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介護福祉士の処遇改善はこの先どうなる?

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介護士の処遇改善は、介護業界で長年の課題といえるものです。2017年4月には1万円の処遇改善加算が実施されました。2018年に介護報酬改定が控えているタイミングでの実施には、介護職員不足に対する強い危機感が見て取れます。

厚生労働省発表の資料によれば、介護職員の平均給与額は月に約26万円(賞与含む)で、全産業平均の36万円に比べて10万円も安くなっています。その一方で、勤続年数も全産業平均が10.6年なのに対し、介護職員は6.1年と短いのも特徴です。介護士が長く安定して働ける環境は作り出せるのでしょうか。今後の処遇改善策をもとに考えてみましょう。

 

2017年4月から施行されている新しい処遇改善加算のおさらい

2017年4月から新しい処遇改善加算が実施され、要件を満たした事業所ではおよそ1万円の賃金アップが図られることとなりました。これまでのキャリアパス要件1と2を満たすだけでなく、新たに追加されたキャリアパス要件3を満たすことが、新しい処遇改善加算を算定するために必要な条件となります。

キャリアパス要件3の具体的な内容は次の2点です。

1つ目が一定の基準に基づき、定期的に昇級を判定する仕組みを設けていることです。

2つ目が根拠となる規定を就業規則等の明確な書面で整備し、すべての介護職員に周知していることになります。

この2つの条件は特別難しいものではありません。前者は勤続年数や資格の取得による定期昇給の仕組みがあれば十分ですし、後者はほとんどの事業所が実施しているものでしょう。2017年の処遇改善加算の目的は、介護職員の処遇改善だけでなく、小規模介護事業所の淘汰にあるといわれています。成長産業としての介護分野への新規参入が増えた結果、小規模事業所が乱立する状況が生じていました。少ない介護士の取り合いが生じたり、質の低いサービスを提供する事業所が増えたりといった結果を招いていたのです。2017年の処遇改善加算は大規模事業所ほど容易に取りやすい内容となっています。大規模事業所を優遇することで、介護士の人員確保や処遇の改善、それにサービスの質を確保するといった問題を、一度に解決しようという意図があるのではないでしょうか。

 

2019年から介護福祉士を対象に大幅な給与アップが実施される?

介護士に対する処遇改善策はこれだけにとどまりません。2019年10月の消費税増税のタイミングに合わせて、大規模な処遇改善案が出されました。具体的な内容は、勤続10年以上の介護福祉士を対象に、月額平均で8万円相当の賃上げをするというものです。介護職員と全産業の月額賃金差がおよそ10万円であり、この差を大きく埋める内容となっています。

しかしながら、この案にはさまざまな問題点があります。

まず、対象者の問題です。介護職員の勤続年数は平均して6.1年であり、10年以上の勤続年数がある職員は20%を割り込んでいます。そのため、条件に該当する介護職員は非常に少ないのが現実です。また、これまで介護業界のキャリアパスにおいては、介護福祉士として一定期間現場を経験した後は、ケアマネージャーやサービス提供責任者、生活相談員といった役職に就くのが一般的でした。対象を現場で10年以上働く介護福祉士に限ってしまうと、頑張ってキャリアアップしようとするほど給与が下がるといった逆転現象が起こる可能性も否定できません。

さらに、分配方法も問題です。賃上げ分は事業所に支払われ、事業所が職員に分配します。多くの事業所では該当者のみ8万円もの給与増を図ると、給与体系に大きな歪みが生じてしまうでしょう。それを避けるために全職員で分配する形にすると、今度は一人当たりの給与アップは微々たるものになってしまい、処遇改善として効果が薄いものとなります。

最後に国民全体の負担増です。給与アップに必要なお金は、介護保険の被保険者からの徴収および消費税で賄われます。高齢者だけでなく現役の第2号被保険者にも、これまで以上の負担を求めることになってしまいます。

 

介護福祉士の処遇は本当に改善されるのか

2019年の介護福祉士の処遇改善案は2018年1月時点ではあくまで原案であり、今後どのように変わっていくか分かりません。また、介護士および介護福祉士を取り巻く環境は目まぐるしく変わりつつあります。慢性的な人手不足を解決する手段として、外国人労働者の受け入れが加速していく可能性があります。比較的安い賃金で働いてくれる外国人労働者が一般的になれば、それに引っ張られるようにして介護士の賃金を引き下げる事業所が出てきてもおかしくありません。

その一方で、もし上記の処遇改善案がそのまま通過するようであれば、介護福祉士の資格を取得している人は、事業所から大切に扱われることになるでしょう。事業所からすれば10年以上働いている介護福祉士がいるだけで年間にしておよそ100万円近い収入が得られるのですから、これを利用しない手はありません。介護士のキャリアのあり方もこれまでと変わってくるでしょう。これまでは現場から管理職へステップアップしていくのが一般的でした。これからは現場で長く働くことができる仕組み作りを、どの事業所も整えていくことになるはずです。

新しい処遇改善案には検討の余地が多くあり、実際にどのような形で施行されるかは不透明です。介護福祉士が今できることといえば、自身のキャリアを明確に考えておくこと、それを実現するために必要な資格やスキル獲得のための努力を怠らないことではないでしょうか。不確定な情報に一喜一憂するのではなく、自分の決めた道筋を確かな足取りで歩むほうが、どのような未来にも対処できる人材となれるはずです。

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