介護の求人やお役立ち情報を探すなら「介護ワーク」

あなたは大丈夫?知っておきたい高齢者虐待の基礎知識

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

厚生労働省の調査によると、平成27(2015)年度の虐待件数の合計は1万6384件にも上ります。この中で介護施設従事者による虐待は408件と、1日に1件は日本のどこかの施設で虐待が起きている計算になります。平成26年度に比べて100件以上も増加している現状は、介護に携わる人すべてにとって由々しき事態といえるでしょう。介護士による高齢者虐待を減らすためには、虐待に関する知識をすべての介護従事者が共有し自覚することが必要です。虐待を防ぐために自分たちができることについて考えてみましょう。

 

高齢者虐待に該当する5つの行為

どのような行為が高齢者虐待にあたるかは、平成18(2006)年から施行されている「高齢者に対する虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」(以下高齢者虐待防止法)に明記されています。同法律によれば、高齢者虐待は5つの行為に分類されます。

1つ目は身体的虐待です。殴ったり蹴ったりして高齢者にケガをさせる行為がこれにあたります。

2つ目は介護放棄です。ネグレクトと呼ばれることもあります。介護を必要な人に対して、適切なケアを提供しないことを指しています。高齢者を衰弱させるような食事制限や、自身で寝返りが打てない、移動ができない人を長時間故意に放置する行為などです。

3つ目は心理的虐待です。高齢者に対する暴言や無視、心理的外傷を与えるような言動を指します。

4つ目は性的虐待、そして5つ目は経済的虐待となります。高齢者にわいせつ行為を行うこと、高齢者の財産を不当に利用するような行為です。このように書くと「自分には関係のないことだ」と思う人もいるかもしれません。

しかし実際には、高齢者虐待は非常に身近なところにあります。誰でも一歩間違えれば、こうした行為を起こしてしまう危険性が介護の現場には存在します。そのことは先の虐待件数からも明らかでしょう。すべての介護士が明日は我が身と考え行動しなければ、高齢者虐待を防ぐことは困難なのです。

 

虐待とあわせて知っておきたい身体拘束

高齢者虐待とあわせて知っておきたいのが、身体拘束についてです。身体拘束はかつて、必要悪として多くの介護施設で実施されてきました。2018年時点で、多くの病院や施設で身体拘束が行われているのも事実です。

しかしながら介護施設においては「緊急やむを得ない場合を除き」身体拘束を行ってはならないという、明確なルールが存在します。身体拘束は高齢者虐待法における身体的虐待に該当しており、同ルールを守らずに身体拘束を行っていた場合、高齢者虐待とみなされることもあるので注意が必要です。

「緊急やむを得ない場合」とは以下3つの条件すべてを満たす状況のことを指します。

1つ目が切迫性です。高齢者本人または他の人の生命や身体が危険にさらされる可能性が著しく高いという状況になります。

2つ目は非代替性です。身体拘束以外には方法がないことを指します。

最後は一時性で、身体拘束を行うのが一時的であることです。

緊急性が高く、身体拘束以外に方法がなく、なおかつ一時的に行うという条件を守って初めて身体拘束を行うことが認められるのです。身体拘束にはさまざまな種類のものがあります。つなぎ服やミトンの手袋などは昔ながらの拘束衣ですが、それらを使用するだけが身体拘束ではありません。自分で立つことのできない椅子に座らせたり、柵でベッドを囲ったりするのも身体拘束に該当します。「柵は4本使わなければ大丈夫」と考えている事業所もありますが、自分でベッドから降りられない環境にしていれば、柵の本数に限らず身体拘束です。

このように、身体拘束に対する事業所全体の意識が薄く、知識のない新任の介護士が意図せずに加害者となってしまっているケースもあるので注意しましょう。

 

高齢者虐待を防ぐためにできること

施設の介護士による高齢者虐待を防ぐためには、介護士自身が虐待に関する正しい知識を身につけることが欠かせません。特に身体拘束については、介護保険が始まる以前には多くの介護施設で日常的に実施されていた行為でもあり、悪しき風習としてそのまま根付いてしまっているケースも存在します。

こうした状況を打破するためには、現場で働く介護士一人ひとりが正しい知識を持ち、間違っていることは間違っていると声を上げる勇気が必要です。先に挙げた高齢者虐待に関する調査によれば、虐待の発生要因の1位は「教育・知識・介護技術等に関する問題」が65.6%と圧倒的であり、正しい知識を持たないままに介護をすることの恐ろしさが垣間見えます。

また、介護士を孤立させない仕組みづくりも重要です。虐待は未熟な知識や技術によって起こるだけでなく、他人の目がない場所でも起こりやすいといえます。とりわけ、身体的・精神的に大きな負担となる夜勤帯は、人員も少なく虐待が発生しやすい環境にあるといえるでしょう。

このような状況を改善するために人員不足解決は緊急の課題ですし、介護士が自身の不安や課題を素直に打ち明けられる環境づくりも欠かせません。お互いに監視し合うのではなく、協力し合える環境をつくることができれば、技術的な問題も指摘しやすくなりますし、業務中の不安を打ち明けることも容易になります。介護士同士が話し合って問題を解決できる環境をつくるのは事業所の仕事です。虐待を介護士個人の問題として捉えるのではなく施設全体の問題として認識することで、より抜本的な解決策が見つかるのではないでしょうか。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

関連記事

ピックアップ記事

  1. 「介護職がつらい」。人によって理由はさまざまですが、勤務時間が長い、休みが少ない、夜勤がある…
  2. 日本は超高齢化社会に突入し、介護が社会的な課題となっています。特に認知症高齢者の介護体制を整…
  3. 「ヒヤリハット」とは、事故にまではならなかったものの、事故に直結してもおかしくない「ちょっと…

最新の投稿:お悩み解消

ページ上部へ戻る