介護の仕事は無資格でも働くことができますが、資格を保有している方が給与やキャリアアップ、転職にも有利となります。

介護の世界では唯一の国家資格と言われているのが、介護福祉士です。

介護業界ビギナーでなくても、介護福祉士を雲の上の存在のような資格に思う方もいますが、それでも挑戦する価値は十分にあります。

この記事では、介護福祉士として働く魅力について、現役介護福祉士のコメントを交えながら紹介します。

介護の仕事を極めるなら介護福祉士の資格取得がおすすめ!

介護職で唯一の国家資格である介護福祉士は、取得が難しいですが信頼度が高く、幅広い介護の仕事を担うことができます。スキルアップをしたい方は、取得を目指すのもおすすめです。

これから資格を取得するために転職を検討している方は、転職エージェントに相談することをおすすめします。施設によっては資格取得のサポート体制が整っているところもありますので、エージェントが希望条件も考慮して仕事の提案をしてくれますよ。

介護福祉士とは?

介護福祉士は、1987年制定の「社会福祉士及び介護福祉士法」によって創設された介護業界唯一の国家資格であり、この資格を保有して介護業界で働く人のことを指します。

法律上、介護福祉士は以下のように定義されています。

介護福祉士は、社会福祉士及び介護福祉士法(昭和62年法律第30号)に基づく名称独占の国家資格であり、介護福祉士の名称を用いて、専門的知識及び技術をもって、身体上又は精神上の障害があることにより日常生活を営むのに支障がある者につき入浴、排せつ、食事その他の介護を行い、並びにその者及びその介護者に対して介護に関する指導を行うこと

引用元:介護福祉士の概要について

介護福祉士になるためには介護福祉士国家試験に合格しなくてはならず、受験するためにも資格が必要です。(詳細はこちらで解説)

一度取得すれば全国どこでも通用し、更新の必要もありません。まさに一生モノの資格となります。

【介護福祉士の概要】

  • 介護業界唯一の国家資格
  • 資格を保有して介護職で働く人のこと
  • 更新の必要なし
  • 現場のリーダー的な存在として活躍できる
  • 資格手当がもらえる

介護福祉士の主な仕事内容

介護福祉士が利用者さんの食事をサポートしている様子
介護福祉士の主な仕事内容として、以下の内容があげられます。

  • 利用者の身体介助や生活援助
  • レクリエーション
  • 利用者とその家族に対する相談・助言
  • 利用者の社会的活動
  • 支援介護スタッフのマネジメント など

介護の現場で、利用者はもちろんスタッフからも頼りにされるリーダー的な存在です。

介護福祉士で働くメリット・デメリット

「介護福祉士の仕事はメリットだらけ」とは現役介護福祉士の言葉ですが、そんなリアルな意見も交えて介護福祉士で働くメリット・デメリットを解説します。

介護福祉士のメリット1:給与アップ

介護福祉士は、基本給に加えて資格手当も受け取れることがほとんどです。

手当の金額は施設により異なりますが5,000~30,000円に及ぶこともあります。

厚生労働省の「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、介護福祉士の平均給与は常勤32.8万円、非常勤21.9万円です。

さらに、2019年の「介護職員等特定処遇改善加算」では、「2019年10月から勤続10年以上の介護福祉士について平均月8万円の処遇改善を行う」ことが発表されました。

これにより、今後ますます介護福祉士の待遇が良くなると考えられています。

介護福祉士のメリット2:キャリアアップ

施設によっては、介護主任や介護リーダーのポジションに就くことができるのは介護福祉士に限定していることもあります。

また、経験を積むことで認定介護福祉士やケアマネ、看護師などの医療系専門職などの仕事だけでなく、独立も目指せますよ。

キャリアアップの一環として、就職や転職の際にも、介護福祉士の資格が威力を発揮します。

即戦力として働くことができる介護福祉士の需要は高く、求人には事欠きません。

日本全国で通用する資格のため、引越しを伴う転職やブランクがある場合でも、採用に有利に働きます。

介護福祉士のメリット3:利用者やその家族から信頼を得やすい

国家資格である介護福祉士の資格は、取得しているだけで信頼感、安心感も抜群で信頼を得られます。

すると、サービスの質の向上にもつながるので、相乗効果で介護業界に貢献することができるのです。

デメリット1:体力仕事である

介護福祉士が利用者さんの身体を支えながら車椅子へ移動させている様子
資格を保有していても基本は現場の業務のため、腰を痛めるなど介護の現場では避けては通れない職業病を患う恐れがあります。

夜勤がある施設においては、生活のリズムがバラバラになる弊害もでてきます。

デメリット2:給与が安め?

