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介護職を疲弊させるモンスターファミリー、その実態と対策は

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適切な苦言や苦情は、提供するサービスを見直すよいきっかけとなるものです。しかし、行き過ぎた要求はときに理不尽なものと化し、働く人の心を疲弊させ退職まで追い込むこともあります。

介護業界にはモンスターファミリーと呼ばれる困った家族が存在します。通常の苦情やクレームとは異なる実現不可能な無理難題を突きつけ、それが実行されないとまた騒ぎ出す、そういった人たちのことです。対応を誤ると事業所にとって大きな痛手となりかねない、モンスターファミリーの実態と対策について紹介します。

 

介護業界にはびこるモンスターファミリーの実態

モンスターファミリーに明確な定義は存在しません。この言葉の派生元であるモンスターペアレントの定義は「自己中心的・非常識・理不尽な要求を学校に対して突きつける保護者」となっています。これをもとにモンスターファミリーを定義づけるならば「自己中心的・非常識・理不尽な要求を介護事業所に対して突きつける家族」といえるでしょう。

それでは、モンスターファミリーの実例をいくつかみてみましょう。

まず、施設の設備や食事に関するクレームです。現在入居中の部屋が気に入らないから別の部屋に変えてほしい、ここの食事は合わないから自分の家族だけ別の食事に変更してほしいといった要求です。

次に、ショートステイやデイサービスでよく起こる送迎時間に関する要求があります。通常の送迎時間よりも早く迎えにきてほしい、帰る時間は夜遅くにしてほしいといった要求です。

さらに、利用者本人に関するものがあります。施設に入居中の利用者の体調を1日に数回必ず連絡することを要求してきたり、本人の状況を理解せずに無理な介護を要求してきたりするケースです。モンスターファミリーたる所以は、これらの要求が自分本位で他の利用者のことを考えていないというだけにとどまりません。問題なのは、これらの要求が一度では終わらず、むしろ要求を満たすごとにますますエスカレートしていく点にあります。

先ほどの例でいえば、無理に部屋の交換を行った後も、新しい部屋に不満を漏らし数度に渡って部屋の変更を要求し続けるケースです。あるいは送迎の時間がどんどん早くなっていくといったケースも考えられます。このように、モンスターファミリーの特徴は単に無理難題を押しつけてくるだけでなく、その要求がエスカレートしていく点にも特徴があるといえるでしょう。

 

行き過ぎた対応を求める家族には毅然とした対応も必要

こうした問題のある家族に対して、介護職だけで対応するのは限界があります。一度相手の理不尽な要求をのんでしまうと、次からはさらに理不尽な要求を突きつけてくるかもしれません。

また、一度悪しき先例を作ってしまうと、その後ほかの家族から同様の要求があった場合にも応えなければならなくなります。一度誰かの家に早く迎えにいってしまうと、ほかの家族の同様の要望に対しても応える必要が出てくるのです。要求をのむべきかどうか、現場では判断に困るケースもあるでしょう。そのような場合には、必ず事業所の管理者と相談することが大切です。サービスとして提供できるのはどこまでなのかを判断するのは管理者の責務です。

そして、理不尽な要求に対しては管理者からノーと伝えることで介護職に対して、また家族に対して明確な線引きをすることができます。その一方で、相手の要求が本当に理不尽なものか、介護事業者は考える必要もあるでしょう。これまでの介護業界の常識でできないと決めつけるのではなく、できるかもしれないと考えてチャレンジすることは、事業の発展につながります。できないをできるに変えるのは、介護現場ではよくあることです。

 

本当に「モンスター」なのか?見直したい事業所の常識と規則

介護事業は長らく需要過多であり、苦労せずとも利用者が集まってくる状況でした。しかし、介護保険制度が始まって20年近くが経ち、この構造も変化しつつあります。利用者はサービスのよいデイサービスやショートステイを求めるようになりましたし、介護事業所側も利用者を集めるためにさまざまな工夫を凝らすようになっています。

古い常識にとらわれたままの介護事業所では、この先通用しなくなっていくでしょう。苦情やクレームには必ず原因があります。多くの場合、その源には介護が必要な利用者のことを大切に想う家族の気持ちがあります。毎日利用者の体調を知りたいといった要望は、その典型的な例でしょう。このような気持ちは家族としてごく自然なものであり、介護事業者としてはできる範囲で対応したいものです。1日数回決まった時間に連絡することは難しくても、1日に1度相談員が退勤前に情報を提供するといった方法なら可能かもしれません。あるいはその日の体調データをメールで送るという方法も考えられます。

苦情には業務改善のためのヒントがたくさんあります。その点を見逃してむやみに「モンスター」のレッテル貼りをしてしまうと、家族の要望を一切聞き入れない偏狭な介護事業者となってしまいます。家族の訴えを頭ごなしに否定するのではなく、まずはその要求をしっかりと聞いてみましょう。その上で、自分たちは家族に対して何ができるのかを管理者も含めて考えることが大切です。

介護サービスは、長らくその対象者を介護が必要な人に限定してきました。それは間違いではありません。しかしながら、通所介護や訪問介護などの在宅系サービスには、家族に対するレスパイトケア(介護している家族が休息をとれるようにする支援)の側面があることも忘れてはならないでしょう。介護サービスは利用者と介護職との関係だけで作られるものではありません。それは家族も含めたより包括的なものであり、家族へのケアの側面を省いて語ることはできないものです。クレームの理由を知ろうとするのはその第一歩であり、家族との信頼関係を形成するための欠かせないステップではないでしょうか。

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