その名が表す通り、人間の機能を訓練・指導する役割を持つのが、機能訓練指導員です。医療業界におけるリハビリテーションにも似ていますが、介護業界においてはちょっと意味合いが違います。そして近年、この機能訓練指導員のニーズが特に高まってきていると言います。
この記事では、今注目の機能訓練指導員をクローズアップ。仕事内容から転職の際の注意点まで幅広く網羅して解説します。

介護の機能訓練指導員とは?

機能訓練指導員とは、介護施設や病院などで要介護認定を受けている利用者様が自立した日常生活を送ることができるよう、リハビリ計画を作成したり機能回復訓練などを行う職種のことを指します。厚生労働省が定める「指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準」では、

7 第一項第五号の機能訓練指導員は、日常生活を営むのに必要な機能を改善し、又はその減退を防止するための訓練を行う能力を有すると認められる者でなければならない。

引用元:○指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準

と定義されています。

機能訓練指導員は、介護保険法によって定められている職種のひとつで、通所介護施設やショートステイ、特別養護老人ホームなどの施設では1人以上の機能訓練指導員の配置が義務付けられています。

病院のリハビリと機能訓練が異なる点は、前者が利用者様の病気やケガからの回復や機能改善が主な目的なことに対し(医療リハビリ)、後者は利用者の症状や疾患とうまくつきあいながら機能を維持し、自立した生活が送れるように支援することが主な目的であることです(生活リハビリ)。

機能訓練指導員の主な仕事内容

機能訓練指導員の仕事内容は保有資格に応じて変わりますが、共通点には下記のような業務が挙げられます。1日の流れややりがいについてもご紹介します。

機能訓練計画書(運動プログラムや訓練内容)の作成

それぞれの利用者様の身体機能や精神機能、生活環境などを総合的に評価し、利用者様本人や家族の要望も聞きながら個別に機能訓練計画を作成します。

利用者様の症状に合わせた機能訓練

個別機能訓練計画に沿って歩行訓練、マッサージ、筋力トレーニングなどの機能訓練を実施します。

評価・訓練内容の見直し

3ヵ月ごとに1回以上、訓練計画の評価と見直し等を行います。

一日の流れ

8:45 出社
9:00 申し送り
9:30 個別機能訓練
12:30 休憩
13:30 個別機能訓練
16:00 サービス担当者会議など
17:00 事務作業(個別機能訓練計画の作成など)
18:00 退社

この仕事のやりがい


機能訓練指導員は、利用者様が望む「その人らしい生活」を取り戻す手助けをする仕事です。利用者様と協働でプログラムを考え、一緒に目標を達成した時には大きなやりがいを感じることができるでしょう。

また、利用者様ごとにリハビリの内容が異なるためマンネリに陥ることはなく、日々新鮮な気持ちで働くことができるというのも機能訓練指導員の仕事ならではの特権です。

この仕事の大変なところ

介護施設における機能訓練指導員の配置基準は1名以上となっていますが、裏を返せば有資格者が自分1人しかいない場合もあると言うことです。困った時に相談できる先輩や同僚がいないというのは心細いものです。そのため、日々の勉強は欠かせません。

また、施設によっては、本業の機能訓練以外の業務を任されることもあり、本業に集中しにくいという弊害もあります。

機能訓練指導員が活躍できる職場

保有資格にもよりますが、機能訓練指導員が働く場所は介護施設や事業所、要介護者向けの医療施設の2つに大きく分けられます。それぞれの特徴と施設の例をご紹介します。

介護福祉施設・事業所

介護福祉施設や事業所で機能訓練指導員として働く場合の訓練対象は、施設の利用者様になります。訓練を通じて利用者様の機能回復や維持を図ります。施設によっては、身体介護やレクリエーションや送迎など、介護スタッフに近い業務を担当する場合もあります。主な施設として、デイサービス・特別養護老人ホーム・介護付き有料老人ホーム・ショートステイなどが挙げられます。

要介護者向け医療施設

要介護者向けの医療施設における訓練対象も施設の利用者様ですが、一般的な介護福祉施設に比べて障害や病気が重度である可能性が高いのが特徴です。そのため、より専門的なリハビリを実施することになります。主な施設に、病院併設型リハビリステーション・介護老人保健施設・介護療養型医療施設などが挙げられます。

各施設の特徴や求人情報は転職サービスに相談してみるのが一番てっとり早いです。こちらの記事では現役介護士がおすすめする転職サービスを紹介していますので、ぜひお役立てください。

パートや派遣でも機能訓練指導員になれる?

パートや派遣でも、要件を満たしていれば機能訓練指導員になることは可能です。実際に求人も多く、ほかの介護職よりも高い時給に設定されていることが特徴です。

未経験から機能訓練指導員になれる?

上記のパートや派遣同様、要件さえ満たしていれば未経験でも問題ありません。職場で研修を行ってくれるところも多いので、安心して働くことができます。

機能訓練指導員として働くメリットとデメリット

機能訓練指導員は現在も、そして今後も需要がある職種で、転職に困らないということがメリットのひとつです。そして資格保有者のため、給与水準も高めに設定されています。

また、基本的に夜勤や残業が少ないので、仕事と家庭の両立が可能です。雇用形態も正社員だけではなく契約社員、派遣、パートなど選択肢が多く、ライフステージの変化に合わせて柔軟に働くことができます。介護以外にも医療業界やリラクゼーションなど、さまざまな業界で活躍できることも魅力でしょう。

一方デメリットは、施設によっては、機能訓練指導員としての仕事と介護職が行う仕事の境目があいまいになりがちなことです。また、訓練内容を誤ると利用者様の今後の介護度に影響を与えてしまう可能性もあるので常に緊張感が伴うのもデメリットのひとつかもしれません。

覚えておこう!介護施設の機能訓練指導員の要件・資格

機能訓練指導員は職種であって、資格名ではありません。ですので、機能訓練指導員になるための資格は存在しません。ただし、下記7つの国家資格のうちいずれか1つの資格を保有している必要があります。

  • 理学療法士
  • 作業療法士
  • 言語聴覚士
  • 看護師または准看護師
  • 柔道整復師
  • あん摩マッサージ指圧師
  • 鍼灸師(平成30年に追加)

なお、平成30年に追加された「鍼灸師」については、「鍼灸師以外の機能訓練指導員が在籍する施設にて、半年以上の実務経験が必要」なので注意が必要です。

この仕事に向いているのはどんな人?

機能訓練指導員は利用者様とのコミュニケーションはもちろん、関係職種や施設、利用者様のご家族ともコミュニケーションを取る必要があるので、コミュニケーション力が高い方が向いています。

また、利用者様の機能回復には時間を要すことがほとんどで、一進一退というのも日常茶飯事です。そのような場合でも諦めない精神力や忍耐力を持ち合わせている方なら機能訓練指導員に適しているでしょう。

高齢者を元気にする! 高齢化社会に大きく寄与する機能訓練相談員

2025年問題を目前にして、高齢者の介護予防にアプローチする機能訓練指導員の需要は急速に高まってきています。それは近年、機能訓練に特に力を入れている「機能訓練(リハビリ)特化型デイサービス」が増えてきていることからも明らかです。

今後もこうした傾向が続くことは間違いないので、機能訓練指導員は転職にも最適な職種だと考えられます。確かに機能訓練指導員になるために必要な国家試験取得のハードルは高いですが、条件にある資格の取得を目指している方や、すでに資格を持っている方は、ぜひ仕事探しの選択肢に入れてみてはいかがでしょうか。