2025年-デイサービス多様化の時代へ
団塊の世代が75歳以上となる2025年。その時のデイサービスは、どのような変化を遂げているのだろうか?現在のデイサービスは、体操、折り紙、塗り絵、集団レクリエーションといった内容が充実し、現在の後期高齢者が育ってきた文化、環境に合わせて構成されたものだ。今後、団塊の世代が後期高齢者となった時に、このようなデイサービスを受け入れてくれるかは疑問だ。趣味が多様化し個を尊重する現代では、サービスに求める内容も人それぞれとなり、そもそも他人に合わせた集団行動自体を嫌がる傾向すらある。

今後、介護保険の適用範囲が狭まっていく中で保険外のサービスが拡大し、デイサービスの提供内容も多様化していくだろう。介護事業所の中でも集客競争が激化し、事業として生き残っていくためには、「団塊の世代」のニーズに合った、あるいは「個」のニーズに合ったサービスを提供できるかが大きなポイントとなる。今回は、そんな時代を見据えて、利用者のニーズを見事に捉えたサービスを提供している「美スマイル」を取材してみた。

 

「美スマイル」のサービス

美スマイルは、東京都で5店舗を展開する美容に特化したデイサービスだ。高齢者の方の「歳を重ねても、綺麗であり続けたい」という思いを叶えるため、レクリエーションとして、フェイシャルエステ、高齢者向け整体、ヨガ、ネイル、メイクアップ等の”美”に関連するサービスを提供している。追加費用がなく、介護保険内サービスでの利用ができるため利用者の経済的な負担も少なくなっている。当然、一般的なデイサービスと同じで、送迎から始まって、健康チェック、機能訓練プログラムがあるが、特徴的なのは提供するレクリエーション内容の多くが「美」に関するということだ。さて、「美スマイル」はどういった経緯で美に特化したデイサービスを提供しているのだろうか?

 

整体、リフレクソロジーの事業から、介護事業の道へ

--美容介護デイサービスを、始められた経緯を教えてください

以前より、美容・健康・癒し業界で働く技術者の養成、整体サロンの運営を行っています。介護事業は5年前から初めていますが、その当時、福祉の現場で心が痛くなる事件がありました。それを耳にした社長が「高齢者を支えるサービスが、それでよいのか?自分達で行える介護事業をやろう」と考えたのがきっかけです。

私たちは、整体・リフレクソロジーの事業については、海外展開もしており、ノウハウがありましたし、それがもたらす身体的な効果を実感しておりました。高齢者の方にも整体・リフレクソロジーを提供することで、身体・精神機能の改善をしていけると思い、デイサービスの提供を決めました。

 

--サービスを提供する上で何を大事していますか?

それは「コミュニケーションを取る」ということです。ご利用者様には、一人暮らしでデイサービスでしか話をする相手がいないという方もいますし、ご家族と同居しているご利用者様にも、ご家族が忙しく、なかなか話をする時間のない方もいらっしゃいます。そのような方が美スマイルへ通っていただき、他のご利用者様や職員と話をしていただく場である、「コミュニティを作る」手助けをしたいと思っています。

例えば、美スマイルには、機能訓練以外に、「エステ、ネイル」といった美に関するサービスを提供しており、このメニューが一つのコミュニケーション、コミュニティの創出につながっています。 エステ、ネイルが終わったご利用者様に「綺麗になりましたね」と声をかけます。そうすると笑顔になってくださったり、他のご利用者様から「肌がつるつるになったわね」と声をかけられる場面もあります。

それがきっかけで新たな人の輪が作られ、継続して通うことにつながり、最終的に身体機能向上に結びついていると思います。リフレクソロジー(エステ・ネイルなど)は機能訓練とは無縁と思う方もいるかもしれませんが、しっかりと機能向上にも結びつく重要な介護サービスだと実感しています。

 

--通常の機能訓練は行わないのでしょうか?

もちろん美スマイルでは、機能訓練も行っています。この機能訓練は繰り返し行うことが大事で、継続しなければ、機能向上ははかれません。ということは、まずは「通っていただく。通いたいと思ってもらえる」ことが機能向上の第一歩と考えています。

私たちも体のためにスポーツジムに行ったとしても、楽しくないと続かないですよね。楽しいと思ってもらえる環境作りが大事で、その一つがコミュニケーションだと思います。「人と話せるから楽しい、あの人と話せるから行きたい」と思っていただけるような、デイサービス作りを大切にしています。

 

--職員間でもコミュニケーションが多い職場なのでしょうか?

