躍進する保険外サービス

脳梗塞を患った人達は退院した後、どこへ向かうのだろうか?

株式会社ワイズは、日本で唯一の脳梗塞、脳出血など脳血管疾患の後遺症に特化したリハビリ施設を運営する会社だ。

利用者が100%自己負担の保険外サービスであるにも関わらず、当サービスが圧倒的な支持を得ている理由は、既存の施設では対応出来ていない利用者の強いニーズに応えているからに他ならない。 開設からわずか1年半という期間で1,000人を超える利用者にリハビリを提供しており、首都圏のみならず全国各地から、この脳血管疾患特化型リハビリ施設へ訪れている人がいる。

介護関連のビジネスは今後、社会保障費縮小の流れで苦境に立たされる事業所が増えてくるだろう。「介護保険」や「医療保険」という枠組みに捕らわれず、新たな収益源を確保できるかが生き残りの鍵だ。 そして、保険外サービスでは「利用者がお金を払ってでも解決したいクリティカルな課題」を解決することが何よりも重要だ。

株式会社ワイズの取り組みは、保険外サービスの新しい可能性として、介護施設や医療施設の良いモデルを提案してくれている。介護に携われている方、これから介護ビジネスを立ち上げようと考えている方は特に、 急成長中のベンチャー企業ワイズから刺激を受けて欲しい。

 

脳血管疾患の後遺症に悩む人たちの現状

脳血管疾患の患者は、日本に約150万人存在し、この数は2025年には倍を超える300万人となると言われている。

脳血管疾患患者の約6割には後遺症が残ってしまうため、例えば脳卒中に罹ってしまった場合は、まず病院での治療により全身状態を管理しながらリハビリを行い、その後も、日常生活の中でリハビリを継続する必要がある。 現行の制度では、病院でリハビリを受けられる期間は150日(高次脳機能障害を伴う重度の場合は180日)以内とリハビリテーション対象疾患規定にて決められているため、 リハビリを患者が望んでも、医療保険を利用して治療を受け続けることはその日数の範囲内に留められる。(治療継続により状態の改善が期待できると医学的に判断される場合を除く)

脳血管疾患患者は、70代以降増えるというものの60代以下の若年での発症も全体の3割程度を占める。若年の現役世代の発症者から支持を得ているのが『脳梗塞リハビリセンター』なのだ。スポーツ選手や音楽家、プログラマーなど身体機能が制御されてしまうと、仕事に支障をきたすような職種の方も沢山おり、 アンケートでは脳梗塞後に仕事を変えた人の割合は約6割に及ぶという。

彼らが、現状の保険適用内でのサービスを利用して、退院後にもリハビリを継続するための方法は大きく3つある。

「外来通院」「デイサービスなど介護施設への通所」「訪問リハビリ」だ。

いずれの方法でも利用者の経済的な負担を和らげ、「日常生活動作(ADL)の維持」を目指したリハビリは行えるが、 それ以上の「改善」するための専門的なリハビリを受けることは、保険内のサービスでは難しい。

ADLは脳血管疾患患者に関わらず後遺症を持った方に共通して使える回復指標であるが、例えばエンジニア職の人にとっては指先の感覚が無くなりキーボードの操作ができなくなってしまうことが、 その人の人生にとって致命的な痛手であることは容易に想像出来る。足腰を使うような営業職の人にとっては、日常生活動作は勿論、フットーワーク良く歩き回り、 以前のように足で稼げるような状態を目指してリハビリに向かいたいというニーズは当然の願いだ。

既存の保険サービスの枠内でリハビリコースを組み立てると、例えば、病院外来で医療保険を利用してリハビリを受けた場合は、 週に1回40分程度のリハビリを受けることができるが、個人の症状をカウンセリングして、それぞれの症状に合ったリハビリを施すには圧倒的に時間が足りない。

また、介護保険を利用して、介護施設でリハビリを受けることができても、多くがグループリハビリ中心のプログラムとなっており、個々の症状に対応した個別リハビリの時間が短い。 訪問リハビリでは、利用者宅で治療を施すため、利用できる機材も限定的で、リハビリもその限りとなる。