ほかの国家資格の職業と比較すると介護福祉士は給与が安めですが、これについては処遇改善により徐々に解消されていと予測されます。

デメリット3:勉強や経験が必須

介護福祉士の資格を取得するためには勉強や経験が必須であり、簡単には介護福祉士になることはできません。

ですが、資格取得のために得た知識はもちろん現場でも応用できるため、決して無駄になることはありません。

現役介護福祉士の体験談

ここからは、実際働いている現役介護福祉士の体験談を2つご紹介いたします。

体験談1:資格を持っているからといって、大幅に業務内容が変わる、仕事量が増えるということはない

「じゃあ、良い給料を貰うんだから介護福祉士の資格を持った人の仕事量はそれだけ多いの?」と思う人もいるかもしれません。

しかし私が知る限りでは、介護福祉士の資格を持っているからといって、それだけで業務内容が変わる所は多くはありませんでした。(介護福祉士を持っているために役職が付き、それで仕事が増えると言う事はありました。)

しかし、多くの施設では資格なしでも、介護職員初任者研修を持っていても、介護福祉士を持っていても業務内容は変わりません。

このようなことを言うと恨みも買うかもしれませんが、同じ仕事をしながら確実に高い給料をもらえるのが介護福祉士と言う資格です。

体験談2:注意!メリットは掴みに行かなきゃ手に入らない

介護福祉士を取得しても、資格手当がつかなかったり、手当が乏しいところにいたのでは得られる恩恵を無駄にしてしまっています。

そのような場合は介護福祉士にしっかり手当を付けてくれる求人を探してみましょう。

しかしこの時、一度求人を見ただけで良い所があったといって即決してしまうと、その次に出るはずだったもっと高い求人を無駄にしてしまうかもしれません。

そうならないためには、今いる職場を辞める前から日常的に求人に目を通し、本当に条件がいい職場を見極めることです。

せっかくの介護福祉士の資格です。

転職の成功確率は格段に上がります。

条件が良すぎてライバルが多そうな求人であっても、案外資格だけで採用されたりもします。

普段から求人に目を通すようにしなければ無難なところで落ち着いてしまい、介護福祉士の資格の恩恵を無駄にしてしまいます。

給料面で介護福祉士の恩恵を最大限引き出すためには、普段から求人を眺めつつ、資格の力を信じて高待遇の求人に申し込むことです。

介護福祉士で働くには資格が必要

繰り返しますが、介護福祉士として働くためには介護福祉士の資格が必要です。

国家資格であり、この資格さえ取得すればキャリアアップにも有効です。

資格を取得するためには1年に1回実施される「介護福祉士国家試験」に合格する必要があります。

試験は例年1月下旬に筆記試験、3月上旬に実技試験が実施され(実技試験が免除されるケースもあり)、合格基準は総得点の60%程度とされています。

令和元年度に実施された「第32回介護福祉士国家試験」における合格率は69.9%で、国家資格としては比較的難易度が高くないのが特徴です。

筆記試験の出題範囲は医学、法律、心理学分野など多岐に渡りますが、すべての問題は選択式です。

現場での経験と過去問題などで試験対策を行っていれば結果は良くなると言えます。

介護福祉士の資格取得時の注意点

介護福祉士の資格を受験するためには、いくつか注意すべき点があります。

ここからは、その注意点について紹介し行きますので、受験する前に見ておきましょう。

受験するにも条件がある

介護福祉士国家試験を受験するには条件があります。

受験資格を取得するためには「実務経験ルート」「養成施設ルート」「福祉系高等学校ルート」、外国人を対象とした「経済連携協定(EPA)ルート」の4つのルートからいずれかを選び、それぞれに掲げられている条件を満たしている必要があります。

取得までに時間がかかる

学校や養成施設を卒業する以外は一定期間以上の実務経験が条件のひとつであり、どうしても時間がかかってしまいます。

たとえば、もっとも一般的な「実務経験ルート」の場合は3年以上の実務経験が必要です。

受験費用がかかる

資格取得のネックになるのが、受験費用です。

受験ルートにより差はあるものの、「実務経験ルート」においては実務者研修の終了が必須ですが、その受講費用は10万円です(無資格者の場合)。

「養成施設ルート」「福祉系高等学校ルート」でも学費が必要になってきます。

もし、費用面で資格取得を諦めるのであれば、国からの研修費用の助成金制度もあるので利用を検討してみてはいかがでしょうか。

取得した資格を活かせる現場とは?

介護福祉士の資格を活かせる現場として、代表的なものに以下のものがあげられます。

どこの職場においても、仕事の軸は利用者様の身体介助など介護を中心とした業務であることに変わりはありませんが、その職場ならではの仕事の特徴もあります。

特別養護老人ホーム(特養)

65歳以上で、在宅での生活が困難である要介護の高齢者が入居する施設で、常時の介護を必要とする方が入所します。

退所期限はないので、終身にわたる介護が基本となります。

終末期ケアや看取りにも携わりますので、人生を終える高齢者一人ひとりが穏やかな日々を送れることを重視した介護を行います。

介護福祉士の主な業務は、利用者の食事や入浴、排泄などの身体介助、レクリエーション実施、緊急時対応などがあります。

介護老人保健施設(老健)