職員間でも同様に、しっかりコミュニケーションを取るように話をしています。私たちは、チームでサービス提供を行っています。お互いにコミュニケーションを取っていれば、1日5、6名のスタッフで10名前後のご利用者様をサポートしようという時に、阿吽の呼吸でケアが行えます。 時には、アイコンタクトで立ち上がりの不安定なご利用者様が立ち上がろうとしているのを、近くの職員に知らせるということもできます。これは日頃からコミュニケーションを取っていないとできません。

他にも、職員同士のコミュニケーションを通じて、美スマイルの目的がどのようなものであるのか、再確認することにもつながっています。目的が統一されていれば、どのようなサービスを行っても迷うことはありません。入職者にも初期の段階からコミュニケーションの重要性について、職員教育を行い、理解してもらうようにしています。

 

--ご利用者様の中には、コミュニケーションが苦手という方もいると思います。そのようなご利用者様にどのような対応をしてらっしゃいますか。

ご利用者様の中には、認知症などの精神的な病気を患っていらっしゃる方もいます。どうしても人の輪に入るということが難しいとご利用者様もいます。 その場合、職員が1名付き添うようにしています。付添った職員が他のご利用者との橋渡し役を行い、徐々に打ち解けていくようにしています。 ご利用者様によっては、人の輪に入るのに2ヶ月かかった方もいらっしゃいました。その間は、職員が1名付き添いサービス提供にあたりました。

 

--美スマイルが提供するサービスで、効果が実感された事例などお聞かせください

精神的な効果を実感した事例としては、人の輪に入れなかった精神的な病気を患っている方が、最初は職員が1名付き添いサービスを提供していました。様々なコミュニケーション手段を通じて、職員が橋渡し役となり、他のご利用者様とも会話をすることができるようになると、笑顔も徐々に増えてきました。 担当していたケアマネジャーの方からも、「笑いもせずに、他人を受け付けない雰囲気を出していた人が、笑う事も増え、雰囲気も変わった。別のデイサービスにも馴染めず、通うのを止めてしまったのに、美スマイルに通うようになって人が変わった」と言ってくださりました。

身体的な効果を実感した事例としては、最初は介助がないと歩けない方で、ヘルパーと買い物に行っても、50mの距離を1時間かかり歩いていたご利用者様がいました。 その方は、美スマイルに週3回通っていただき、機能訓練をしたところ、3ヶ月もすると介助も必要なく、一人で買い物に行けるようになりました。

この時は、買い物へ一緒に行っていたヘルパーから、「美スマイルのデイさん、元気にしすぎ!」という冗談も飛び出すくらい、喜んでくださいました。 このような感謝の言葉を頂くと1番やりがいを感じる瞬間で、とても嬉しく思います。職員も「ありがとう」という感謝の言葉がやりがいになり、仕事の原動力になっていると感じています。

 

--今後の展望についてお聞かせください

5年前に介護事業をスタートし、1つの店舗からスタートし、「私の地域でもやってほしい」というありがたい要望に応える形で、店舗を増やしていき5店舗のデイサービスを運営しています。事業拡大においては、例えば1年で10店舗増やすというような計画を立てるのではなく、1店舗ずつしっかりとしたサービスが提供できるようにすることを前提とし、計画しています。

事業の拡大はスタッフがいないと出来ないことなので、スタッフ育成にも力を入れています。

2016年5月より、サービス付き高齢者住宅である、「アクティブシニアタウン町田」をオープンしました。これは、東京都町田市にも美スマイルの御要望を頂いたということもありますが、「なんでもチャレンジしていこう」という精神があったため、当社初めてとなるサービス付き高齢者住宅を始めることを決めました。

ありがたいことに、社長もこの考えを大切にしてくれており、チャレンジしようという考えでいます。私たちのやりたいことをやらせていただいているので、良い社長の下で働いていることを痛感しています。今後も、しっかりとしたサービス提供を行いながら、新しいことや職員の夢にチャレンジしていきたいと考えています。

 

ライターからヒトコト

「美スマイル」には、サービスを提供している背景に利用者とのコミュニケーションを大切にする文化がありました。 「美」を提供する個性あるサービスの展開や、 社員育成に力を入れているのは、利用者とのコミュニケーションの密度を高めたいという思いからきています。 1対1対応のサービスメニューが、他のデイサービスと比較して多いのも、そういった考え方に基づいているのでしょう。

「美」を切り口としたサービスは、コミュニケーションを大切にするというシンプルで、介護サービスの本質を捉えた考えから導かれたものです。 今後、介護サービスが多様化していった時に、単に個性的なサービスだけでは生き残れません。 利用者が何を求めているのか、何をしたら喜ばれるのか、考えていく必要があります。 サービスの原則である「利用者目線」を貫く中で、変化する個人のニーズに捉えた企業が支持される、そんな未来を「美スマイル」の取材を通じて垣間見ることができました。

ライタープロフィール

森裕司

福祉系学校を卒業し、11年医療ソーシャルワーカーとして医療機関に勤務。その後、一生を通じた支援をしたいと思い、介護支援専門員へ転身。 現在34歳。居宅介護支援事業所の管理者・ケアマネージャーとして在宅介護の相談・支援を行っている。

保有資格:社会福祉士、精神保健福祉士、介護支援専門員
Facebook:http://www.facebook.com/MoriYuji314

 

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美容介護デイサービス 美スマイル

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本社: 〒195-0053 東京都町田市能ヶ谷1-6-11 小田急マルシェ鶴川3F

 

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