このように、保険内のサービスでは「改善」を求めている患者の要望に応えてきれておらず、仕事復帰のために、身体機能の回復を強く願う人達の行き場が無い状態だ。

実際に、「脳卒中経験者の生活調査」アンケートでは、半数以上が「退院後のリハビリ環境に【不充分】」だと感じると応えている。 その結果、上記の3つにあてはまらず、「何もしていない」または「自宅で自己流」の治療をしている人が合計53%もいるのだ。

当たり前のことであるが、保険内でのサービスでは利用者の金銭的負担は少なくなるが、全てのケアに対して適用されない。しかし、自分でお金を払ってでも、身体機能を回復させたい。 そういったニーズは確かに存在するが、社会保障縮小の流れの中、保険内サービスでやれることには限りがあるのが現実だ。

 

パーソナルな課題に応えるためのマンツーマンサービス

そういった状況下の中、ワイズは脳梗塞、脳出血など脳血管疾患の後遺症に特化した完全にマンツーマンのリハビリサービスを運営する。

これまでの病院や介護の施設で提供されている「日常生活動作(ADL)の維持」を目指すリハビリから、後遺症を「改善」し、自分が「こうなりたい」という状態までの回復を目指す言わば 「自己実現型リハビリ」を施す同施設には、脳血管疾患の後遺症に特化した洗練されたリハビリプログラムがある。

プログラムには「カウンセリング」「プランニング」「リハビリ実地(鍼灸 / PT・OT・STによるリハビリ / トレーニング)」「フィードバック」と4つの段階がある。

それらの全てがマンツーマンで行われ、個人個人の症状に最適化された無数のプログラムから、その人の希望する改善レベルを目指して最短の施術が行われる。 マンツーマンにこだわる理由を尋ねるとワイズ代表の早見氏はこう応えた。

脳梗塞の後遺症はまさに十人十色の課題があり、「維持」をするためならパターン化できるが、「改善」を目指すならマンツーマンでしか解決しないと考えている。

同社は、脳梗塞リハビリセンターを開設する以前に、リハビリに特化したデイサービスを運営していた。
しかし、運営してみると、利用者の「もっとじっくりしたリハビリを受けたい」「自分の症状や状態に合ったリハビリを受けたい」という声を直に聞くことになり、 それらの要望に応える施設として開設されたのが、脳梗塞リハビリセンターだ。

実際に、グループリハビリに取り組まれてきたからこそ、マンツーマンでしか解決できない課題があり、利用者自身がそれを強く望んでいるケースがあることをよく知っているのだろう。

 

大学予備校のように目標から逆算したプログラム

代表の早見氏がこだわるパーソナルなリハビリとは、単に1対1のカウンセリング施術に留まらない。 同施設では必ず、「目標はなんですか」と利用者に聞いているのだという。

個人の症状に対してパターン化されたプログラムを提供するのではなく、利用者の目指す状態に合わせて、必要な手順を導き出し、 各専門家がコミュニケーションをとりながら、その利用者に最適化されたリハビリを行うのが同施設の特徴だ。 それを可能にしているのが、ワイズの蓄積された知見だ。10,000回以上のリハビリ実績から、個々の利用者にあわせて、どのようなリハビリを行うことで、その人の望む状態に最短でたどり着けるかがわかるのだ。

図の評価シート/評価メソッドを見てみるとわかるが、まるで洗練された予備校のように、細分化された「リハビリプロセス」が授業のようにコース化され、 途中経過も含めて「目標」にいつ、到達できるかが可視化されている。

言葉にすると安っぽくなってしまうが、当事者にとってリハビリ活動は大変な作業だ。今まで出来ていたことが急に出来なくなり、思い描く身体活動と現実の動きにギャップを感じそれがストレスとなる。 1つ1つのリハビリの意味・目的を明確にし、段階的な目標を立てて、自分が確実に目標へ近づいていることがわかれば利用者はどれほど勇気づけられるだろうか。

 

鍼灸治療が治療の幅を広げる

脳梗塞の後遺症リハビリに特化しているため、他のリハビリセンターと比較すると個別のプログラム内容にも個性がある。 同施設では、ほとんどの方のリハビリプログラムの序盤に鍼が使用されるのだという。

創業時より鍼灸接骨院を5つ経営しており、そこでの知見がリハビリ内容に活かされているのだ。 鍼を使うことで、利用者の可動領域を広げ、その後のリハビリの幅を拡大する大きな役割を果たす。

