祉士や医師、看護師、社会福祉士、ケアマネージャー等のいずれかの資格を有するスタッフもしくは社会福祉法人、医療法人、指定居宅サービス事業所等の職員が日中に常駐しています。
例えば、住宅によっては先ほど挙げた全ての有資格者が勤務していますが、介護福祉士のみが勤務している住宅もあります。入居した住宅に希望する介護や医療サービスがない場合に、外部事業からサービスを受けるということが主流になっています。
施設によって提供するサービスや併設する事業所などが異なりますので、転職をお考えの場合にはしっかりチェックしましょう。
おわりに:自立した生活をサポートするサ高住は、外部のケアマネとしても活躍できます
サ高住についてご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。サ高住はケアマネージャーを配置していないところがほとんどですが、入居者の生活をサポートする上でケアマネージャーはとても重要な職種です。ですからサ高住には、外部事業を通してケアマネージャーに依頼する利用者が多くいらっしゃいます。
そのため、これからケアマネージャーを目指す方はサ高住のことをしっかり抑えておくと良いですよ。その際は本記事をぜひ参考にしてくださいね。