利用者にとって本当に良いサービスを提供するためには、介護度別にどの様なサービスを受けることができて、どれだけの費用が発生するのか知ることも大切です。本当に適したサービス利用のアドバイスができれば、効率的に機能の向上などを図ることができ、在宅復帰やQOLの向上につながっていきます。

そこで今回は、要介護1の人が介護保険の枠内でどのようなサービスを、どれだけ受けることができるか、そして費用がどれだけかかるのかも見ていきましょう。介護保険の事があまりわからなくても理解できるように、具体例を多めにして説明していきます。

 

受けられるサービスの種類と費用負担

受けられるサービスには様々なものがありますが、今回はその中でも要介護1の人が特に利用頻度が高いものをピックアップしていきます。

デイサービス

【要介護1の人がデイサービスを利用できる日数】
20日〜毎日

【デイサービスを利用する場合の費用総額】
35,000〜45,000円

デイサービスは利用時間によって利用できる日数が大きく変わります。7〜9時間の利用であれば約20回程度ですが、5〜7時間であれば23回程度、3〜5時間であれば毎日利用することが可能です。

上記の回数利用するのであれば、基本的な費用負担額は約16,700円程度ですが、通う回数によって昼食代や備品代、レクリエーション費用などの介護保険適用外の費用が若干変わります。どれだけ違うのか、月に20回利用する場合と、毎日利用する場合でざっと計算してみましょう。

【デイサービスを月に20回利用した場合】
デイサービス利用料16,700円+昼食・おやつ代600円× 20+レクリエーション費用300×20+備品代150×20=37,700円

【デイサービスを毎日利用した場合】
デイサービス利用料15,000+昼食代500円× 30+レクリエーション費用300×30+備品代150×30=43,500円

このように利用した回数が多い方が、介護保険の適用外のサービスが増えることになるので費用は高くなりがちです。ただし、施設規模や地域など様々な条件によって多少の費用の違いがあるので「要介護1の人がデイサービスを利用する場合の費用負担額は35,000円から45,000円程度」と覚えておくと良いでしょう。

訪問介護

【要介護1の人が訪問介護を利用できる日数】
1時間30分程度の生活援助を毎日

【訪問介護を利用する場合の総額】
約15,000円

要介護1で訪問介護を利用する場合は、身体介護よりも生活援助が多くなる傾向にあります。主に食事の準備や買い物などを行うことになりますので「1日45分程度の訪問介護を朝と夕方に利用する」「家族がいない昼間の時間帯に、安否確認の意味も込めて1〜2時間利用する」などという利用の仕方になることでしょう。

上記のような利用の仕方の場合、毎日利用したとしても15,000円程度。他に介護保険外のサービスはほとんどありませんので、この金額を超える事はほとんど無いと考えて構いません。

ただし生活援助に比べて金額が割高な身体介護を希望した場合や、時間帯によって割り増し料金が必要な事業所にお願いした場合はその限りではありません。この場合は若干費用が高くなったり、利用できる日が限られたりする事もあります。

ショートステイ

【要介護1の人がショートステイを利用できる日数】
約23回

【ショートステイを利用する場合の総額】
約10万円程度

要介護1でショートステイを利用する場合、基本となるサービス料は1日あたり約700円ですが、これにプラスして食費や居住費が必要になります。この中で介護保険の対象となるのはサービス料のみ、食費や居住費は全額自己負担です。

ひと月に23回までの利用であればサービス料を介護保険内で抑えることができますが、その分居住費や食費が多くなります。実際に限度額ギリギリの23回利用した場合の費用を試算してみましょう。

【ショートステイを月23回利用した場合】
サービス料16,100円+食費(朝・昼・夕・おやつ)1,400×23+居住費1,500円× 23=82,800円

となります。実際は施設によって若干のばらつきがあるため多少前後しますが、要介護1の場合はおむつ等もあまり必要ではないため、高くても10万円程度と見ておくと良いでしょう。

小規模多機能型

【要介護1の人が小規模多機能型を利用できる日数】
制限なし

【小規模多機能型を利用する場合の総額】
20,000〜100,000円程度

小規模多機能型はデイサービスとショートステイ、それから訪問介護を1つの窓口で利用できるシステムです。どのサービスをいくら利用しようとも、介護保険の対象となる介護サービス料は変わりません。しかし、それ以外の宿泊費や食費などが大きく変わってきますので、利用すればするほど費用はかさみます。

仮にショートステイを月5回、デイサービスを17回、訪問介護を8回利用した場合を計算してみましょう。

【ショートステイを月5回、デイサービスを17回、訪問介護を8回利用した場合】
介護サービス料(各加算含む)13,000+宿泊費2,000 × 5+食費(デイサービス分おやつ含む) 600 × 17+食費(ショートステイ分おやつ含む) 1,400 × 5=40,200円

