様々な施設形態がある介護施設。転職を考えた時どのサービス形態の施設に転職をすればいいのか、迷う人も多いことかと思います。今までのキャリアを活かすなら現在勤めている職場と同じ形態の施設に転職をすればいいだけの話ですが、せっかくの転職の機会ですから今までとは違う形態の施設に転職をして様々なことを学びたいと考える方も中にはいるでしょう。

同じ介護の仕事でも施設の形態によって働き方や学べること、そして給料水準。様々なことが違ってきます。

今回は転職を考えている人が、転職した後に「こんなはずじゃなかった」と後悔することが無いように、様々な施設の特徴やそこで働くメリットやデメリットも見ていきたいと思います。

 

特別養護老人ホーム

社会福祉法人によって運営される介護施設です。施設の数が多いので、求人を見たら必ず目にすることになるでしょう。一度に50人など多くの利用者に対応しなければいけない「従来型」と呼ばれるタイプと、一度に対応する利用者が9人まで(夜間は18人)の「ユニット型」と呼ばれるタイプの特別養護老人ホームがあります。

働く際のメリット

・月に1回勉強会が開催されるので、専門的な知識を学べる

・従来型だと利用者の人数が多いので、嫌が応でも介護技術が身に付く

・社会福祉法人は経営基盤がしっかりしていることが多いので、賞与や昇給、手当がしっかりしていることが多い

・多くの場合利用者のケアプラン作成は介護スタッフが行うので、ケアマネを目指す人にとってはケアマネの業務を学べる良いチャンス

働く際のデメリット

・利用者の介護度が高く、従来型だと利用者も多いので体力的にハード

・勉強会等は休日であっても出席しなければいけないことがある

 

こんな人におすすめ

・ケアマネを目指す人

・高い給料を希望する人

・介護職として知識や技術のレベルアップを目指す人

 

介護老人保健施設

医療法人が運営し、病院から在宅に復帰するまでの中間施設となる介護施設です。主にリハビリが目的となる施設であり、半年ないし早い場合では3ヶ月で在宅復帰を目指します。しかし中には家庭の事情などで十年近く入所している利用者が数多くいる「特養化老健」と呼ばれる施設も数多く存在しています。また、ほとんどの施設では、一度に50人の利用者を対応しなければいけません。

働く際のメリット

・リハビリの専門職が常に現場にいるので、介助の際の専門的アドバイスを受けることができる

・24時間医師や看護師が常駐しているので緊急時の対応をスムーズに行うことができる

・介護スタッフがケアプランを作成することが多いので、ケアプラン作成の流れを学ぶことができる

・医療法人は経営基盤がしっかりしていることが多いので、賞与や昇給、手当がしっかりしていることが多い

・月1回勉強会を行うので専門的な知識を学ぶことができる

働く際のデメリット

・勉強会は休日であっても出席しなければいけないことがある

・特養化していない施設の場合、利用者の入れ替わりが激しく書類の更新や状態把握が大変

・人数が多いので体力的にハード

 

こんな人におすすめ

・介護職としてレベルアップしたい人

・ケアマネを目指す人

・専門的な医療、リハビリの知識を学びたい人

・給料アップを希望する人

 

訪問介護

事業所を拠点に、在宅で生活する利用者の自宅に訪問し介護を提供するサービスです。サービスの内容は料理や部屋の掃除などの生活援助と入浴介助などの身体介護に分けられます。登録制で移動時間は時給に含めない事業所もありますが、その分時給が高く、短い時間で働けたり、直行直帰ができたりする場合もあります。もちろん正社員として働く場合は移動中も時給に含まれます。

 

働く際のメリット

・事業所によっては直行直帰ができる

・1対1で利用者と関わることができるので、他の利用者に急かされる事が無い

・1対1なので体力的にラク

・時給が高いので短い時間でも稼げる

働く際のデメリット

・利用者やその家族と気が合わない場合は精神的に辛い

・1人で全てに対応しなければいけないので利用者の状態によっては大変な思いをする

こんな人におすすめ

・長時間働けない人

・ゆっくり仕事がしたい人

デイサービス

在宅で過ごす利用者が集まり、日中の決められた時間内で入浴や食事をしながら過ごしてもらう施設です。イベントをしたりレクリエーションなどを行うデイサービスがほとんどですが、中には「カジノ型」「リハビリ型」などと呼ばれ提供するサービスの内容に特徴があるデイサービスもあります。多くの場合介助者が車を運転して利用者の自宅まで迎えに行きます。

働く際のメリット

・多くは昼間のみの勤務の為、夜勤ができない人でも働ける

・多くは日曜日が休みになるため子育て世代でも働きやすい

・レクリエーションはどこも毎日行うため、レクリエーションのボキャブラリーが増える

働く際のデメリット

・昼間のみの勤務なので給料が安くなりがち

・送迎車が大きいため運転に自信がない人は大変

こんな人におすすめ

・夜勤ができない人

・日曜日は休みが欲しい人

 