WHO(世界保健機関)が脳卒中後遺症への有効性を認めていることから、ヨーロッパでも広まりつつある。日本でも一部の大学病院などで使われ、高い効果を発揮しているが、診療報酬が低い、または、保険外のサービスであるため、なかなか普及しないのが現状だ。 しかし、固まった筋肉をほぐし、少しでも稼働領域を拡大することは、利用者の目標とする状態へ近づけるために、必要とされるステップの1つなのだ。

 

プロフェッショナル達が高みを目指して集まる

右:澤幡鍼灸師、左:新宿センター長 福田理学療法士(「初台リハビリテーション病院」より4月に移籍)

利用者の目指す回復状態に近づけるためには、必要なリハビリの専門性が高くなる。 理学療法士(PT)、作業療法士(OT)、だけでなく言語聴覚士(ST)、鍼灸師、とそれぞれプロフェッショナルを相当数雇う必要があり、施設にとってはかなりの採用難となるはずだ。

他の施設では、これらの専門職を充分に採用すること自体が困難なことであり、特に言語聴覚士などはどの病院、介護施設でも欲しがる希少人材だ。 マンツーマンでそれぞれの専門家をつけたら、他の事業所と比較しても採用の難易度は上がるだろう。

しかし、同社では5人の言語聴覚士を抱えており、他の職種も潤沢な配置になっている。これは彼らの施設で働きたいとエントリーしてくる人が後を絶えないためだという。 一概に言えないが、彼らの施設ではより発展的なリハビリを施せる事がエントリー者の主な志望動機だ。

 腕利きのスタッフであるならなおさら、「もっとこの人のリハビリを続けたい」と思い、自分が持っているスキルを最大限発揮できる環境を求めているだろう。 しかし、病院では退院までの決まった日数でしかリハビリが行えない。 同社にたどり着く応募者は、自分のスキルを最大限発揮し、患者の希望を実現できる場所を求めて彷徨っていた、自信家であり、腕ききのプロフェッショナル達なのだ。

 

今後の展開 - 拡大する保険外サービスによるイノベーション

躍進中のワイズだが、供給量はまだまだ足りていないと早見代表は言う。 現状は全国からの問い合わせがあると、利用者に遠方からわざわざ足を運んでもらっているが、それも利用者の身体的な負担を考えると最寄りの場所にないと負担だろう。

そこで今後の展開としては、出店規模を拡大するため、ライセンス契約を結んだパートナー先を増やしていく予定だ。 培かってきた彼らの独自メソッドや、ブランドを活かした集客支援、管理システムが利用できる代わりに、ライセンス料が支払われるモデルだ。 既にいくつかの病院から話が来ているのだという。

ワイズのメソッドは、各方面から集まるプロフェッショナル達が醸成した、個人に最適化されたリハビリプログラムである。 彼らの手法が広まれば、保険外サービスのリハビリ・ビジネスとして、新しい風が吹き込むだろう。

今後、社会保障費の縮小により保険外サービスが増え、提供される内容の多様化が期待される。やはり、バラエティーある個々のニーズに対して応えていくには民間の仕組みが基本となるのだろう。

「日本の医療・介護保険制度は素晴らしい制度だと考えている。海外ではこれほど整えられた制度はそうそうない。万人が保険の恩恵を受けやすい仕組みだ。 しかし、全てのサービスを保険内で受けることはできない。パーソナルな要望に応えていくには保険外のサービスを組み合わせていく必要がある」

と、代表の早見氏は語る。

今まさに分水嶺に立っている介護関連ビジネスで、既存の事業者では応えきれていない隠れたニーズを発見したのが脳梗塞リハビリセンターだ。 彼らのビジネスだけでなく、既存の保険サービスだけでは解決できない課題はまだ数多く残されている。

ワイズも最初は介護保険の枠済みの中でサービスを提供していたが、患者と接っしている中でヒントを得て、今のビジネスが出来上がった。 これから日本では「保険外のサービス」が拡大し、これまで応えることのできなかった多くの課題が解決できるようになるだろう。 そのイノベーションは、最も利用者のニーズを知っている既存の介護事業者たちから生まれるだろう。

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