となります。実際は小規模多機能型は料金のばらつきが大きく、また利用するサービスによってもかかる費用が大きく異なります。この例で言えばショートステイを一回増やすにつれて3,400円余分に金額がかかることになりますが、ショートステイの利用を控えれば費用は大幅に抑える事ができます。

訪問入浴

【要介護1の人が訪問入浴を利用できる日数】
11〜13回

【訪問入浴の利用にかかる総額】
約16,700円

要介護1で訪問入浴を利用するケースは稀だと思いますが、仮に利用する場合は介護保険の限度額内でおよそ11〜13回程度利用することができます。1回の入浴の費用は1,300〜1,500円程度かかります。

通所リハビリ

【要介護1の人が通所リハビリを利用できる日数】
約22回

【通所リハビリにかかる総額】
4万円前後

通所リハビリの費用は、基本料金+各種加算+食費やレクリエーション費用などを利用日数に掛け合わせた料金で計算されます。仮に介護保険の限度額いっぱいで利用する場合は、月に22回ほど通うことができます。では要介護1の人が、通所リハビリを限度額ギリギリで利用した場合の費用を試算してみましょう。

【通所リハを月に22回利用した場合】

基本料金(各種加算を含む)750×22+昼食日(おやつ含む)600×22+レクリエーション費300×22+日用品費用150×22=39,200円

となります。これは6時間から8時間通所リハビリを利用する場合のことを考えて計算しましたが、さらに短い時間の利用であれば利用日数を増やすことができます。

住宅改修

手すりをつけたり、段差をなくしたりするための住宅改修も介護保険の対象となります。この住宅改修は他の介護保険サービスの上限である約16,700円とは別枠で、20万円まで介護保険でまかなうことができます。

つまり、すでに介護保険で限度額いっぱいに介護サービスを利用していたとしても、2万円の費用で20万円分の住宅改修を行うことができるということです。

しかし実質「一生で」20万円までしか利用できないので、使う場合は慎重に選ばなければいけません。また介護度が違っても、介護保険でまかなえるのは一律20万円までです。

福祉用具貸与

福祉用具を購入する場合、介護度に関係なく年間10万円までの購入であれば、介護保険の対象として1割負担で購入する事ができます。

しかし、レンタルの場合は要介護度ごとの限度額の枠内で収めなければいけません。例えば、すでに他のサービスで限度額いっぱいに介護サービスを受けている場合は、新たに福祉用具を借りることができません。要介護1の人は限度額が低いのでこの点は特に注意したい部分です。

要介護1の人が、レンタルで利用する可能性が高い福祉用具の参考金額をいくつか挙げておきましょう。

・杖(3点杖や4点杖など)
自己負担額…100円程度

・歩行器
自己負担額…100〜600円程度

・介助ベッド
自己負担額…500〜3,000円程度

・車椅子
自己負担額…500〜1,500円程度

 

要介護1の人のサービスは併用も大事

要介護1の人は介護があまり必要ないと言う理由から、介護保険の限度額が低く抑えられています。しかし同じ要介護1でも、場合によっては様々な福祉用具のレンタルが必要だったり、家庭の事情でどうしても限度額を超えてサービスを利用しなければいけない状況もあります。

そのような場合は、他のサービスとの併用を考えるとうまくいく場合があります。例えば日曜日以外は家に誰もいない為、デイサービスへ通っているAさんの場合を考えてみましょう。

Aさんは右半身麻痺ですが、装具の使用にて生活のほとんどの場面において自立しています。唯一入浴だけが難しいので、デイサービスへ通って入浴している状況です。しかしAさんが利用しているデイサービスは決められた利用時間が長いことに加え、加算などが多いため週に4回までしか利用できません。出来ることなら毎日入浴したいAさんは不満です。

このような場合デイサービスの回数を若干減らし、その分訪問介護を利用したりすると介護保険の範囲内で毎日入浴することが可能になります。

このような形で、サービスを組み合わせることにより費用を安く抑えたり、利用者が満足出来るサービスを提供することができます。要介護1の人へのサービス内容を考える時には、このように介護保険の限度額が少ないことで困ることがないようにしなければいけません。

 

まとめ

今回お話しさせていただいた事は、普段現場で働いている分にはあまり必要ない知識かもしれません。しかし担当者会議やカンファレンスでは、このような知識が頭にあるか、無いかで話し合いの質も大きく変わってきます。

「良いサービスを行う為には?」と聞かれると「介護技術」と答える人も少なくはないでしょう。しかしそれに加えて今回お話しさせていただいたようなことも頭に入れておくと、様々な方面から質の高いサービスを提供することができるようになります。

実際にこの記事を参考に、現在働いている施設の利用者がどのようなサービスを受けているか、改めてもう一度見直してみて下さい。改善点を見つけるだけではなく、その打開策まで考えることができるようになり、さらに質の高いサービスの提供ができるようになるはずです。