ショートステイ

在宅で過ごす利用者を対象に、家族の都合などで面倒が見れない時に一時的に利用者を預かる施設です。短い場合は一泊、長い場合は1ヶ月近く宿泊される場合もあります。利用者がコロコロ入れ替わるイメージですが、同じ利用者が間をあけて定期的に利用される事も多いので、割と顔馴染みができやすいという特徴もあります。

働く際のメリット

・利用者の出入りが多いので苦手な利用者と長く付き合う必要がない

・短い時間で関係を構築し、情報収集をするスキルが身に付く

・様々な疾患や状態の利用者と関わることができ、対応を学ぶことができる

働く際のデメリット

・日々利用者が入れ替わるので最初は状態把握も大変

・どうして自分がここにいるかわからない利用者も多く、帰ろうとしたりする利用者の対応に苦慮することもある

 

こんな人におすすめ

・様々な利用者と関わり対応を学びたい人

 

グループホーム

認知症の高齢者を対象に、9人以下で集団生活を行う施設です。アットホームな雰囲気を作り出すために、施設というよりも自宅のような設備になっているところが少なくありません。食事なども職員が作り提供します。

働く際のメリット

・利用者の人数が少ないのでゆったりとした雰囲気で日中過ごすことができる

・職員が料理を作るので、介護食の事についても学ぶことができる

・施設が広くないので見守りや、環境整備がしやすい

・認知症の人に適した環境や設備が整っているので、認知症ケアについて身をもって学ぶ機会が多い

働く際のデメリット

・料理が苦手だと最初は苦労する

・夜間は1人体制のところがほとんどなので、帰宅要求や暴力行為の対応に苦慮することもある

 

こんな人におすすめ

・ゆっくりと仕事をしたい人

・介護食について学びたい人

・認知症ケアについて深く学びたい人

・1人夜勤が好きな人

 

デイケア

医療法人が運営する通所型のリハビリ施設です。病院などに併設され理学療法士などのリハビリ専門職の配置も義務付けられています。介護職は主に送迎に加え、入浴、食事、排泄などの介助を行い、レクリエーションなども行います。

働く際のメリット

・常にリハビリ専門職がいるので、専門的な知識を学ぶことができる

・病院に併設されていることが多いので、緊急時はすぐに対応することができる

・機能の維持向上を目的としたレクリエーションを行うことも多く、レクリエーションのボキャブラリーを増やすことができる

・昼間のみの勤務なので夜勤ができなくても大丈夫

・日曜日はほとんどの場合休みなので子育て世代も安心

働く際のデメリット

・送迎車が大きいため運転に自信がない場合は大変

・日中のみの勤務なので給料は安くなりがち

こんな人におすすめ

・レクリエーションのボキャブラリーを増やしたい人

・昼間だけ働きたい人

・日曜日に休みが欲しい人

・リハビリについて専門的に学びたい人

 

小規模多機能

予約があれば、デイサービス、ショートステイ、訪問介護の3つのサービスを状況に応じて提供する施設です。デイサービスとショートステイのスタッフは兼務することが多いのですが、訪問介護は別であることがほとんどです。それぞれのサービスを利用する利用者が最大25名までの登録制なので、割と顔なじみができます。

働く際のメリット

・ショートステイの最大利用人数が9人までと少ないので、利用者によっては夜中ラクな時もある

・最大25名までの登録制なので、顔なじみができやすい

・利用者の家にいる時の状態まで把握できるので、状態把握がしやすい

・1つの場所に勤めながら様々な施設携帯の働き方を学ぶことができる

働く際のデメリット

・1人夜勤なので、手が出る利用者などがいれば対応に苦慮する

・たまにしか利用されない利用者の場合、在宅での様子が分からないので状態把握が難しいことがある

こんな人におすすめ

・様々な施設形態の働き方を見てみたい人

・1人夜勤が好きな人

 

介護付有料老人ホーム

1日の流れや人員配置、職員の働き方は特別養護老人ホームと非常に似ており、介護職は利用者の身体介助や環境整備、ケアプラン作成などを行います。違うところと言えば利用者の介護度の程度や運営母体の違い程度であり、特別養護老人ホームや老人保健施設から転職する場合は、業務に慣れるのも早いでしょう。

働く際のメリット

・職員がケアプランを作成することが多いのでケアプラン作成の流れを学ぶことができる

・経営状態が安定しているところが多く賞与や昇給、手当がしっかりしているところが多い

・特養などに比べると介護度が軽い人も多く、体力的にラクな施設もある

働く際のデメリット

・特養等に比べると設備が整っていないところも多く、介助に苦労する場合もある

・介護度が軽いので転倒リスクがあるのに歩こうとする入居者も多く、その対応に苦慮することもある

こんな人におすすめ

・ケアマネを目指す人

・高い給料を希望する人

住宅型有料老人ホーム

住宅型有料老人ホームの運営の仕方には特徴があり、メジャーな運営方法は2つあります。1つはヘルパーステーションを併設し、そこからホームにスタッフを派遣していると言う形で運営しているスタイル。もう1つはデイサービスを併設し、昼間はデイサービス、夜間はホームで過ごすと言うスタイル。実際に働く場合、前者は特別養護老人ホームなどの入所施設と同じように入浴介助なども行いますが、後者は夜間のみ対応することになりますので、夜勤専属という形で働くことになります。