病気やケガの治療を終えて病院を退院したあとに、一定期間入所する施設です。

要介護の高齢者が在宅復帰を目指すための入居施設のため、介護福祉士の仕事も利用者の在宅復帰に向けたサポート業務が多くなります。

理学療法士や作業療法士などの専門スタッフと連携を取りながら利用者様の心身の回復をサポートします。

主な業務は、日常生活の介護のほか、体操・踊り、ゲームといったレクリエーション活動を通して入所者の自立度を高めて、スムーズに在宅復帰できるよう支援することにあります。

特養と老健の働き方の違いについてくわしくは、「特養と老健どちらが働きやすい?介護医療院はどう?失敗しない介護の転職先とメリット・デメリットを解説」をご覧ください。

介護付き有料老人ホーム

民間企業が運営する高齢者入所施設のことで、集客率をあげるために施設ごとに特色あるサービスを提供しています。

有料老人ホームの中でももっとも手厚い介護サービスを提供するのは、介護付き有料老人ホームです。

介護というよりも利用者が快適に生活を送るためのサービスに重点が置かれていることが多く、介護福祉士は運営する企業の方針に則って業務を遂行します。

ホテルスタッフのようなサービス提供業務を要求されることもあります。

訪問介護事業所

介護福祉士または訪問介護員として、要介護の高齢者の居宅を訪問して介護業務を行う施設で、身体介助や生活援助などを行います。

基本的に1人でサービスを行うので、介護福祉に関する知識や高いスキルが必要となります。

デイサービス

主に、日中の時間帯に「通い」で来る利用者様の介護業務に携わり、通所によって日常生活のケアなどを行います。

介護福祉士は、歩行訓練やマッサージなどのリハビリテーション、利用者の健康管理、レクリエーションの企画運営を行います。

身体障がい者施設・知的障がい者施設

身体障がいや知的障がいがある人の中でも、常時介護を必要とする18歳以上の障がい者を対象とした施設です。

介護福祉士は、生活に伴う身体介護や、利用者の健康管理だけでなく、クラブ活動などのレクリエーションを実施することで自立促進のサポートを行います。

介護福祉士の転職先・求人情報

実際、介護福祉士の求人情報はどのような内容があるのかをみてみましょう。
(※2020/10現在の情報なので、内容が変わる可能性があります。)

有料老人ホームのケアスタッフの求人

正社員の求人で、初任者研修以上の方は大歓迎です。

住宅型有料老人ホームでの介護業務全般が主なお仕事内容で、介護福祉士の資格あれば資格手当として7,000円がつきます。

介護職員実務者研修以上であれば4,000円~5,000円がつき、月給は18.9万円からです。

特別養護老人ホームのケアスタッフ求人

正社員の求人で、特別養護老人ホーム内での食事介助や入浴介助が主なお仕事内容です。

業務手当として介護福祉士の場合は20,000円、その他役職手当や夜勤手当がつき、月給は22万円からです。

雇用保険等も完備していますよ。

介護福祉士の将来性について

介護福祉士の資格を取得するためには前述の通り時間も費用もかかることから、断念してしまう方が多いといいます。

それでも、介護職を長く続けていきたいと考えるのであれば、介護福祉士の資格を取得しておいて損はないと言えます。

現在の日本は超高齢化が進み、2025年には200万人以上の介護職員が不足する見込みとされています。

つまり、専門知識を持った介護福祉士の需要は今後ますます増えていくことは明らかです。

また、気になる待遇面や労働環境についても改善が図られているので、明るい将来が約束されています。

たとえば、賃金問題については、2019年から「勤続年数10年以上の介護福祉士の給与を月額8万円向上させる」といった試みが始まりました。

さらに、人材不足の問題については、外国人材の活用を実施することが決まっていて、2019年4月から先の5年間で6万人の外国人を新たに介護業界に受け入れることになっています。

介護職の働き方改革のための具体策としては、利用者のベッド上での動きを記録してレポート化する「ITツールの導入」や入居者10人をひとつのユニットとすることがあります。

働く人の人間関係のストレスの軽減をはかる「ユニット制」の促進などが行われています。

待遇改善と業務効率化が進められていますし、雇用も安定してあるので、安心して働ける職業だといえるのです。

キャリアアップを目指すなら安定・安心の未来を約束する介護福祉士

介護福祉士のイメージ

介護福祉士は福祉系の資格の中でもずば抜けて恩恵が大きい資格だということを説明してきました。

確かに簡単に取得できる資格ではありませんが、資格取得にかかる時間や費用も明るい未来への先行投資と考えたら微々たるものでしょう。

これから介護業界にデビューする方も、現在介護に従事している方も、キャリアアップのひとつの指標として資格の取得を検討してみてはいかがでしょうか。

介護福祉士を目指すならウィルオブ介護にご相談ください

介護福祉士は、給料アップやキャリアアップを目指せるだけでなく、介護士としての信頼を得られるため、仕事へのやりがいにもつながります。介護士として技術を極めたい方は、資格取得を目指すことをおすすめします。

ウィルオブ介護では、資格取得のためのサポートやアドバイスなどを行っています。転職先の施設が希望条件に合うかなどを考慮しつつ求人を紹介しますので、資格取得を目指しながら無理なく働くことが可能です。

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