働く際のメリット

・夜勤専属の場合、出勤回数が少ないのでリズムに慣れると休みが多く感じる

・夜勤専属の場合、夜間手当てがつくので給料が高い

・ヘルパーステーション併設型の場合、提供時間内は1人の利用者とだけ関わるので、ゆっくりと仕事ができる(ただし、そうでない施設もある)

働く際のデメリット

・夜勤専属に慣れるまでは毎日眠気との勝負になる

・デイサービスにいるときの状態が分かりづらく、家族などに状態を聞かれた時に説明に困る

・ヘルパーステーション併設型の場合、その仕組みを利用者本人に理解してもらうのが難しい(提供時間内は他の利用者の対応ができない等)

こんな人におすすめ

・プライベートを充実させたい人

・給料アップを目指す人

・周りに急かされずゆっくりと仕事をしたい人

サービス付き高齢者共同住宅

まるでアパートのような作りで自由に出入りができる所、デイサービスを併設し夜間のみ各居室で過ごすというスタイルをとっている所などがあります。前者は呼ばれた時のみ対応する形、後者は夜勤専属で働くと言うスタイルになります。また住宅型有料老人ホームのようにヘルパーステーションを併設して、そこから職員を派遣しているという形で運営している所もあります。

働く際のメリット

・夜勤専属の場合出勤回数が少ないので休みが多く感じる

・比較的介護度が軽い人が多いので、体力的にはラクであることが多い

・管理者の資格要件がないので誰でも管理者になる事ができる

働く際のデメリット

・細かい料金設定がされていることがあり、他の施設で働いていた場合、そのシステムに慣れるまで大変(シーツ交換1回で〇〇円など)

・細かい人員基準が決められていないので夜間は1人で20人以上など多くの利用者を見なければいけない事がある

こんな人におすすめ

・管理者をしてみたい

・プライベートを充実させたい

 

訪問入浴介護

各家庭を訪問し、入浴が難しい高齢者の入浴を行うサービスです。通常は看護師1人と介護スタッフ2人でチームを組んで1日5〜10件程度の家庭を訪問し入浴介助を行います。入浴機材は車に乗せて持ち運び、各家庭の一室に組み立てて入浴を行います。

働く際のメリット

・サービスの内容がはっきりしているので、難しい要求をされることがほとんどない

・移動時間や入浴設備の組み立てなどの時間が多く、利用者と関わる時間もさほど多くは無いためコミニケーションが苦手でも働きやすい

・1人の利用者に対して多くのスタッフで対応できるので介助中は安心

・昼間のみの勤務なので夜勤ができない人でも働ける

働く際のデメリット

・移動用の車が大きいので運転に自信がない場合は苦労する

・機材が重いので持ち運びが大変

・室内で犬や猫などの動物などを飼っていると頻繁に邪魔しに来るので意外と厄介

こんな人におすすめ

・1人で利用者の対応を行うことに不安を感じている人

・夜勤ができない人

ケアハウス

民間企業だけではなく社会福祉法人や医療法人も運営できる介護施設です。特別養護老人ホームなどと違いが分からない様なところ、一見するとただのアパートにしか見えないところ(アパートタイプ)など、同じケアハウスでも施設によって違いがあります。前者の場合は特別養護老人ホームなどと同じような働き方になりますが、後者の場合は食事の時以外はコールで呼ばれた時のみ対応などと言う働き方になります。

働く際のメリット

・特別養護老人ホーム等と比べると人数が少なく介護度も低いので、体力的にはラクなことが多い

・後者の場合はコールで呼ばれた時のみ対応になるので、右から左からと急かされる事が無い

働く際のデメリット

・アパートタイプのケアハウスの場合、居室にいる間の利用者の状態把握が難しい

・アパートタイプのケアハウスの場合、居室で何かあっても早期発見できないことがある

こんな人におすすめ

・ゆっくりと仕事がしたい人

・体力に不安がある人

まとめ

以上、13の施設形態の特徴とメリット、デメリットを挙げてみましたが施設選びの参考になりましたでしょうか?紹介した数が多いので、さらに混乱させてしまったかもしれませんね。そこで、最後に後悔しないための施設選びのコツを紹介します。

方法は簡単です。「5年後、10年後にどのような自分になりたいかを考える」ただそれだけです。

ケアマネージャーとして働いている、良い給料をもらいながらバリバリ現場を仕切っている、昼間のみ働いてアフターファイブを満喫する生活、様々な理想の未来が思い浮かぶ事でしょう。それらの未来を現実の物にするには、今どの施設へ転職する事がベストでしょうか。今回紹介した施設形態のメリットやデメリットをもう一度見直してみて下さい。